覇王の神殿
伊東潤(著者)
/コルク
作品情報
蘇我馬子、推古天皇、聖徳太子――古代史を彩った傑物たちの愛憎劇
政敵との死闘、推古大王・聖徳太子との愛憎の果てに馬子が得たものとは。
かつて日本の中心地であった飛鳥(現在の奈良県明日香村)を舞台に、
蘇我馬子の国づくりにかけた生涯を描く。
時は570年、病床に臥す父・蘇我稲目から強大な豪族・蘇我一族の頭目の座を受け継ぎいだ馬子。
以来、大王に次ぐ大臣として、日本に渡ったばかりの仏教に根差した国家を目指して邁進していく。
しかし、理想のためには謀略や暗殺も辞さず、馬子は血塗られた覇道を歩んでいくのであった――。
宿敵・物部守屋との争い、日本最古の女性天皇・推古との知られざる関係、
天才・聖徳太子への嫉妬と恐れなど功罪相半ばする日本最古の〝悪役〟の実像とは。
古代史浪漫小説、待望の文庫化。
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この作品のレビュー
平均 3.7 (3件のレビュー)
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古代史に題材を求めた時代モノの小説だ。この小説の主要視点人物となっているのは「蘇我馬子」である。個人的には、この人物を主人公的な位置に据えた小説に余り思い当たらない。そう思いながら紐解き始めたが、非常…に興味深く、素早く読了に至った感である。
蘇我馬子は551年頃の生まれと伝わり、626年に他界したと伝わる。敏達天皇、用明天皇、崇峻天皇、推古天皇の4代に仕えて権勢を振るったとされている。
最近では「聖徳太子」という通称を余り使わなくなったようだが、その厩戸皇子が同時代では知られている人物ということになるかもしれない。或いは遣隋使の小野妹子というような名が上るであろうか。
「6世紀後半から7世紀前半」というのも、「歴史の教科書に出ていたか…」とぼんやりと覚えている感じで、「形を結ぶ何か」にやや乏しいかもしれない。が、一部にその時代のことを伝えるよく知られた場所も在る。
酷く有名な場所としては、法隆寺が厩戸皇子に大変に所縁が深い場所だ。自身でも訪ねてみた想い出が在る。また蘇我馬子に所縁と伝わる石舞台古墳も、やや訪ね悪い明日香村に在るのだが、凄く知られていると思う。明日香村には飛鳥大佛を要する飛鳥寺も在るが、これは蘇我馬子が築かせた寺の流れを汲み大仏は蘇我馬子の時代に造られたモノがそのまま受継がれているらしい。この石舞台古墳や飛鳥寺も訪ねる機会が在って、想い出に残っている。因みに、斑鳩に在る後の法隆寺や飛鳥寺は作中にも登場している。
前置き、関連が在りそうな余談で文字数が少し嵩んでしまった感であるが、本作に関してだ。
蘇我一族は、蘇我馬子の世代の後に討ち滅ぼされてしまう。冒頭でその様子が暗示されるプロローグが在る。
その後の本作の主要な内容は、蘇我馬子の20歳代から70歳代迄の一代記である。蘇我一族の代表という位置を父から譲られ、父が就いていた大臣の位に就き、政治の世界に身を投じるようになってから、老いて息子の蝦夷に後事を託すという物語ということになる。
蘇我馬子が歩む道は「争い」が絶えない状況と言えたかもしれない。仏教を巡る考え方で対立した物部守屋、天皇(作中では“大王”)の後継に関することで争った穴穂部皇子、外交政策等の考え方の違いが際立って排除される危機を感じざるを得なかった崇峻天皇等と争う。そして直系の皇子が他界して厩戸皇子への妬心から後継者としないようにしようとする推古天皇の頑迷な様子に悩み、高い能力を発揮する実力派の厩戸皇子に蘇我氏が排斥されてしまう可能性を危惧するというように、「争い」の中の人生になってしまっている。
そういう中、蘇我馬子はブレていない。仏教文化が花開く、諸外国との安定した関係の中で繁栄を求め得る体制の確立を目指すということは一貫している。そこに横槍を入れるようなことをする勢力との対立や抗争が生じる訳だ。
本作の蘇我馬子は、抗争の場面では愛馬を駆って活躍する他方、謀略を巡らせ、更にロマンス迄在って、凄く魅力的だ。この魅力的な主人公を軸に、「6世紀後半から7世紀前半」というぼんやりとしたモノに形が与えられる感じになっていると思う。
なかなかに興味深い作品に出遭えて善かった。続きを読む投稿日:2023.11.14
僕が好きな「古代物」の中でも、蘇我氏については、特に興味がある題材だった。この作品は、いろんな意味で、ワクワクしながら読んだ。聖徳太子が、物凄いキレ者で、そのせいで天皇になれなかった、というのも、何と…なく解るような気もする。続きを読む
投稿日:2023.10.02
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