進駐軍向け特殊慰安所RAA
村上勝彦(著者)
/ちくま新書
作品情報
終戦からわずか3日後の1945年8月18日、内務省警保局から全国の知事に秘密の指示が発せられた。それは、進駐軍向けの性的な慰安所を速やかに設けよという指令だった。副総理が要請し、のちに総理大臣となる池田勇人主税局長が口利きして資金を調達したと伝えられる特殊慰安所RAA。日本人客は入れないその場所で働いていたのは誰だったか。RAAが閉鎖され、街に出た女性たちが国民から疎まれることになったわけとは。占領下にあった敗戦国、その裏側史を活写する。
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商品情報
- シリーズ
- 進駐軍向け特殊慰安所RAA
- 著者
- 村上勝彦
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま新書
- 書籍発売日
- 2022.03.10
- Reader Store発売日
- 2022.03.18
- ファイルサイズ
- 4.9MB
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この作品のレビュー
平均 3.7 (4件のレビュー)
-
RAAが題材に掲げられているが、
日本の歴史とは、世界の歴史とは、政府とは、戦争とは、人権とは、民間人とは、
春を売るとは、春を買うとは‥
など、
考えさせることが多岐に渡り、
興味深い一冊だっ…た。
馬鹿正直に生きたい私は、
かねてから、
本音と建前で成り立つ世の中に疑問を覚えているけれど、
更に世の中の様々な仕組みに対する疑心感が強くなった。
好奇心から手に取った本でしたが、
「考える力」を刺激されるいい本でした!
読み返したい!
筆者は
「RAAはよくない」というお立場で本書を執筆していますが、
あえてニュートラルな立場で読みことをおすすめします。
続きを読む投稿日:2022.11.21
戦後日本の負の遺産RAAについて取材した本。
正直、日本人として知りたくなかった歴史。でも、良い部分も悪い部分も含めて受け入れることが、祖国を知るということ。
慰安婦問題に興味がある人、パンパンを知っ…ている人でもRAAのことは知らないのではないか。と思えるほど、RAAのことは世に知られていない。それだけ闇が深いからなのか。。
それにしても、8月15日の終戦からわずか3日にして早くも日本政府が、それも敵国だった米軍向けの慰安所設置に動くのは、現代的価値観からすると異様である。
まず何よりもそこなの?という感じがする。
恐らくその背景には、南京をはじめアジア各地で盛んに日本軍が強姦を行った実態があったから。
日本の女性を守るために、防波堤が必要という大義名分は尤もらしいけど、防波堤にされた女性達はたまったものではない。
自殺者、精神病になった女性も続出したというから、壮絶なものであったと思われる。
そして、命と身体を張って防波堤になったのに、国の事情で一方的にRAAは打ち切りになり、女性達は着の身着のままで放り出されることになる。
もはや普通の仕事に就くこともできず、結婚もできず、堕ちるところまで堕ちてパンパンになるしかなかった。
この本を読んでから、「ゼロの焦点」、「水曜日の凱歌」を読むと、より理解が深まる。
著者のあとがきが印象に残った。
戦後日本と現代日本で共通しているのは、自己判断を誤った人に対して「自己責任」だと切り捨てること。
「自分が判断したのだからその結果の責任は本人にある」として判断を誤った人に、修正を認め救済するような環境や意識がこの国には一貫してない。
だから、人々は昔から、自分で判断することを恐れ、周囲に合わせて行動するようになり、知らず知らずのうちに同調圧力に巻き込まれ、自分自身も圧力をかける側にまわってしまう。
この指摘は、RAAで働いた女性の受け皿になる環境がなく、世間は村八分にしてしまったことを指している。こういったことは、現代にも共通する。
一度世間からズレたことをした人に対する、バッシング、社会的制裁は物凄いものがある。芸能人の不倫スキャンダルなんかが最たる例。続きを読む投稿日:2022.11.17
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