便利な購入方法
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信平は初陣の薬売り。
亡父への想いを胸に江戸の街を行く。
信平の父は時化にのまれ、江戸を見ることなく逝った。
信平を見守るのは父の親友。
懸命に薬売りに励むが、折しも捕物騒ぎが勃発!
日の本じゅう、津々浦々を旅する薬売りが久々にのどか屋に現れた。時を同じくして、黒四組が探索しているのは「上方訛り」の京から下ってきた悪党だという。なりは越中の薬売りだが、中身は上方からきた悪党どもを探し出すことはできるのか。「おいらたちの真似をするとは、許せねえっちゃ」と気概を示す越中の薬売りたちは果たして手柄を立てることができるか――。
*本書登場の小料理
「焼き茄子」
焼きたての茄子は水につけないで皮をむく。
熱いので、指のほうを水につけて、手際よく。
むけたら、へたを切り落とし、箸で四つに割く。
それを器に盛り、だしが二、濃口醤油が一の割り醤油をかける。
おろし生姜を添え、糸がきの鰹節をふわりと載せれば出来上がり。 -
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料理人の腕くらべ再び。
二十年前には父時吉が、こたびは二代目千吉が。
江戸で指折の名店、三役格の旬屋のあるじ幾松と競う千吉。
腕くらべの結末は?
さらに幾松からの思いがけぬ申し出を受けた千吉は…。
かつて江戸の料理人による腕くらべがあった。通人の遊びとして年に一度行われていた。料理人を二人呼び、どちらの料理が勝るか判じて勝ったほうにほうびを与えるという通人らしい遊びだ。その後、料理人の数を増やし大がかりな腕くらべが……。もう二十年前の話だ。これに父の時吉が出て勝った。そして今、二代目の千吉に白羽の矢が立てられて……。
《本書登場の小料理》
・大根餅
大根おろしに細かく刻んだ干し海老を加え、片栗粉と塩を入れて火にかけ、粘り気が出るまで練る。これを広げ、こんがり焼き上がったら、食べやすい大きさに切り、醤油で食す。
(一口大に分けてもよい) -
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中山道の奈良井宿から十二歳の梅次郎が一人、江戸へ料理の修業に!
料理自慢の老舗旅籠の主が中風で倒れ厨には立てない。
跡取り息子は父から料理を習いはじめたばかり。
このままでは店が潰れてしまう。
中山道で江戸から三十四番目の宿場が奈良井宿だ。京からでも三十番目になる。宿場町の外れに料理自慢の老舗旅籠「美杉屋」があるが、主が中風で倒れ厨には立てなくなってしまった。跡取り息子の梅次郎はまだ十二歳、料理を教えはじめたばかりだった。このままでは美杉屋の味が消えてしまう。そんな折、「のどか屋」の常連で幕府の御用を務める「黒四組」の面々がやって来て…。
*本書登場の小料理*
~新生姜と枝豆のかき揚げ~
新生姜は皮つきのまません切りにし、枝豆は固めに茹でておく。
揚げるときにも火が入るから固めでよくなる。
浅いおたまですくったものを鍋肌に沿わせるように入れる。
固まって浮いてから少しだけ揚げる。
出して油を切る。 -
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人の情けの花が咲き、不思議な縁えにしで結ばれるのどか屋は心ほっこり。
火事で落命した父の敵討ちをしようと火消しになった双子の兄弟が、大火で親と
はぐれた双子の姉妹が手伝うのどか屋で出会い……。
のどか屋のおかみは十数年前、大火のなか、蔵のかげで泣いている双子の赤子あかごを見つけた。赤子は江美えみと戸美とみと名付け、有徳うとくの人、井筒いづつ屋にあずけられた。その十数年後、縁のあるのどか屋を手伝うことに。ここで新たなる縁が結ばれた。双子の姉妹を見初みそめたのは、双子の火消し兄弟。兄は竜太りゅうたで弟が卯之吉うのきち。二人の父はかつて火事にて落命。その敵討ちを志したというのである。
*焼き牡蠣飯かきめし*
牡蠣は大根おろしをからめて生臭さを取り、鍋に油を敷いて牡蠣を焼き、酒1、味醂2、濃口醤油1、一味唐辛子少々を加えた焼きだれを加えるのが骨法。
ほかほかのご飯に焼き牡蠣を載せ、焼きだれをかけて葱と針柚子を散らす。
(本書より) -
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料理の修行中に死んだ兄の遺志を継いで六年、故郷の潮来で見世を!
