少女たちの戦争
中央公論新社(編)
/中央公論新社
作品情報
「サヨナラ」も言えぬまま別れた若き兵士との一瞬の邂逅、防空壕で友と感想を語り合った吉屋信子の少女小説、東京大空襲の翌日に食べたヤケッパチの〈最後の昼餐〉……戦時にも疎開や空襲以外の日々の営みがあり、青春があった。
太平洋戦争開戦時20歳未満、妻でも母でもなく〈少女〉だった27人の女性たちが見つめた、戦時下の日常。すぐれた書き手による随筆を精選したオリジナル・アンソロジー。
〈目次〉
若い日の私●瀬戸内寂聴
美しい五月になって●石井好子
私を変えた戦時下の修学旅行/十五日正午、緊迫のNHK放送室●近藤富枝
「サヨナラ」がいえなかった●佐藤愛子
空襲・終戦・いさぎよく死のう●橋田壽賀子
海苔巻きと土佐日記●杉本苑子
続 牛乳●武田百合子
半年だけの恩師●河野多惠子
はたちが敗戦●茨木のり子
人間が懐しい●石牟礼道子
親へ詫びる●森崎和江
戦争/敗戦の夜●馬場あき子
「田辺写真館」焼失 母は強し●田辺聖子
めぐり来る八月●津村節子
葦の中の声●須賀敦子
被爆前後/一個●竹西寛子
にがく、酸い青春●新川和江
ごはん●向田邦子
か細い声●青木 玉
国旗/終戦の日●林 京子
よみがえる歌●澤地久枝
夏の太陽●大庭みな子
子供の愛国心●有吉佐和子
スルメ●黒柳徹子
サハリン時代●吉田知子
戦争の〈おかげ〉●中村メイコ
青い空、白い歯●佐野洋子
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商品情報
- シリーズ
- 少女たちの戦争
- 著者
- 中央公論新社
- 出版社
- 中央公論新社
- 書籍発売日
- 2021.11.10
- Reader Store発売日
- 2022.07.07
- ファイルサイズ
- 2MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (16件のレビュー)
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日米開戦時(昭和16年)二十歳未満だった女性によるエッセイを、著者の生年順にまとめた本。当時19歳だった瀬戸内寂聴さんを筆頭に、3歳だった佐野洋子さんまで、27人の名文が載っている。
書いた時期、目…的とも、50年以上前から15年ほど前までそれぞれ。それぞれに、少女たちの戦争があり、日常があった。文は簡潔で素晴らしくとも、書いていることは、私たちとは変わらない「小さきもの」たちの見た世界。
瀬戸内寂聴さんは、太平洋戦争開始の報を受けても、女子大のクリスマスでは七面鳥を食べたし、鮮満旅行にも参加している。音楽学校に通っていた石井好子さんたちは鶯谷のおしるこ屋で目当ての美青年に「紫」と名前をつけていた。最後ののんびりとした時代だった。
茨木のり子さんの開戦時は女学校の三年生だった。「暗雲はいちどきに拡ったのではなく、徐々に徐々に、しかし確実に拡がっていって、気がついたときには息苦しいまでの気圧と暗さで覆いかぶさるようになっていった」石牟礼道子さんは敗戦の頃代用教員をしていた。その頃、年齢不詳の骨と皮だけの少女を拾った。復調したあと復員兵に出身という加古川へ送って貰ったけど、のちのことは一切わかっていない。「それでも、生あるものたちや、人間が懐かしいから、在るがままに視ているよりかしかたない」
敗戦の年、大庭みな子さんは広島の本川小学校の収容所で、被爆者の介護をしていた。朝に生きていた人が昼には亡くなる。白骨は方々に散らばっている。14歳の夏ことだった。小学生だった黒柳徹子さんは、スルメ欲しさに出征する兵隊さんの集まりを探しては、旗を持って「万歳」を叫んでいた。後に「私も戦争に加担したんじゃないか」と発言した。
本書を読んでいる時に、偶然、戦時少女だった方の聴き取りをした。それを末尾に、支障がない程度でこっそり紛らわせてみたい。
1945年6月22日、倉敷市水島三菱飛行工場を破壊する目的で水島空襲が起きた時に、Mさんは幼稚園年長組だった。工場の川を挟んで数十メートル先の農家の8人家族だった。ずっと空襲警報が鳴って怖いのでよく眠れていなかった。朝8時過ぎ、警報が鳴って防空壕に入る。とは言っても穴を掘ったものではなくて、目標になる家を避けて、田んぼの中に稲藁で屋根を作った小屋のようなモノ。そのすぐ2-3メートルほど先に爆弾は落ちた。砂を被った。後で直径10mほどの穴が開いていた。幸い家族は全員無事だった。空襲が終わって海軍さん10人ほどがやってきて、たくさんの牛が死んでいたので、腹を割って川で洗って、肉を持って帰った。あの赤色は鮮明覚えている。8月15日、近所のおじさんが「戦争が終わったよ」と言った。終わっても2日ぐらいは眠れなかった。3日ぐらいから眠れ出した。爆弾が落ちて戦争が終わった。続きを読む投稿日:2022.05.11
幼年期から青年期に終戦を迎えた女性作家によるアンソロジー。
銃後の女性たちの社会的役割がとても大きく、あの時代において彼女たちは被害者でもあると同時に加害者でもあった。多くの少女たちが軍国少女として…、軍需工場で労働をさせられていた。しかも作っているのは兵士を死なせるためだけの人間魚雷や特攻の飛行機の一部。彼女たちは戦争で学ぶ機会を奪われた上に、知らず知らずのうちに日本軍の愚かな作戦に加担していた。戦争は銃後において女性の社会進出を後押ししていたという側面もあるけれど、その進出は戦争責任に加担することを意味する。わたしは今井邦子という歌人がすきだけど、戦後に彼女は戦意高揚の歌を作っていたことを後悔したことがあったのだろうかと気になった。戦時下での戦争責任に誰しも無関係ではいられない。それはいまでもそうなのかもしれない。続きを読む投稿日:2023.10.29
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