コロナ危機の政治 安倍政権vs.知事
竹中治堅(著)
/中公新書
作品情報
二〇二〇年一月十五日に日本で最初の罹患者が確認された新型コロナウイルス感染症。中国・武漢での発生から日本への到来、一斉休校、緊急事態宣言とその解除、そして安倍政権の退陣まで。この九か月に及ぶ経緯から見えてきたのは、強大な権力を手に入れて「一強」とまで言われた「首相支配」への制約だった。安倍政権と知事らの対応のプロセスを丹念にたどり、危機が明らかにした日本の政治体制とその問題点を描く。
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商品情報
- シリーズ
- コロナ危機の政治 安倍政権vs.知事
- 著者
- 竹中治堅
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2020.11.25
- Reader Store発売日
- 2021.02.12
- ファイルサイズ
- 15.2MB
- ページ数
- 368ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (8件のレビュー)
-
〇新書で「コロナ」を読む⑨
竹中治堅『コロナ危機の政治』(中公新書、2020)
・分 野:「コロナ」×「政治」
・目 次:
はじめに
序 章 コロナ危機
第1章 コロナ危機対応の見方
第2…章 初動期
第3章 緊急事態宣言の発令
第4章 安倍政権の動揺
第5章 緊急事態宣言の解除
第6章 安倍内閣の終焉
第7章 首相の指導力への制約要因
あとがき
・総 評
本書は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、首相や都道府県知事がどのような動きを見せていたのかを分析したものである。著者は政策研究大学院大学の教授で、主に首相の権力構造を分析してきた専門家である。
高い支持率を誇った安倍政権は、なぜコロナ対策に苦慮し、最後は退陣に至ったのか――そのポイントをまとめると、以下の3点にまとめられる。
【POINT①】多すぎる政治アクター
現行の法制度においては、感染症対策を実施する際の政治的実権が様々な政治アクターに分散してしまうという問題がある。具体的には、安倍政権(首相)・各都道府県知事・保健所を管轄する政令市や特別区などである。そのため、安倍政権が都道府県知事や保健所に対して直接指示を行うことは難しく、同様に都道府県知事が保健所設置市および特別区の保健所を指揮することも困難であった。時には、経済への悪影響を抑えたい安倍政権と感染抑制自体を重視する知事の間で齟齬が生まれることもあった。
【POINT②】保健所の「キャパシティー」という問題
安倍政権が感染症対策を実施する際に足枷となったのが、保健所のキャパシティー問題であった。検査資源が限られる中、PCR検査などは感染の可能性が高い人に限定せざるを得なかった。また安倍政権は保健所への直接的な指揮権を持たないため、世論の批判を受けて検査対象の拡大を指示した後も、多くの保健所は厳格な条件を維持し続けた。さらに厚生労働省が保健所に人員を派遣した際も、両者の連携が円滑に進まないなど、国と保健所が相互に自律的な関係にあることがキャパシティー問題にも影響を及ぼした。
【POINT③】集権化と分権化の迷走の果てに
コロナ対策をめぐる混乱の背景には、一九九四年以降に首相の指導力を高める改革(集権化)が進められる一方で、地方分権を進める政策(分権化)も行われ、全体の整合性を欠く結果になったことがある。今回のコロナ危機のように、国民に大きな影響を及ぼす問題が生じた際、一部の自治体の対策が遅れた(行われない)場合、国や影響を受ける他の自治体に対応する術がほとんどないという。従って、感染症対策について、現在の権限配分が適当であるのかを、改めて検討すべきだと指摘する。
本書から見えてくるのは、従来のイメージとは異なる「地方自治」のあり方である。これまで、地方自治は「三割(四割)自治」などと言われ、国主導の政治構造が継続されていると言われてきた。しかし、感染症対策では、国(政権)の影響力は限定的で、地方主導の政策立案・実施が目立った。それ故に、様々な混乱も起こったが、今後も続くであろう「感染症(コロナ)との戦い」を考えると、この政治構造を前提として様々な問題を検討していく必要があるだろう。
(1122字)続きを読む投稿日:2022.09.17
【琉球大学附属図書館OPACリンク】
https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC03966219投稿日:2021.10.15
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