大名廃業
安藤優一郎(著)
/彩図社
作品情報
泰平の世を過ごした江戸時代のお殿様は、世襲が前提。戦国大名のように弱肉強食、食うか食われるかの日々を送ったわけではない――。
しかしだからといって、身分が保証されたわけではなかった。幕府の意向に沿わなければ身分を突然剥奪され、下手をすれば命を失うこともあった!
怨恨のあるお殿様を殺害して身分剥奪、領民が江戸に押しかけてトラブルが露呈、お家断絶の原因になりかねないと家臣に閉じ込められたお殿様、親族大名や幕府も巻き込んで、お家存続をはかろうとする人々……。
大名としての身分・地位を失った様々な事例――大名廃業に注目して、お家存続をめぐる諸勢力の思惑や隠れた慣行に迫る。
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この作品のレビュー
平均 3.8 (6件のレビュー)
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改易するも実質減封と主君押込
刃傷沙汰による御家断絶と言えばあの忠臣蔵の松の廊下が有名だが、その前に二度も起こっていたとは知らなかった。
どちらも同じ綱吉時代で、一つはなんなら綱吉自身が黒幕と噂されている。
それでも赤穂事件は…なかなかに教訓的で、2つの面で影響を与えている。
一つは脇差しでどうやって相手を仕留めるかという実践面で、その後に殺害まで至った刃傷事件が実際に起きている。
もう一つは裁定面で、その後の事件では幕府が慎重な対応を心がけるようになったことだ。
お取りつぶしはなにも外様大名ばかりではない。
親藩や譜代大名も結構改易されている。
そもそも、江戸幕府が誕生して最初に取り潰したのも身内だった。
特に三代家光までは苛烈で、秀忠による弟忠輝の改易、家光による弟忠長の改易など、将軍の弟だろうが容赦をせず、何か失態があれば、自らのライバルになりそうな身内も改易させ、自害を迫っている。
他にも秀忠による福島家改易、家光による加藤家改易なども諸大名を震え上がらせたが、これも断固たる姿勢を示して、将軍としての権威を揺るぎないものにしたいという意図が透けて見える。
しかし、容赦ない改易が浪人を増大させ、社会不安を招き、ついには由井正雪の乱発覚に至る。
その反省から幕府は、余程の失政や問題がない限り、大名の存続をはかるようになった。
浪人の増大を危惧しつつ、大名統制の最終手段として改易をキープしたい幕府は、苦肉の策として、2つのパターンを編み出す。
一つは、改易即御家再興、ただし減封というパターンで、もう一つは、藩主導による主君押込というパターンだ。
その場合、一門や重臣の合意だけでなく、縁戚関係の大名や旗本が了承していることも必要で、いわば連帯責任の形をとり、幕府は暗黙の了解を与えつつ、公式にはまったく預かり知らぬことという立場をとった。
前者の改易するも実質減封というパターンは、苦心の痕が見てとれるが、鬼と仏を巧みに使い分け、懐の深さを広く感得させる効果もあったのだろう。
ただし、幕府の本音としては、こちらは伝家の宝刀として温存し、できるだけ後者のように藩主導で解決させるのを良としていた。
江戸後期に入ると、改易はほとんどなくなり、減封や懲罰としての国替えが主となる。
そしてついには、戊辰戦争により、幕府を率いた徳川家自身が改易の危機に瀕するようになり、何とも皮肉な結果に。
幕政を批判したとか、領内の反乱を鎮圧できなかったなど、改易の理由は様々だ。
粗暴であったり、酒色に溺れるなど、藩主の不行跡を咎められた場合もあれば、財政再建の一環として、藩政改革を断行したことによる混乱の責任を取らされて、隠居に追い込まれたケースもある。
「頑張ってるのに何で?」と思わなくもないが、「私領」の「自分仕置」(私的経営)も満足にできず、藩内に不満が高まること自体が、権力のヒエラルキーへの挑戦と捉えられた、徳川独特の「表と内の論理」があったことは、ルーク・ロバーツが『泰平を演じる』で指摘している通りである。 続きを読む投稿日:2023.12.20
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一つ一つのケースが簡潔に書かれていて、その前後はもうちょい内容が欲しかった印象です。
江戸城刃傷事件が意外とあるのかという感じでした。投稿日:2023.10.01
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