評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」
横田増生(著)
/中公文庫
作品情報
【目次】
まえがき
プロローグ
第一章 ナンシー関の才能とその影響力
・作家 宮部みゆきの場合
・天性の観察眼と「規格外」という自意識
・「後悔はしないのか」
・テレビプロビューサー 土屋敏男の場合
・視聴率とは別の、もう一つの指針
・コラムニスト 小田嶋隆の場合
・視聴者と同じ目線の高さ
・イラストレーター 山藤章二の場合
・“自己批判"という新しいジャンル
第二章 <ナンシー関>が誕生するまで
・照れ屋のちょっと変わった女の子
・「ホットドッグ・プレス」での初仕事
・改行なしのコラム原稿
・たけしの「オールナイトニッポン」の影響
・マブダチとの出会い
・丁稚で勝負
・消しゴムを彫って生きる覚悟
・「ビックリハウス」に単身で売り込みに行く
・「ミュージック・マガジン」の表紙に抜擢
・自分自身の物差し
・独自のスタイルが完成
第三章 青森での関直美
・子どもころから「大人」
・実家でのナンシー
・クラスの中の“最後の砦"
・マツコとの鼎談
・高校受験に失敗
・サブカルチャーに傾倒
・「演歌はいいけど、精神的演歌は嫌だ」
・はじめて消しゴムハンコを彫る
・投稿ハガキが読まれ、拍手喝采
第四章 旅するナンシー、歌うナンシー
・香港でパーマをかける
・ハンコとスタンプ台を持ち歩く
・台湾社員旅行の過酷すぎるスケジュール
・「今考えれば、いいこと浮かぶかも」
・ナンシーのバンド時代
・染之助・染太郎の前座でバンドデビュー
・なぜか「嫌いじゃなくなった」カラオケ
・サブカル好きなお相撲さんと出会う
・憧れのムーンライダーズに緊張
・いくつもあったカラオケの十八番
・免許持つ人、持たぬ人
・箱根への日帰りドライブ
第五章 ナンシー関の全盛期
・はじめての単行本
・愛用の消しゴム
・「噂の真相」での連載開始
・見えるものしか見ない「顔面至上主義」
・日常生活では「人の顔など見ちゃいない」
・永ちゃんのコンサートに「潜入」
・「フォーエバー毒蝮」
・「テレビには出ない」という決断
・本領発揮のプロレス技
・ページはじまって以来の抗議の投書
・大月隆寛との対談「地獄で仏」
・ナンシーの外見と文章
・週刊誌コラム連載で全国区に
・テレビコラムを主戦場に定めて
・デープ・スペクターとの論争
・松本の外したような笑いのセンス
・定点観測の視点
・リリー・フランキーとの対談「小さなスナック」
・ワンアンドオンリーの存在感
エピローグ
あとがきにかえて
<巻末インタビュー>
マツコから見たナンシー
〈解説〉
ナンシー関と雑誌の時代 与那原恵
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商品情報
- 著者
- 横田増生
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公文庫
- 書籍発売日
- 2022.05.25
- Reader Store発売日
- 2022.05.24
- ファイルサイズ
- 13.8MB
- ページ数
- 400ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (7件のレビュー)
-
もう亡くなられて20年…著作は当時色々楽しませていただきましたが、評伝の中に散りばめられた引用原文を今読んでも、途轍も無く面白いし色褪せていないという不思議。話題は概ね20年以上前のテレビやメディアの…筈なのに!
生い立ちをはじめ、家族や仕事仲間からのこぼれ話等、関直美と言う規格外の天才に関するあれこれを、よくここまで詰め込んだなと感心してしまいました。
改めて色々再読しようかな。続きを読む投稿日:2022.08.18
しばらく前に読了したきり感想を書けずにいましたが、「今年読んだ本の感想は今年のうちに」と思い立ちましたので書きます。
本書の「心に一人のナンシーを」という副題を見て、もう20年以上前から私の心の片隅に…はナンシーが棲み着いていたのかも、と気づきました。
あのテレビや芸能人、世情に対する鋭い批評眼と文体にはとても到達できる気がしませんが、テレビ番組などを少し違う目で見て考えようとする癖がついたのは彼女のおかげだと思っています。
ただ、違う角度で考えようとしても、つい「作り手側の視点」とか余計なことを慮ってしまうのが現実です。
ナンシーのすごさは、番組の作り手や出演者に無用な慮りをすることなく、容赦なく批評で斬り続けたことにありました。
本書に、斬られた芸能人が歩み寄ろうとしても受け付けなかったとの記述がありましたが、それはなかなかできることではないと思うと同時に、彼女の本質の心優しさに根ざす行動でもあったと思うのです。
「時の人」の出現・出没範囲が旧来の放送界だけではなくSNS、動画といったネット界にも広がっている2020年代に、もしナンシーが生きていたならどこまでカバーできていたでしょうか?
また、メジャーな雑誌に連載を持ってからも、ご意見番ではなく在野のスタンスを保とうとし続けた所に彼女の魅力があったと個人的には考えていますが、SNSや動画さえ使いこなせれば誰もがご意見番を気取れてしまう今の世界をどう批評して斬ってくれただろうか? そんなことを考える瞬間が今も時折あります。だから私は、心の片隅のナンシーを決して見失うまいと留め続けているのかも知れません。
続きを読む投稿日:2022.12.31
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