不平等社会日本 さよなら総中流
佐藤俊樹(著)
/中公新書
作品情報
実績主義や自由競争の市場社会への転換が声高に叫ばれている。だがその「実績」は本当に本人の力によるものか。著者は社会調査の解析から専門職や管理職につく知識エリートの階層相続が戦前以上に強まっていることを指摘。この「階級社会」化こそが企業や学校の現場から責任感を失わせ無力感を生んだ現在の閉塞のゆえんとする。一億総中流の果てに日本が至った新たな階級社会の実態を明かし真の機会平等への途を示す。
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商品情報
- シリーズ
- 不平等社会日本 さよなら総中流
- 著者
- 佐藤俊樹
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2000.06.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 3.1MB
- ページ数
- 208ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (23件のレビュー)
-
amazonでも長らく売り切れだったこの書、とても期待して読み始めたが、第1章から第3章までのグラフとその解説は、どこまでが分析手法やデータの説明で、どこからがその分析とポイントなのか、という点が入り…乱れていて、一つ一つは非常に丁寧に書かれているにも関わらず、少し読みにくいように感じた。
また、例えば「W雇上を開く」といった表現を随所でしていて、勿論始めに解説がされているのだが、どうも最後までしっくりこの意味をもう少しこういった分析手法を勉強していないものにもわかりやすい表現で書いてくれると、より新書としての取っ付きやすさが高まるのではないかと思った。
同時に、後半第4章以降の筆者の分析中心の章は非常に興味深かった。
著者の指摘の中で面白いと思った部分を私なりにまとめると、
80年代前半までの戦後の階層社会は、それなりに「努力すればなんとかなる」社会になっており、「上」にいける可能性を信じることができた、という点において、大多数の人間が中流になり得た「可能性としての中流」社会であった。(pp.86-87)
現在は父が管理職であれば自分も管理職になるものだ、と言う風に考えられているがゆえに(私の註:社会資本の再生産システム的なものが存在しており)、選抜システムの中で残ったという事実だけが残り、現在の地位を自分で「選び取った」という実感も責任も伴わない。
エリートたちは、曖昧な形で選抜試験を勝ち抜き、「実績」を作る。実際はすでにもっている社会資本(例:ホワイトカラーの父親がいる)によって優位を得ているにも関わらず、競争に勝ち残ったという事実だけが残るため、他人の目からみたら正当な権利のように映る。
ペーパー試験を中心とした高度に平等で一元化された選抜システムを勝ち抜いて来たエリートたちには、自らが恩恵を受けいてる学歴社会や偏差値偏重教育選抜そのものを否定することによって、選抜システムの「空虚さ」を言明し、そのシステムの中の敗者の意欲をそがないようにするのがお約束になっている。
(以上pp.107-118)
そして著者は、ここでエリートがエリートである責任を逃れていること、そしてエリートが作っている「実績」の既得権化を指摘する。
自分がエリートであることの責任感、エリートであるからこそ社会に還元/貢献すべき役割があることを、日本人は実感していないのではないか。
ノブリスオブリージュは元々西洋で生まれた概念だが、日本だけではなく、アジアにおいてこの観念はどのように解釈され、エリートのはやす役割は一体なんなのか。ということを考えさせられる本だった。続きを読む投稿日:2010.09.15
1 95年SSM調査における「資源配分原理(現実/理想)」に関する質問(回答は実績・努力・均等・必要):理想は努力主義だが、現実は実績主義。ホワイトカラー被雇用上層で実績主義、つまり努力すれば何とかな…るという意識。ただし実際には父親の学歴と本人の学歴に関係がありそう。自営業では努力主義。
2 「世代間(職業)移動」についてオッズ比などを見ると、日本は階級のない、開かれた(選抜)社会になっている(新中間大衆論:村上泰亮)ように見えるが、しかし、W雇上の経路依存性(若い頃はみなW雇下)を考慮して計算すると、団塊世代以降で戦前の閉鎖性に戻っている。
3 (1)W雇上の再生産の潜在化、(2)ホワイトカラー/ブルーカラー境界の横断、(3)ブルーカラー雇用から自営への上昇ルート…戦後の開かれた社会(可能性としての中流)を形成した要因→団塊の世代以降急激にW雇上が閉鎖化
4 「団塊の世代」以降の知識エリート、W雇上…1 力のおよばない範囲まで「実績」にしてしまう 2 その「実績」は既得権へと曖昧化される 3 エリートの自己否定を強いられる続きを読む投稿日:2018.11.18
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