一生モノの勉強法 京大理系人気教授の戦略とノウハウ
鎌田浩毅(著)
/東洋経済新報社
作品情報
▼真っ赤なスーツで教壇に立つ! 本書の著者は、京都大学大学院人間・環境学研究科教授で、火山学者。肩書きはお堅いが、火山をイメージした真っ赤な皮のスーツや羽織・袴姿で講義を行う、とてもおしゃれな先生である。講義は学生の興味をひきつけて離さず、教室はいつも満席。京都大学の人気No.1教授で、テレビ、講演などでも引っ張りだこだ。▼これが「大人の勉強法」だ。勉強本ブームの中、本書は、著者独自の視点で「大人の勉強法」を展開していく。つまり、小手先の勉強法ではなく、必ず身に付き、一生役立つための考え方、テクニック、戦略を余すところなく伝えているのである。効率よく勉強する手法だけでなく、大人としての教養や対人関係を良くする方法までを解説している。勉強法に「対人関係を良くする方法が必要なのか」と思う読者もいるだろう。だが、これらは仕事で成功する上で必要不可欠な要素であると著者はいう。火山だけでなく、音楽、食、海外事情などの造詣が深くとても魅力的な著者が実践してきた勉強法をわかりやすく解き明かしている。
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商品情報
- シリーズ
- 一生モノの勉強法
- 著者
- 鎌田浩毅
- 出版社
- 東洋経済新報社
- 書籍発売日
- 2009.04.16
- Reader Store発売日
- 2013.02.06
- ファイルサイズ
- 7.8MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.2 (85件のレビュー)
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シンプルだが十分な内容
当方は、この手のビジネス書をあまり読んだことはありませんので、それを前提にレビューを読んでいただければと思います。
本書は、勉強法について、勉強の意義、時間の作り方、情報整理の方法、読書の方法、…試験突破の技術、人との上手なかかわり方など、筆者の豊富な経験を踏まえた効率的、効果的な勉強の方法を幅広い視点から紹介しています。そのため、一つ一つの項目については、それほど細かく解説されているわけではなく、内容もそれほど目新しいというものはあまりないのかもしれません。
しかし、大変簡潔明瞭にまとめられているため、読みやすいですし、私のようにビジネス書をそれほど読んだことがなく、これから勉強を始めてみたいという方にはぴったりの本だと感じます。また、筆者の紹介しているような方法を今まで意識してやっていない私は、これを実践するだけでも勉強の効果が得られると感じられます。あまり細かい解説がなくても簡単に実践できるシンプルなもので、慣れてくれば自分なりに発展させていくこともできるので、これで必要十分な内容だと感じました。続きを読む投稿日:2013.12.27
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鎌田浩毅(かまたひろき)
1955年、東京生まれ。東京大学理学部卒業。通産省を経て97年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士。専門は火山学・科学コミュニケーション。テレビ・ラ…ジオ・雑誌で科学を分かりやすく解説する。火山研究のほか啓発と教育に熱心な「科学の伝道師」。京大の講義は毎年数百人を集める人気である。モットーは「面白くて役に立つカッコいい教授」。著書は『ブリッジマンの技術』(講談社現代新書)、『成功術 時間の戦略』(文春新書) 、『ラクして成果が上がる理系的仕事術』(PHP新書)、『世界がわかる理系の名著』(文春新書)、『マグマの地球科学』(中公新書)、『火山噴火』(岩波新書)、『富士山噴火』(講談社ブルーバックス)、『地球は火山がつくった』(岩波ジュニア新書)、『地学のツボ』(ちくまプリマー新書)、『火山はすごい』(PHP新書)など。