潮来自慢の飯屋はここよ
酒も肴も江戸仕込み
田楽蒲焼き豆腐飯、蕎麦水団汁に餡巻きよ
兄にゆかりの益吉屋
潮来から料理修業のため江戸に来た益吉が病のため二十一の若さで亡くなり、その遺志を継いで出てきた弟の寅吉が六年の修業を終え、これから故郷に戻って見世を開こうとしている。寅吉が修行中の浅草長吉屋の長吉は、六年前に益吉の骨壺を届けられなかった悔い故、潮来まで同行するという。さらにはのどか屋の千吉に、一緒に行って見世びらきまで助けてやれというのだった。
*秋鯖の味噌煮(本書より)
――まずは切り身に塩を振ってから霜降りにしてやることだ。さらに生姜を加えて煮ると、青魚の臭みが抜けて、ちょうどいい塩梅になる。もう一つの勘どころは、煮汁に味噌を入れるのではなく、練り味噌を別につくってから加えることだ。 -
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のどか屋と長吉屋の春夏秋冬の小料理が遂に早指南本となって。
あれも駄目これも駄目の天保の改革の締め付けの下、せめて家では名店の味を!
改革で廃業の人情本作者がのどか屋で見つけたのは?
早指南本『料理春秋』の準備が順調に進むなか、暗い顔をした総髪の客がのどか屋に入ってきた。人気人情本作者の吉岡春宵だ。これまではよかったが、天保の改革が春宵を襲った。人情本などまかりならぬと、百敲の刑を受けた。春宵は筆を折り、身投げの下見で大川端へ……。のどか屋の常連たちが、同じくお咎めを受けて噺家から屋台の蕎麦屋になった元松のことを話して…。
*秋刀魚のおろし煮(本書より)*
揚げたての秋刀魚を大根おろしで煮るとおいしい。からりと揚げた秋刀魚を、だし汁と味醂や醤油を加え、ひと煮立ち。そこへ大根おろしを加え、またひと煮立ちしたところで火から下ろし、青葱を加えて皿に盛る。 -
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庄内藩に寝耳に水の命。
疲弊した川越へ国替え。三方領地替えを覆せ!
三代目を待つのどか屋にみちのく訛りの訳あり客。
百姓と雖も二君に仕えず!
越訴衆の江戸での秘策に、のどか屋の常連客らも……。
旅籠付き小料理のどか屋ではこの秋にやや子が生まれる。三代目を心待ちにしているのどか屋に、なにやら訳ありの、みちのく訛りの客が来た。庄内藩の百姓衆という。庄内藩には寝耳に水の沙汰が下されていた。裕福な庄内から疲弊した川越国替えだ。非道なる三方領地替えを沙汰止みに! 百姓と雖も二君に仕えずと、越訴衆は庄内から全国へ、そして江戸へ……。
*本書に登場する小料理*
・小鯵南蛮漬 ・枝豆海老かき揚げ ・穴子八幡巻き
・揚げ出し豆腐の梅肉かけ ・めで鯛づくし
・焼き茄子の煮浸し ・金平豆腐
・野菜の焼き浸し ・八杯豆腐 ・甘藷飯 -
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大火を生きのびた赤子、双子の江美と戸美が、悪党退治の大手柄!
二人あわせて「江戸」となる江美と戸美は、のどか屋はじめ三軒の旅籠のかけもち手伝いに。
折しも上方から偽薬の悪党らが来て……!
