総中流の始まり 団地と生活時間の戦後史
渡邉大輔(編著)
,相澤真一(編著)
,森直人(編著)
,東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター(編)
/青弓社
作品情報
高度経済成長期の前夜――労働力が都市に集中していき、核家族が増えていくなかで、日本は「総中流社会」と言われた。では、総中流の基盤になった「人々の普通の生活」は、どのように成立したのだろうか。
サラリーマンとその家族が住む集合住宅=団地に焦点を当てて、1965年におこなわれた「団地居住者生活実態調査」を現代の技術で復元して再分析する。そして、当時の生活文化や団地という社会空間がもつ意味を実証的に浮き彫りにする。
労働者や母親の生活の実態、子どもの遊びや学習の様子、テレビと一家団欒――「普通の生活」の基準ができあがる一方で、男性の長時間労働や遠距離通勤、性別役割の固定化を生む要因にもなった「総中流の時代」のリアルを照射する。
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この作品のレビュー
平均 3.7 (4件のレビュー)
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1965年の団地調査から、当時の住民の実態を明らかにしていく本。団地の特性が総中流化や性的役割の固定化を引き起こす要因の一つになった。
団地は戦後の日本に良質な住宅を供給するために建てられた。特に対…象となったのは財産の少ない子育て世代。それを実現するために、規格化された住宅を大量に建造することになる。団地を建てられるような土地は限りがあるため、団地は駅前から離れた場所に作れるようになる。これが均質化と男女の役割分担を進めさせた。
駅から遠いことで通勤時間が伸びるため、子育てしながら働くのには向かなくなる。また、入居者は核家族であることから、祖父母のサポートは受けられにくい。そのため母親は専業主婦となり、父親は長距離通勤で労働に専念する形となるわけだ。
住宅政策によって、性的役割の固定化が進む。このような当初意図していなかった方向に影響が出る話は、プチ地政学みたいで読んでいて面白い。続きを読む投稿日:2021.04.17
団地における生活時間の変遷が主婦、家計の担い手である男性、子どもたちなどの立場からとられた統計によって描き出されておりとても参考になりました。
投稿日:2022.02.16
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