土日が休日の人であれば、1泊2日で旅行の計画を立てるのもよいでしょう。たとえば各地の温泉を順番にめぐってみるのはいかがでしょうか。 私は温泉教授として有名な松田忠徳先生の本を愛読しています。仕事柄、火山の調査に出かけることが多いのですが、火山といえば近くに温泉があるのが常です。仕事を兼ねて温泉を楽しむというわけです。 第1章でも述べましたが、オフを通じて新たな勉強が始まることもあります。温泉 旅行をきっかけに、各地の歴史に興味を持って調べたり、ローカルフードに関心を持 つのも一興です。火山学者としては、温泉をきっかけに地学に興味を持っていただき たいところですが⋯⋯。 ともあれ、遊びは「仕事と違うことをやる」のが原則です。「遊ぶ」ことは、新しい世界を見る、世間を知る、という意味では、実に大きな価値を持っています。
また、せっかくお酒を口にするのであれば、お酒そのものを勉強するという手があります。実は、お酒は知れば知るほど人類の歴史と地理、英知が詰まっている飲み物なのでどんな酒でも、お店で飲んだときに詳しい人から蘊蓄を聞かせてもらいます。場合によっては、お酒の製造過程だけでなく、お酒の背後に隠された文化や伝統、 国際情勢まで教えてもらえるかもしれません。
読書に関しては、まずは多読が基本と言えるでしょう。本は、人生でチャンスをつかむための触媒です。触媒をたくさん持つことによって、何かのきっかけがめぐってきたときに、素早く反応ができます。本を読むことによって、社会を知るアンテナの数が増えるからです。 たとえば、少しでも絵画に関する本を読んでいれば、何かの展覧会のパンフレットを見たときに、「行ってみようか」と思い立つようになります。実際に展覧会に行けば、今度はもう少し詳しく勉強しようと、次のステップの読書につながったりするでしょう。読書の幅を広げることで、次の大きなチャンスをつかみやすくなるのです。 また、本の魅力は比較的価格がリーズナブルであり、簡単にいつでもどこでも読めるという点にもあります。文庫本を1冊でも手にすれば、そこで人生上の貴重なチャンスを一つ増やせるのです。
本の最大の特徴は、投資する額に対して得られる利益がはるかに大きいという点ではないでしょうか。ですから本は出会ったらすぐに購入することです。飲み会や、飲み過ぎたあげくに利用するタクシーに支払う金額を考えれば、実に安い買い物です。むしろ、先に本に投資する額を確保してから、飲み会に参加するかどうかを検討しても決して遅くありません。理想をいえば、家賃・光熱費の次に書籍代を確保するくらいの優先順位でお金を使ってほしいものです。
たとえば、毎月何がしかの金額を本に投資すると設定してしまいましょう。仮に1万円を書籍代にあてれば、2000円の専門書を5冊、1400円のビジネス書を約 7冊、500円の文庫本であれば20冊は買える計算になります。 上手に買い分ければ、これは1か月の読書量を十分に満たす投資額だと思います。 それに、毎週のように本を購入し続けるうちに、額に相応する選書眼が身についてく るのです。 最低1万円は本を買いなさい、などと言うつもりはありません。大切なのは、白分の経済状況に応じた範囲内で、家計の中に少額でもよいから「書籍代」を確立することです。月に500円であっても毎月本を入手し続ければ、いつのまにか自分のライブラリーができ上がってきます。 また、本は見つけたときに買うのが原則です。特に新刊書店に置いてある本は、あきらかな供給過多のため、生鮮食料品なみのスピードで次々と入れ替わっています。きちんとメモしてフォローするならともかく、 そのうち買えばいいなどとのんきに構えていると、二度と手に入らなくなる可能性が大です。少しでも心にひっかかるものがあれば、買っておくに越したことはありません。 「本は人生のチャンス」という言葉をもう一度思い起こしてください。 また、本は、言わば「文房具」の一種です。その使い方は後述しますが、書き込んで自分のノートとして活用するためのものです。自由に「汚す」ためにも、まず所有する必要があるのです。 図書館や会社で購読しているものを借りて読んでも、学ぶという点からはあまり記憶に残らないものです。人間というのは基本的に貧乏性です。自分で購入した本には元を取ろうとする意識が働きます。"憾っを痛めたという事実を正当化するためには。
