ワイルドサイドをほっつき歩け ――ハマータウンのおっさんたち
ブレイディみかこ(著者)
/ちくま文庫
この作品のレビュー
平均 4.2 (6件のレビュー)
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『ぼくはイエロー』の印象が強いけどほとんど読んだことないブレイディさん。おっさんたちへの祝福エッセイ集とのこと。じいさんになる前に読んでみたい
#ワイルドサイドをほっつき歩け
#ブレイディみかこ
2…3/8/9出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/45oVJeN続きを読む投稿日:2023.08.09
同著者ベストセラー『ぼくイエ』と表裏をなすおっさん達のペーソス。
ブレイディみかこさんの周りの悲しくも愛すべきおっさんのドラマ+αで構成されています。
ブレイディさんのベストセラー『ぼくはイエロー…でホワイトで、ちょっとブルー』と背中合わせ・表裏一体のような作品です。イギリスの階級社会を、学校の子どもたちを通して見つめるか、ストリートのおっさんたちを通して見るかという視点の違いがおもしろい両作ですが、今作のおっさん目線のほうが「老い」をイメージさせたり、悩みの質がより現実的だったり深刻度が高いため(子どもも子どもなりに深刻ですけど)、胸に堪えるコク深い内容になっています。『ぼくイエ』の子どもたちの瑞々しさもいいですが、おっさんたちのしょぼくれた姿がなんとも愛らしいんだよな〜。
前半のおっさんエッセイ集は気軽に読める英国おっさんよもやま話。笑ったり、怒ったり、傷ついたり、色気づいたり、冗談を言ったり、諦めたり、黙々と働いたり、酔っ払ったり、笑ったりするおっさん・おじさん・オヤジがこれでもかと登場します。推しの英国オジを見つけられるくらい、おっさんに親しみを抱きました。後半は世代・階級についての著者目線の解説。階級闘争や世代間闘争、英国の社会についてストリート感覚(著者が言うところの「地べた」)を通して考える第一歩にもなります。特にブレグジット、緊縮財政、NHS(英国の医療制度。作中のおっさんたちのイデオロギーの拠り所)は作中にも解説にも頻繁に出てくるので、それらを通じて英国の社会について知ることができるし、ひるがえって日本は…と考えるきっかけになりました。当たり前っちゃ当たり前なのかもだけど、どこの国にも保守と革新って分かれるもんなんだなと不思議に思ったり。先進国だからかな?発展途上国だと、まだ宗教や信仰の力が大きいから、保守的だったりするのかな?とか考えたりしました。
エッセイでも叔父と甥の関係が書かれたり、解説パートでも詳細に書かれている世代間の相違、世代論。世代論は手軽に世の中が分かったような気分になれる、あくまで話のネタだと個人的には思います。日本でも「団塊」「バブル」「ゆとり」「Z世代」などが話題にあがりますが、ある世代の人間を「こういう傾向にある」と雑にひとまとめにすることが、より断絶を生むと思うし、本当のところは考え方は十人十色人それぞれなはずだし。けれど、世代論が無視できるほどまったくの無価値というわけでもないんじゃないかというジレンマもあるのです。なぜなら、世代というのはその時々の社会、経済、制度、テクノロジー、インフラ、etcの影響を受けるからです。戦時中に飢えていた世代とスマホを操ってウーバーで届いた食事にありつける世代では考え方は変わるでしょう。世代論で雑に分けられることへの抵抗と、世代論でひとまとめにできてしまう便利さのあいだでいつも揺れています。
英国内では階級意識に世代意識、さらに移民へ向けられる目線もあり、複雑な様相を見せています。読後、日本における移民についての議論を調べるきっかけになりました。
本作のオリジナルはコロナ前に書かれたのですが、今回コロナ後に追加された文庫版あとがきでは、本編よりも事態は深刻になっていることが著者から告げられます。本編に登場した人物が文字どおりコロナに殺されたり、英国の厳しいロックダウンでメンタルがやられたり、不安から陰謀論を信じてしまったりしたというのです。同情しつつ時にくすっと笑えた本作ですが、文庫版あとがきが笑えないという、現実の厳しさ。不安に飲み込まれず、極論を声高に語る者に頼らず、かつ健康的に世の中をサヴァイブするって、今の世の中ではハードル高いですよね。「ペーソス」という言葉では済まされない状況のなかだから、各々ユーモアを持ち寄ろうよ、と思います。続きを読む投稿日:2023.12.14
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