兵站―重要なのに軽んじられる宿命
福山隆(著者)
/扶桑社BOOKS
作品情報
ナポレオンも、最強ドイツ機甲師団も、旧日本軍もこれで敗れた!
戦争の本質のひとつは「兵站をめぐる攻防」である。
攻撃する側は「相手の策源地や兵站拠点を破壊し、兵站連絡線となるシーレーンや鉄道・道路(とくに橋梁)の切断を追求すること」に尽き、守る側は「相手の攻撃から策源地や兵站拠点を防御し、兵站連絡線となるシーレーンや鉄道・道路(とくに橋梁)の切断を阻止すること」に尽きる。また、兵站をめぐる攻防においては、戦う双方が「攻撃する側」にも「守る側」にもなっている。戦史や戦争の分析を読むと、勝負を決した主原因としてよく挙げられるのが「兵站」――「へいたん」と読む――である。
しかしながら不可思議なのは、いにしえから「兵站」は重要視されてきたのに、実際の戦いではなぜか繰り返し軽んじられ、多くの兵士が尊い命を落としている……それはなぜなのか?
本書ではまず兵站とはどういうことなのか、小学生の遠足と旧約聖書『出エジプト記』を例にわかりやすく解説する。その後本書を読み進めるうえでの羅針盤となる「カギ」を六つ――「兵站を心臓・血管・血液・細胞などの譬えで説明する」「内線作戦と外線作戦」「マハンのシーパワーの戦略理論と兵站」「ケネス・ボールディングの『力(戦力)の逓減理論』」「作戦正面の長さ・面積と兵站の関係」「地政学と兵站」――示して、各論へと進む。
各論で採りあげた戦役は北アフリカ戦線、バルバロッサ作戦、タンネンベルクの戦い、ミッドウェー海戦、ガダルカナル島の戦い、インパール作戦、日露戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争等である。
本書を読めば、「兵站」について、情報、作戦、実戦、それぞれの面できっちり理解できる。これまで「兵站」を主テーマにした一般書がなかったなか、決定版の登場である。
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商品情報
- シリーズ
- 兵站―重要なのに軽んじられる宿命
- 著者
- 福山隆
- 出版社
- 扶桑社
- 掲載誌・レーベル
- 扶桑社BOOKS
- 書籍発売日
- 2020.07.15
- Reader Store発売日
- 2020.07.24
- ファイルサイズ
- 5.1MB
- ページ数
- 311ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (7件のレビュー)
-
元自衛隊の陸将である著者が書いた「兵站」に関する本ということで興味深く読ませていただいた。
兵站とは、武器弾薬をはじめ、数々の戦争必需品等を補給する方法やその補給路を確保することである。
さすが自…衛官が書いた本ということで、現在の日本が世界的にどのような立ち位置にあるかということが如実に示されている書物であった。
日本はアメリカにとっての「浮沈空母」であり、アメリカ軍が極東の中国、ロシア、北朝鮮に対応するための軍事基地(補給基地)であるということがよく示されている。
また、ロシアにおけるシベリア鉄道は極東への補給路としての役割が第一であることなど、目から鱗落ちる思いであった。
本書のなかでは過去の戦争もいくつか描かれているが、やはり、第二次世界大戦における旧日本軍の「兵站」を完全に無視し、いたずらに兵員を消耗させた戦略は批判の対象とされている。
第二次大戦中の太平洋戦闘地区では日本軍は多くの犠牲をだしたが、それは現場における兵士に対して補給がほとんどなかったからである。旧日本軍の兵士たちは、敵に撃たれて死ぬのではなく、餓死したり、病死したりするほうが圧倒的に多かったのだ。
一方、アメリカ軍は補給は万全で、餓死するなど考えもできないような環境で戦うことができた。
この旧日本軍とアメリカ軍の状況の差をみるともはや戦争とも言えない状況である。
非常に興味深い本書であったが、一つ気になったのは参考文献(というか本書が参照しているのは多くがネット情報)が非常に弱いことである。
特に独ソ戦についての考察などは、ウィキペディアを参照するなど、このような書物としてはいかがなものか?
独ソ戦については、大木毅先生の『独ソ戦』(岩波書店)などのような非常に学術的にも価値の高い日本語の書物があるのだから、こういった良書を参考文献として引用すべきであると思う。続きを読む投稿日:2020.11.14
積読解消!
軍事の話は槍の先(戦闘部隊)や頭(戦略・作戦司令部)が真っ先に思い浮かぶ。
本書は戦闘部隊が戦闘を行う為に必要になる物資やその輸送の話だ。
旧日本軍やアメリカ軍を例題にして兵站の重要性を説…く。この縁の下の力持ちがいればこそ槍の先が動けるのだ。続きを読む投稿日:2023.12.28
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