小田嶋隆の友達論
小田嶋隆(著)
/イースト・プレス
作品情報
友だちがいるって本当はウソなんじゃないのか。
友だちの友だちは他人。
人と人とがいともたやすくつながってしまう、そんな世の中で、はたして友だちとは何だろう?
稀代のコラムニストが友だちについて考えに考えた!
真の友をもてないのはまったく惨めな孤独である。友人が無ければ世界は荒野に過ぎない。by フランシス・ベーコン
自分の住んでいる荒野をお花畑だと思い込むことができる人間だけが真の友を持つとができる。by 小田嶋隆
2022年6月に他界した著者が、自ら代表作と明言していた小田嶋隆クラシックス3部作、第2弾
<解説>
平川克美「小田嶋隆の常識」
武田砂鉄「チョロいヤツにはなるな」
【目次】
第1章 友だちリクエストの不可思議
第2章 幼年期の王国とギャング・エイジ
第3章 夢の中の自分としての友だち
第4章 ヤンキーとの遭遇と別離
第5章 女の友情のうらやましさ
第6章 ヤクザという生き方
第7章 友情と愚行
第8章 グラスの底に友情はあるのか
第9章 コストとベネフィットとセックスレスと退廃
第10章 異邦人であることの有利さについて
第11章 コミュ力という魔法の杖
第12章 真の仲間を持たない仲間たちの論争
第13章 出発できないジモティーのためのロードサイド
第14章 友だちが死ぬことについて
第15章 友情製造装置としての新入社員研修
第16章 友だちのいない子どもが勉強家になるメカニズムについて
第17章 人気者という専制君主
第18章 恋愛至上主義から友情原理主義への転換と装飾から草食への変化について
第19章 ミソまみれの日常
第20章 チームスピリットという監獄
第21章 一人ひとりが一人である素晴らしい家族の話
第22章 空気を読むな本を読め、ヨメの顔色読んだら負けぞ
第23章 敵を発明する能力
第24章 友だちはナマモノだよ
解説 平川克美
解説 武田砂鉄
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
「友達」という存在は、自分の年齢と共に変わってきます。
特に濃密なのは、中学・高校時代でしょうか。
「青春って、すごく密なので」という、仙台育英高の監督の言葉にみんなが共感したのは、そういう理由もあず…かっているのだと思います。
小田嶋隆さんは、「友達」についてどう考えているのでしょうか(故人なので、過去形にすべきなのでしょうが、まだ受け入れられていません)。
小田嶋ファンにとっては、とても興味深いテーマです。
まさか賛美することはあるまい。
でも、じゃあ、どのように定義、位置付けをするのでしょうか。
位置づけをした上での距離感も含めて、大いに関心があります。
本書で小田嶋さんは、「友達」という存在が、年を経るに従って変質していくさまを、実に的確に表現しています。
「小学生にとってクラスメイトの半数以上は友だちだった。」
「中学生になると、クラスの中で頻繁に行き来する仲間の数は5人ぐらいに減少する。」
「これが高校生になると、クラスのうちの半分は、はなから没交渉になる。」
「子どもが大人になるということは、そのまま友だちを失っていく過程であったりする。」
さて、では、大人になると、どうなるのでしょうか。
「で、大人になると、友だちは、事実上消滅する。」
嗚呼、何ということでしょう。
でも、事実そうなのですから仕方ない。
読後、「友達」という、よく考えると不思議な存在に対する見方が劇的に変わっているでしょう。
ぼくは、「友だちは、友だちという外部の対象である以上に、自分自身の幼年期の延長なのだ」という言葉に、深く感じ入りました。
ピタリとくっつくように隣にあるのに、なぜか触れることができないような、もどかしい思い。
小田嶋さんは、こんな複雑な感情を読者に催させる書き手でもありました。
余りにも早すぎる死で、ただただ残念です。続きを読む投稿日:2023.01.14
著名コラムニストの過去の作品を再編集したもの。好みはあると思うが、本質をつき、議論を恐れない舌鋒にある種の爽快感と快感を得ていた読書は多いと思われ、あまりにも早い逝去が悔やまれます。著者のメッセージは…いつ読んでも時代のギャップを感じないと改めて感じた。続きを読む
投稿日:2023.04.23
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