この作品のレビュー
平均 3.8 (14件のレビュー)
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このレビューはネタバレを含みます
良い意味で期待を裏切られた作品です。
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葉真中作品はデビュー作である「ロストケア」でドハマりし、続く「絶叫」、「Blue」と高評価をつけ読み終えました。
「ロストケア」は社会派の最高傑作だと思っていますが、だからこそ私が葉真中作品に求めるのも社会派作品。
手元で積読となっている著者の2作品「凍てつく太陽」、「灼熱」もブク友さんのレビューを読めばそっち側の作品。
でも、本作は違うんだよなぁー。
前面に出てくるのは所謂パニック小説。
わずか数時間の出来事を651Pの作品にすると、リアルに伝わってきますよね。
恐怖、パニック、悲鳴、絶望...
閉鎖された空間でまさに狩りが始まりますが、狩られるのは「人」、獣達に襲われ、食い殺されていきます。
※本書は「ロストケア」と違い映像化しちゃダメなヤツです。
本作の主人公って...
当初は隆平かと思いきや、早々に...
結愛?拓人?栞?シンって見方も出来るけど、アイを中心にって考えても面白い…
ウーン...?(*_*)?
単なるパニック小説としても読み応え十分な作品なのですが、やはり考えさせられんですよねー「種差別の克服」。
ここまでの感想、きっと未読の方にはチンプンカンプンですよね^^;
でも読み終えた読者の方ならきっと共感頂けるのではないかと...(苦笑)
目的のためには殺人も辞さない過激な動物愛護団体、『DOG』。遺棄動物の譲渡会が行われる会場に集まった隆平、栞、結愛と拓人たちは、『DOG』によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。獣から逃げるため、逃走を開始する人間たち。「ヒト」と「ケモノ」を隔てるのは何か。
内容(「BOOK」データベースより)
殺人も辞さない世界的な過激動物愛護団体“DOG”。ペットの販売イベントに集まった隆平や栞、結愛、拓人たちは“DOG”によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。次々に食い殺される人間たち。彼らは生き延びることができるのか―。社会派ミステリの旗手が切り拓く、パニック小説の新境地!
著者について
葉真中 顕
1976年東京都生まれ。2009年、児童向け小説『ライバル』で角川学芸児童文学賞優秀賞受賞。2011年より「週刊少年サンデー」連載漫画『犬部!ボクらのしっぽ戦記』にてシナリオ協力。2012年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー。『絶叫』が第36回、『コクーン』が第38回吉川英治文学新人賞候補となる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
葉真中/顕
1976年東京都生まれ。2009年『ライバル』で第1回角川学芸児童文学賞優秀賞を受賞。’12年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
投稿日:2023.06.04
ペットの販売イベントに集まった動物愛護団体によっての隆平と栞、会場で歌を歌うはずだった中学生の結愛、拓人たちは、世界的な過激動物愛護団体の<DOG>によって会場に閉じ込められ、獣に襲われる。
次々と襲…われ、食い殺される人間たち。彼らは極限の状況の中、生き残ることが出来るのか……。
ペット産業の闇を描いたパニック小説。
主要と思われる登場人物たちが容赦なく血みどろでガンガン死んでいくので、救いはないんですか……と絶望的な気分に浸れます。
私なんかもともと世の中の大半の動物が苦手なのもあり、読んだ後黒い獣に襲われる夢見て魘されました。単純すぎる。
獣に襲われるのも怖いですが、一番物語に影を落としているのはやっぱり人間の恐ろしさ・醜さです。自分が生き残るために他者を容赦なく犠牲にし、利益のために好き勝手に動物を交配し、「普通」からはみ出たものを排除する。
何となく、七つの大罪(新しい七つの大罪や七つの社会的罪を含む)をコンプリートしたような小説だなと感じました。
そんな中、数名の登場人物たちが見せる良心が、微かに闇を照らしている感じです。
人と動物の関係について考えさせられましたし、読むのにとても体力のいる小説でした。続きを読む投稿日:2023.02.09
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