加藤周一-二十世紀を問う
海老坂武(著)
/岩波新書
作品情報
言葉を愛した人・加藤周一は、生涯に膨大な書物を読み、書き、そして語り続けた。それはまた、動乱の二十世紀を生きぬきながら、日々の体験を深く考え、問い直し、表現する生でもあった。同時代を生きてきた著者が、我々の未来への歩みを支える力強い杖として、今ひとたび彼の言葉を読み直しつつ、その全体像にせまる。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 加藤周一-二十世紀を問う
- 著者
- 海老坂武
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2013.04.19
- Reader Store発売日
- 2013.10.18
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 256ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (8件のレビュー)
-
加藤周一論は、私のライフワークのひとつです。著者の海老坂武氏はかつて「戦後思想の模索」(1981みすず書房)でおそらく初めて加藤周一論を上梓した人です。そういう意味では、注目して読んだ本でした。
最…初の数章は簡単な評伝という感じになっていてガッカリした。あまり期待せずに読んだ。前半は文句ばかりつけていた。瞠目したのは、第六章から。特に「日本文化における時間と空間」に関して丸山真男の古層論との微妙な、しかしだからこそ非常に重要な違いを述べている処に注目した。海老坂氏は2人の評論本を上梓している。著者ならではの「指摘」だったと思う。
特に以下の処。
「加藤にとって主旋律とは変容したあとの結果なのだが、丸山にとっては変容する以前の外国思想そのものなのだ」
「分析対象の違いであり、分析の視点の違いである。丸山の対象は中国の史書と日本の史書である。そして語義の解釈、とりわけ漢字の使い方、また漢文が和文に読みくだされていくときの意味のズレに注目する。そして引き出してきたのが「つぎつぎになりゆくいきおひ」という古層であった。他方、加藤は広く文学を素材とし、また美術作品も重要な素材である。言語作品だけに話を限っても、加藤が単語の語義を問題とすることは稀である。彼が目を留めるのは語順であり、時制であり、語り口であり、文章構成である。」
また、これら両者の「方法等の差異」から「丸山には「空間意識」の分析がない」と指摘する。さらには、異なる「始原」の解釈があり、「いま」の理解の仕方にも違いがあると指摘する。
この指摘は重要であり、私は慎重に検討するべきだと思う。なぜならば、と海老坂氏は言う。
「日本の古層」或いは「土着思想」の解明は、加藤周一も丸山真男も「日本人の精神の変革は可能か」或いは「内から外へ、現在から未来へ、特殊から普遍へ向かう精神の開国は可能か」を問うためのものだったはずだからである。
しかし(この著者の「問いの立て方」自体検討しなくてはならないとは思うが)その結論自体を著者は数行で済ませており、私は納得いかなかった。
また第七章において、「観察する人」(この表現にも異論はある)だった加藤周一がなぜ、「書く人から語る人へ」さらには「9条の会」への参画へと変わっていったかについて書いている。この加藤周一評価に対しても、私はもっと「積極的な」変容があったと観ており、異論がある処ではあるが、その中身はいつか書きたいと思っている加藤周一論に譲りたい。
全面的に肯定出来る本ではなかったが、いろいろ刺激のある本だった。
2013年6月4日読了続きを読む投稿日:2013.06.12
第1章 “観察者”の誕生
第2章 戦後の出発
第3章 “西洋見物”の土産
第4章 雑種文化論の時代
第5章 一九六〇年代―外からの視線
第6章 “日本的なもの”とは何か―“精神の開国”への問い
第7章… 希望の灯をともす
著者:海老坂武(1934-、東京都、フランス文学)続きを読む投稿日:2019.12.15
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。