【感想】うらはぐさ風土記

中島京子 / 集英社文芸単行本
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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6
2
0
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ブクログレビュー

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  • tamazusa_do

    tamazusa_do

    田ノ岡沙希(たのおか さき)52歳。
    アメリカでの結婚生活に終止符を打ち、30年ぶりに日本に住む事になった。
    学生時代を過ごし、武蔵野の面影が残る「うらはぐさ」地区にある、伯父の家を借りて住む。
    一間半四方の庭がついた、築四十年を越えた家。
    土の庭は四季があるのが良い。
    鳥も来る。
    食べられるものが実ればなお良い。

    定職に就いたことがないという秋葉原さんの生き方
    沙希の研究室に遊びに来る、マーシーのぶっ飛んだ敬語
    ゲイカップルのくるりんとさるちゃん
    みな、一見浮世離れしているように感じるが、その実きちんと自分の考えを持っている。
    それに対して、伯父の家を貸してくれた従兄の博満(ひろみつ)は完全に浮世の人である。
    浮世の規則に従うことだけを旨としている。悪い人ではないのだが。

    沙希もこの土地に根を下ろして、うらはぐさと一緒に風に吹かれている、そんな風景を思い浮かべている。
    住んでいる土地を愛せるのは幸せな事である。
    その土地の過去に思いを馳せ、未来を考えて日常を生きる。
    もちろん、その過去の中には戦争の歴史があったり、これからは再開発で街が変わってしまうのではという恐れがあったり。
    何も変わらないというものは無いのである。
    まあ、「いいもんにあれして」行くのがいい。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    衝撃的なフレーズがあった
    ・10年後には世界で八億の人が職を失う、人間そろそろ働かないで暮らすことを考えた方がいい。
    という秋葉原さんの弁。
    ・第二次世界大戦で死んだ日本兵の6割は餓死。軍上層部は「補給」という概念を持っていなかった。
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    投稿日:2024.05.07

  • marumaruchan

    marumaruchan

    読みやすく負担にならない。
    それぞれの変わらないでもらいたいもの上手く残せると良いです。叔父さんの、こちらに考えさせる切り返し…いいなあ。

    投稿日:2024.05.06

  • cookingresearch

    cookingresearch

    このレビューはネタバレを含みます

    中島京子さんの小説を、読むのははやさしい猫についでニ冊目です。新聞の書評か本の広告で引っかかったのか図書館から借りてきました。電車の中でほぼ1日で読み終わりました。
    アメリカ帰りの50過ぎのバツイチの大学教員がひょんなことから借り住まいすることになった東京郊外の庭のある一戸建て。その町うらはぐさで主人公が出会う様々な人々。それは古い一戸建ての様な懐かしい人間関係を築ける人たちでした。家の庭をボランティアで手入れしてくれる秋葉原さん、その連れ合いの刺し子手芸の真弓さん、そして今時の学生とは違う一風変わった学生たち、そして小学校の屋上に菜園を作ろうとする校長先生。
    個性的な面々が令和の功利的な社会に抗してオーガニックな人間的な自然や土の匂いの感じる街を作ることになんとなく目覚めていくという小説でした。

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    投稿日:2024.04.24

  • 湖永

    湖永

    離婚を機に、30年ぶりに帰国した沙希が出会ったのは、うらはぐさ地区の一風変わった人たち。
    店舗の屋上で野菜を育てる秋葉原さんや秋葉原さんと高齢結婚をした刺し子姫。
    独特な敬語を使う女子大生マーシーとその友だちのパティ。
    沙希の気さくな雰囲気は、真似できないなぁと感じたわけで…
    ゆるい感じがしたり、しなかったりのこの微妙な繋がりはなんとも表現し難いと思った。

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    投稿日:2024.04.20

  • まちゃこ

    まちゃこ

    過去にどんなことがあったかはさておいて…
    淡々と、日々を丁寧に暮らしている感じがする主人公が、とても愛おしく感じました。
    変な言葉遣いの女子大生とか、働いたことがないけど、ちゃんと生活しているおじいちゃんみたいな人とか、そのおじいちゃんとまあまあ最近結婚した奥様とか。
    ゲイの同僚とか。
    みんなみんな愛おしい❤️
    続きを読む

    投稿日:2024.04.18

  • harumi nakano

    harumi nakano

    沙希をはじめ、個性的なメンツが粒揃い。
    その中でも、秋葉原さんや従兄弟の距離感がなんとも羨ましい。
    こんな緩い町で、ゆるーく生活してみたい。

    本のタイトルや装丁から、著者のやエッセイ?と思ったら小説だったけれど、なんだかエッセイのような四季の移ろいも感じられ、両得感(小説のようなエッセイのような)も味わえますね続きを読む

    投稿日:2024.04.18

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