また書店員が独自に作成したPOP(小さな紹介板)を見るのも、楽しみの一つです。「遊べる本屋」と評され、本だけでなく菓子や雑貨、ポスターなどサブカル色豊かな店づくりで知られる京都北山のヴィレッジヴァンガードなどは、ユニークPOPづくりの最右翼でしょう。
また、本書の第2章では、地方に出張したらなるべく歩くことをお勧めしました。 私はそうやって歩いている途中に古書店を見つけると、最低30分は費やして本を見て しまいます。地方には地方でしか見つからない本があるからです。地方の国立大学の 先生が手放したような、地域色豊かなすばらしい本に出会うことがあるのです。 大都市では手に入らない絶版本が、無造作に置いてあったりすることも少なくありません。私自身、東京でも京都でも見つけられなかった本が、鹿児島の古書店で3冊にして売られているのを日にした経験があります。小躍りするような気持ちで購入したのは言うまでもありません。こういうときの嬉しさが、古書店チェックをやめられない大きな理由なのです。
最後に図書館についても、触れておきたいと思います。図書館は書店とはまた違った魅力を持つ空間です。図書館は、絶版の本も含めてレアな本の宝庫です。 図書館へは、あらかじめ「何を探すか」を明確にして行くことがほとんどです。前もってインターネットで存在を確認してから出向いたり、図書館内のカードで場所をきちんと突き止めて借り出します。 一方、さしあたって目的もなく書架を眺め渡すのも悪くありません。特に、児童書や焼き物など、まったく自分とは縁遠いテーマの本を手に取ってみると、意外に引き込まれてしまったりすることがあるのです。写真の美しい大型本など、時間を気にせず眺め続ける楽しみもあります。残り全部を読みたいと思えば、借りてくることもできます。ですから、せっかく図書館に行くのであれば、調べ物が終わったあとで、違う棚まで足を伸ばしてはいかがでしょうか。好奇心が満たされること請け合いです。
私は理系ということも影響しているのか、たとえば加藤周一のような論理的な文章を好む傾向があります。彼は医学博士でもあり、賞ちに英語に訳せるような科学的な筆致が特徴的です。 一方、文学者でいうと、髪鏡花の文体はちょっと苦手です。幻想的な作品で知られる小説家ですが、どうしても詩歌のような美文が頭に入ってこないのです。 だからといって、泉鏡花の評価をおとしめるものでは決してありません。あくまで 私自身の感性であり、感性は人それぞれ違うものだからです。 なるべく早く、
自分の感性に合う優れた書き手を探し出すことです。好きな著者が 見つかったら、これほど嬉しいことはありません。感性に合う本を開拓することで、 読書スピードも加速していきます。
本はテレビと違って読み手のペースで情報を摂取する分、「考える」という要素が大きくなります。つまり、本を読めば読むほど思考の時間を得るということになります。好きだった本が、おそろしく陳腐に感じられたりする。もっと違う語り口の本はないのかという欲求があふれてくる。児童読み物に熱中していた少年が、いつしか文庫本の魅力にも気付くのと同じです。そこから自分なりの知性による読書の幕が開きます。その過程こそが、人間の理性を発揮した状態と言えるのではないでしょうか。
とはいえ、新聞も入念に目を通せばよいというものではないのです。よく新聞1日 分のボリュームをあらわすたとえとして「新書1冊分くらいの情報が詰まっている」 と表現されることがあります。往々にして、「だから新聞を精読しよう」という文節 と結びつけて語られるのですが、私はあえてこう提案したいと思うのです。 「新聞を隅々まで精読するヒマがあったら、新書1冊を読んだ方が有意義ですよ」 と。
暗記能力そのものを高める方法もあります。『国家の罠』などのベストセラーで知られる作家の佐藤優氏は、これまで見てきた中で、中東の人たちの記憶力が特に優れていたと評しています。その理由は、子どものころからコーランを暗唱する文化があるからといいます。つまり、記憶力は決して先天的なものばかりでなく、努力しだいで記憶の容量を増やすことが可能なのです。