岩本町で焼け出された先の大火のとき、のどか屋の時吉とおちよは一石橋の蔵のかげで泣いている双子の赤子を見つけた。見拾てはおけないから、保護して江美と戸美と名づけた。赤子は有徳の人、井筒屋の善兵衛にあずけられ、十三年が経った。双子の娘は、のどか屋はじめ三軒の旅籠をかけもちの手伝いに入って……。折しも上方から偽薬の悪党らが江戸にやってきたのである。
*本書に登場する小料理*
・海老と小柱のかき揚げ ・玉子粥 ・あさり玉子丼 ・常節の松笠煮
・白魚の筏焼き ・高野豆腐の揚げ煮 ・ 鰹の焼き霜づくり
・蛸と大豆のやわらか煮 ・胡瓜と竹輪の梅酢和え -
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『豆腐百珍』の後追いで早指南本を出そうと版元がのどか屋へ……。
刀を包丁に持ち替えたとき時吉が禄を食んだ大和梨川藩の若き藩主が初めて江戸へ。
折しも「ご案内の辰」なる賊による拐かしが続出し……。
のどか屋の時吉がかつて禄を食んでいた大和梨川藩の殿さまが初めて江戸へ。先々代の殿の病床に「江戸の味」を届けに行った縁もあり、新任の殿さまは興味津々。早速、お忍びで、のどか屋へ……。折しも江戸では「ご案内の辰」 なる賊が身代金目当てに大店の隠居を拐かすべく、いいところへ御案内しますと駕籠をすすめて……。江戸見物に出かけた、お忍びの殿さまが狙われた。
本書に登場する小料理
・鯖と椎茸の挟み焼 ・牡蠣大根鍋 ・鯛の塩釜 ・蓮根の甘酢漬け
・だし巻き玉子 ・牡蠣飯 ・生麩の煮物 ・煮奴 ・蛸飯
・餡かけ揚げ蕎麦 ・里芋の田楽 ・焼き柿 ・甘藷飴煮 -
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刀を包丁に替えた時吉とおちよの夢が叶った。
二代目の千吉が祝言!
初めて花板としてのどか屋の春を乗り切る千吉は……。
折しも道行く人をあおって恐怖を撒く大八車の暴挙に、黒四組下賜の十手が唸る!
元武家で、刀を包丁に持ち替えて料理人になった時吉は、師匠である長吉の娘のおちよと結ばれ、跡取り息子の千吉が生まれた。のどか屋は二度の大火で焼かれたが、多くの常連客に支えられ、旅籠付きの小料理のどか屋としていまものれんが続いている。来年からは、千吉がのどか屋の花板で、おようが若おかみ、おちよは大おかみだ。時吉はやがて長吉の見世を継ぐことに……。
*本書に登場する小料理*
・鯛の姿づくり ・赤飯折詰 ・寒鰤の炊き込みご飯 ・寒鮃の湯ぶり
・金麩羅 ・三色玉子焼き ・青柳の玉子とじ丼 ・海山雑炊と鯛煮麺
・七草ご飯 ・納豆の青紫蘇揚げ -
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夏の誉れは若おかみ!
千吉の許嫁おようが、かわら版で大評判に…。
川開きの大川に身を投げた母と子を救わんとして、金槌の千吉が我を忘れ川へ。
溺れかける千吉を救うべく、おようはどう対処したか?
旅籠付き小料理のどか屋の二代目・千吉は両国の川開きの晩、許嫁のおようと花火見物に。大川端で二人は、小さな子を抱いて身を投げた母の姿を見てしまった。千吉は己が泳げぬ金槌なのも忘れて、大川へ……。救けようとしたものの溺れかける。おようは大声で叫んだ。あわてないで、とにかく浮かんで助けを待つように──と。だが、自らも足を滑らせて川のなかへ……。
~本書に登場する小料理~
・生姜の辛煮茶漬け ・蛸の小倉煮 ・浅蜊時雨焼き
・栗ご飯 ・青唐辛子の海老射込み ・焼き茄子の煮浸し
・鯵の押し寿司 ・冷やし鮑と玉豆炒め ・鯛酒蒸し -
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命まで取られねえから、攻めるときは攻めろ。迷いを断って大勝負!
のどか屋の千吉は十六歳。
顔は幼いが料理は大人の味。
惹かれる手伝い娘おように他所から急な縁談が……。
迷った末に出した決意は?
のどか屋の常連、幕府黒四組のかしら安東満三郎が千吉らの前で言った──。おれも女房に声をかけるとき、迷った末に前へがっと進んだ。おれから声をかけたんだ。習いごとの帰りによくすれ違ってたから。あん時に吹いた風をまだ憶えてる。風が背中を押してくれたような気がした。ここを逃して、そのままべつべつの向きへ歩いて行ったら、もう縁はねえと思った──。
本書に登場する小料理
・鰯の雪花菜和え ・油揚げのどか丼 ・大根のほっこり蒸し
・海老三色煮 ・牡蠣の柚子釜づくり ・金目鯛紅白鍋
・寒鰤の味噌照り焼き ・鯖の味噌煮 ・寒鰈の三種盛り ・柿釜 -
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