この作品のレビュー
平均 3.9 (23件のレビュー)
-
何度も読み返すべき良本
15年ぶりくらいの再読。当時と今では受け取り方が少し違う気がする。もっとこの本と語り合えるくらいの知識と教養を身に付けて、再読したい。「全ての事象は関係によってのみ存在する」「与えられた環境を拒否し、…環境を超えたところに平衡を求めようとする能力」「外なる自然の征服は、内なる自然の破綻を呼ぶ」「言葉は、いわばもう一つの器官となって身に植え付けられている生理なのである」「未知の音楽を聞き、新しい絵を見る時の感動は、これまで知られていないやり方で、身が新たに言分けられる創造の喜びである」続きを読む
投稿日:2015.03.28
-
多くの引用と共に、自分の考えが述べられているようである。
言分けという概念が、見分けという概念の対立概念として出てくるが、その定義が書いていない。言分けがもたらした文化の説明、言分けの説明に便利な逆ホ…メオスタシスの説明はあるが、その説明のどの部分が言分けであるかの説明がない。
また、多くのフランス語やドイツ語などカタカナで書かれた語が出てくる、著者の博学ぶりが伝わる書き方がされているが、著者の言いたいことは伝わってこない。エピステーメーとして、ある分野においてははっきりと定義され共通認識がある語として確立しているからこそ、カタカナで示しているのだと思うが、哲学や精神分析学の門外漢たる私には、意味が分からない。ちゃんと説明をしてほしい。
同様にたくさんの論者を引用していて、多くの学者・哲学者・精神分析者・臨床心理学者の支持が得られる主張をしていることが分かる。ただ、それらの論者が、言葉を同じ意味で使っているのかについて、読者には知るよしもない。原著にあたってみないといけないだろう。彼らが何を根拠にそのような主張をしたのかについて、私はまったく知らないため、名前のすごそうな感じによって誤魔化されるか、あるいは、一旦根拠のない主張として受け取っておくしかない。根拠について語られることは、本書においては、ない。
著者は、本書のテーマとなっている無意識という語をフロイトの用いたそれとは違う意味で扱うことを宣言していて、それには定義や説明をしっかりとしている(だから、無意識について書かれている本として本書を手に取った人にとっては驚き、だまされたと感じることもあるだろう)。精神分析の立場で書かれた文章を引用するならば、それはかなり慎重を期さねばならなかっただろう。そうしているのだろうとは思うので、それは信用するしかない。
多くの引用が在り、たくさんのタームあるいはジャーゴンによって論が構成され、知的に深いレベルの議論がなされていることが感じられる。だが、それが人の生き方や考え方というレベルへと下りてくることが非常に希である。人が使う言葉と人の無意識についての議論がされているはずなのだが、それは言葉の上で示されるに留まることが多い。流動的に姿を変える、分節化しにくい私たちの一面を説明しているはずなのだが、言葉のみが上滑りしている印象を受ける。ロゴスにより表層構造をなぞるだけの本書は、深層構造にある分節化される以前の私たち人の本質に迫れているのだろうか。
「一般的に人は」と書かれる内容、著者の友人である会社経営者の言葉は、どれだけの人を納得させられるものなのかは分からないが、少なくとも私にとっては実感のない事例となった。そして、一般人に対する著者の理解は、確かめようと思えば確かめられることでありのだが(心理学の領域ではそれをしないで語ることは許されない)、確かめることはない。
ただ、ソシュールの人生の足跡と業績について書いた部分はすごく面白くて、ソシュールについてもっと知りたいと思わせる魅力があった。
以上を総括すると、新書として出すべき内容とは言えない。単体ではほとんど意味が分からないので、評価できない。被引用者について知っていないと、そもそもの主張を理解しがたいし、都合良くつまみ食いして自分の主張を裏付けている可能性を排除できない。ラカンやドゥルーズ、ソシュール、クリステヴァ、バフチン、フロイト、ユングといった大物をちゃんと理解している人が、丸山氏の一連の著作との関係において読むのが楽しみ方であろう。続きを読む投稿日:2020.05.23
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。