たとえば、作者が新潟県の山奥で暮したときに初めて飲んだ岩清水の話。「ピリピリひきしまり、鋭く輝き、磨きに磨かれ、一滴の暗い芯に澄明さがたたえられている。のどから腹へ急転直下、はらわたのすみずみまでしみこむ。脂肪のよどみや、蛋白の濁りが一瞬に全身から霧消し、一滴の光に化したような気がしてくる。・・・・・・」そんな超一流品と呼べるような水が味蕾にしみこんでくるような歓びを、作者のまさしく超一級の文章によってあなたは存分に味わうことができる。飲む・食べる・困る・驚く・狂う・弔(いた)む・流れる・学ぶ・・・・
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開高 健。いうまでもなく、現代日本文学を代表する作家であり、同時に、一個の巨大な人間である。知の人は感性の人であり、行動の人である。ミクロからマクロまで、食卓から戦場まで、旺盛な探求心はいまも燃え続けている。博識・観察・体験・思想。ここには、エッセイストとしての稀有の才能が、独特の語り口によって余すところなく発揮されている。本書によって完結した「白いページ」シリーズは、読むことの豊饒と快楽を必ず約束してくれる。
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遠望する、解禁する、無駄をする、試めす、枯渇する、火をつける、励む、釣る、探求する、判定する、証言する・・・etc.22の動詞現在形の章からなる一冊。行動しつつ知覚し、知覚しつつ思索する。豊饒、詩的、適確な文体で、時代と人間と自然とを等身大に表現し得た、稀有の作家・開高健。いま若者を、本物のエッセイが魅了する。
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たとえば、作者が新潟県の山奥で暮したときに初めて飲んだ岩清水の話。「ピリピリひきしまり、鋭く輝き、磨きに磨かれ、一滴の暗い芯に澄明さがたたえられている。のどから腹へ急転直下、はらわたのすみずみまでしみこむ。脂肪のよどみや、蛋白の濁りが一瞬に全身から霧消し、一滴の光に化したような気がしてくる。・・・・・・」そんな超一流品と呼べるような水が味蕾にしみこんでくるような歓びを、作者のまさしく超一級の文章によってあなたは存分に味わうことができる。飲む・食べる・困る・驚く・狂う・弔(いた)む・流れる・学ぶ・遊ぶ・余枝る・・・21の動詞形の章からなるこの一冊は、あなたを快い酩酊と、ときにはラブレイふうの哄笑やユーモアへと誘う。作者の“裸の味覚”と豊饒な表現の中に詩人の資質が光る。極上のエッセイ。
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