Measure What Matters(メジャー・ホワット・マターズ) 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR
ジョン・ドーア(著)
,ラリー・ペイジ(序文)
,土方奈美(訳)
/日本経済新聞出版
作品情報
あなたが目標に向かって
前進できないのは
やり方が間違っているからだ
アイデアを思いつくのは簡単。
実行がすべてだ!
「やるべきときに、やるべきことに集中できたのは、OKRのおかげだ」
――ラリー・ペイジ(Google共同創業者)
Amazon, Google, Intuit, Slack, Twitter, Uber ……
大成功を見抜く男、ジョン・ドーア――
シリコンバレーの伝説的なベンチャーキャピタリストが
世界レベルで戦うためのシンプルで確実な方法を
お教えします。
●野心と創造力を最大限に解き放つ
●やるべきときに、やるべきことに集中する
●見当違いな仕事を洗い出す
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この作品のレビュー
平均 4.1 (49件のレビュー)
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ジョン・ドーアは、OKRの伝道師を自任する人物である。著者は、そのキャリアのはじめにおいてOKR発祥の地とも言えるIntelで働いており、そのときにOKRの父とも言えるアンディ・グローブの薫陶を受けた…。著者はその後、クライナー・パーキンスでスタートアップ企業にグローブの教えであるOKRを広めてきた。サン・マイクロシステムズでデスクトップ部門の長になったときにも、OKRを十全に活用した。中でもジョン・ドーアが、まだ30人程度しか社員がいない初期のGoogleでOKRの話をし、その後Googleでの管理手法として採用されたことで、ジョン・ドーアおよびOKRはその名声を高めた。
Intelを成功に導いたアンディ・グローブは、その著者『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』でも詳しくその自身のマネジメントスタイルを言語化している。そのベースはMBO (目標による管理制度)である。OKRは目標による管理というベースにしているが、高い目標を設定するなど、一般的な目標管理と比べてその力点には微妙な(だが本質的な)違いがある。もっとも大きな違いは、目標管理と給与や評価を連動させない、というところかもしれない。その根底には「アイデアを思いつくのは簡単。実行がすべてだ」というものがある。いかに組織として実行し、望む結果を出して出していくのか。その答えのひとつが目標による管理であり、より効果的な方法論であるOKRである。
OKRとは何なのか。本書で書かれている次の定義が適切かもしれない。
「目標(O)とは「何を」達成すべきかである。それ以上でもそれ以下でもない」
「主要な結果(KR)とは、目標を「どのように」達成しつつあるかをモニタリングする基準だ。有効なKRは具体的で時間軸がはっきりしており、意欲的であると同時に現実的だ。何より重要なこととして、測定可能で検証可能でなければならない」
そして、目標(O)と主要な結果(KR)の関係は、「KRがすべて達成されれば、目標は必ず達成される」というものだ。
端的にいうと、OKRは、「みなさんの最も重要な目標を明確にする。全員の努力のベクトルを合わせ、協力させる。組織全体に目的意識と連帯感をもたらし、多様な活動を結びつける」ものなのである。チームをまとめ上げるための明確な目標が、そこに至るまでの方法の明確化が、効率的なアウトプットには絶対に必要なのである。それがOKRの意義となっている。
OKRによって実現されることを本書に沿って体系的に解説すると次のようになる。
①フォーカス: 優先事項にフォーカスして、全体をコミットすること
②アラインメント: 組織内で目標をアラインメントして、チーム間で連携すること
③トラッキング: 進捗をトラッキングして、責任を明確にすること
④ストレッチ: 高い目標に向けてストレッチして、より大きな成果を得ること
またOKR運用上の重要なポイントとして、著者は頻繁にかつ適切なフォローの場を設けることを挙げる。著者はこれをCFR: 対話(Conversation)、フィードバック(Feedback)、承認(Recognition)とまとめて表現する。「きちんとコミュニケーションを行うこと」というのは当たり前のことだが、「CFR」というように行動につながるわかりやすい表現に翻訳することは重要だ。個人を単純に数字には置き換えられないことを認識して、柔軟な相互フィードバックを行うことがOKRの運用には重要である。
OKRによる管理は、一般的に考えられているのとは反対に、マイクロマネジメントを不要にする。「健全なOKR環境では、アラインメントと自律性、共通の目標と独創の自由のバランスが取れている」という。そのためには文化として根付くことが必要だという。Googleには完全にOKRが文化として根付いた。アンディ・グローブも『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』の中で「簡単に言えば、文化とは価値観と信念であり、企業内での仕事の仕方、その正しい姿についての知識である。要するに強固で前向きな企業文化は絶対に必要である」と書いた。おそらくポイントは、OKRとCFR文化の最大の特徴は透明性の高さなのである。
上に挙げたような基本をもとに、実行にあったってはいくつかの実際的なポイントがあるので、挙げてみたい。
・常にアウトプットを測定すること(例えば週次で)
・日々の活動を組織のビジョンと結びつけること
・目標は何度も繰り返して浸透させること
・目標や主要な結果を給与や賞与と連動させないこと
・主要な結果は数字で達成できたか否かが判断できること
・主要な結果は多くても5つ以内であること
・主要な結果は「数値目標」と「品質目標」がセットとなっていること
・評価は達成度ではなく、CFRによってパフォーマンスによって行うこと
・サイクルの途中であってもOKRの見直し、追加、削除は行って構わない
・サイクルの始まる時点で、100%達成しないといけない目標(コミットするOKR)と、社運を賭けた大胆な目標(野心的なOKR)をはっきりと区別すること
・承認は頻繁に、具体的に、目立つかたちで行うこと
・OKRにグループとして取り組む場合、「主要な結果」を個人に割り当て、責任を持って取り組ませること
実態として、うまく行くかどうかは、こういった細部とメンバーがどこまでそのことを納得しているかに依存するのだろう。
なお、目標については一般的に「SMARTの法則」というものがある。
・Specific:あいまいではない具体的な目標であること
・Measurable:測定可能な目標であること
・Achievable:頑張れば何とか達成可能な目標であること
・Relevant:目標が組織全体にとって重要であること
・Time-bound:時間軸が明確な目標であること
OKRの目標設定にも共通するものがある。目標による管理は組織運営の基本である、と思える。「OKR」という名前を使うかどうかは別として、組織管理のフィロソフィとして理解をしておきたい概念である。
なお、ジョン・ドーアのOKRに関するサイトが以下にある。こちらの方も参考にしていきたい。わかりやすいTED TALKのスピーチへのリンクも含まれている(2019/5時点)。
whatmatters.com
やや話がずれるが、本書の中で「ダメ会社は危機で潰れる。良い会社は危機を乗り切る。最高の会社は危機を糧にする」と書いてある箇所で、Huaweiのことを少し考えた。Huaweiは「Huaweiの冬」を乗り切ることができるのだろうか。
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『OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4822255646
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』(アンディ・グローブ)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4822255018続きを読む投稿日:2019.05.26
アイデアを思いつくのは簡単、実行がすべてだ。
会社が飛躍的な成長を実現するにはそれを明文化する必要があるが、評価と紐づいていると社員は思い切ったことを言わなくなる。MBOでもOKRでも、それを明文化…し実行に向けて一歩でもいいから前進させることがキモなんだろう。
そのために、我々は以下の『主要な結果』を尺度として、この『結果』を達成する、と心理的安全性をもって皆が言える体制をつくることで、『危機を糧にする』最高の会社になれるのだろう。続きを読む投稿日:2024.01.21
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