私は何度か火山学者としてテレビに出演した経験があります。収録の現場で、番組の司会やゲストのタレントさんに何人もお会いしたのですが、実際に彼らを日の前にしてすっかり驚きました。 どのタレントさんも、ものすごいオーラを放っているのです。芸能人として長く第 一線で活動している人は、たとえ体が小さくてもパワーに満ちあふれています。 その一事をもって、芸能界の競争のすさまじさや、そこで勝ち抜くことの難しさを知る思いがしました。 収録現場ですっかり圧倒された私ですが、あとでオンエアされた番組をチェックしてみると、あれほどパワフルに見えたタレントさんに、当日感じたほどのオーラが見受けられません。感覚的には、10分の1から100分の1くらいまで希釈されているように思えるほどでした。 結論としていえるのは、タレントであれ学校の先生であれ、友人であれ、直接コンタクトを取ることで、強いオーラやパワーをじかに感じられるということです。だから、テレビ電話やDVDなどではなく、人と直接会う機会をもっと作ってほしいと思うのです。
師匠を持つことに関していえば、身近に師事する人物を持つ一方で、見ず知らずの人物を師と偏ぐことも可能です。 著名人をこちらから一方的に師と仰いでもよいのです。著書を通じて心酔する著者がいれば、その人の作品をすべて読破してはどうでしょうか。 その人が講演する機会があれば聴きに行ったり、雑誌やテレビなどメディアへの露出を逐一チェックするのもよいと思います。せっかく師事するのですから、「おっかけ」をするくらいの意気込みがほしいところです。
ここからは、人から教わる機会の上手な作り方について考えてみましょう。手っ取り早く人から教わる代表的な手段として、講演会や研修に参加するという手法があります。聴覚を活用した勉強法という意味で「耳学問」と呼ばれる選択肢です。 耳学問を通じて、学習効果が何倍にも高まることがあります。英語のリスニングな どが、その代表例といえます。「真観政要」や「菜概識」などの代表的な中国古典を 吹き込んだCDを聴くのもよいでしょう。 英文のテキストの場合は、ただ日で追いながら読むだけでなく、耳で繰り返し聴く ことによりフレーズが自分のものとして体得できます。耳を活用するのは、脳を活性 化するうえで大きな意義があるからです。
積極的に関わりたいと思う人を見つけたら、できるだけ時間を割いて会話し、あとで1対1で会う機会を作ることです。ただ名刺をもらって名前を知るだけでは、何も起こりません。その人の感性や、その人の世界を知ることによる驚きがなければなりません。「そういう世界があったのか」「こんなふうに仕事をしているのか」という発見と、自分の勉強のモチベーションが合致したときに、チャンスが生まれてくるのです。これは相手にとっても同様であり、相手も自分と出会って新しい世界を知ったという驚きが必要なのです。 1対1で会う機会を作るためには、何らかのコンタクトを取ることが求められます。ただし、一方的に自前のメールマガジンなどを送りつけても、実際のところ効果は疑わしいものです。私自身、名刺交換をした人から、定期的にメルマガが送信されてくるケースがありますが、あまり興味を引かれないのが実情です。
幻冬舎の社長である編集者の見城徹さんは、執筆を依頼するときに、手書きの手紙攻勢をかけるそうです。 そんな作家の一人が五木寛之さんです。見城さんは、五木寛之さんの作品をすべて読んで、その都度手紙で感想を書き送っていたといいます。最初はまったく相手にされなかったそうです。返事すら返ってきませんでした。 五木さんのほうも、最初は「感想文が来たな」というくらいの印象でした。が、 紙はその後も本を刊行するたびに届きます。返事が来ようが来まいが、見城さんは愚直に手紙を書き続けたのです。 そうこうするうちに、五木さんからは18通目で初めて返事がきて、25通目にして始 めて会う機会を得たといいます。 この見城さんの手紙攻勢は、1998年に大ベストセラーとなった五木寛之さんの 『大河の一滴』などの仕事に結実しています。続きを読む投稿日:2023.11.17
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