【感想】東京都同情塔

九段理江 / 新潮社
(212件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
36
60
77
16
4
  • 同情塔の効能?には疑問だが、言葉の深淵について考えさせられた

     芥川賞受賞ということで、手に取ってみました。
     言葉というモノは、本当に難しいものなんだなと実感した次第です。物語の最初の方で「東京タワー」という名称についてのエピソードがありました。確かに、もし「昭和塔」という名前だったならば、スカイツリーができた今、それでもなお東京のシンボルになっていたかは疑問です。AIで文章を綴るようになったとき、そのような未来予測ができるのでしょうか。また、東京同情塔ではなく、東京都同情塔という名称についての考察も、う~んと唸ってしまいました。確かに、たった一文字付け加わっただけで、印象は全く違ってきますね。
     全体を通して様々な気づきがありましたが、個人的には「東京都同情塔」なるものに賛成はできないないなぁ。このような施設に入ることで、果たして人は幸せを、そして生きる満足感を感じるものでしょうか?
     それがどうも最初から引っかかって、物語そのものにはのめり込むことができませんでした。芥川賞選評の中では、平野啓一郎氏の選評がなかなか興味深いものでしたよ。
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    投稿日:2024.04.08

ブクログレビュー

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  • fumi0235

    fumi0235

    なるほど芥川賞という感じで難解なところもあり読了できるか心配になったけれど、近い将来に起こり得る風景なのかもしれないと感じる部分もあり案外面白く読み進めた。最近の作品って「多様性」を語られることが多いなあと思う。続きを読む

    投稿日:2024.04.28

  • めりけんさっく

    めりけんさっく

    これが現代文の試験に出てきたら間違いなく爆死する わからん
    カタカナを使うとニュアンスを誤魔化せるのは確かに〜と思った 全性別トイレの例えが分かりやすかった
    すべての不幸は他者との比較から始まるとか、無批判な自己肯定とか良いな〜って言葉はあった

    AIの普及に伴って個々の思考が画一化されつつあって、タワーが建つことに異を唱える人がいないことの気味悪さとかなの?
    みんなで曖昧な言葉を使って有耶無耶にしようみたいな感じ?

    自分の至らなさを感じた作品だった
    続きを読む

    投稿日:2024.04.28

  • そら

    そら

    犯罪者=ホモ•ミゼラビリス=同情されるべき人。

    という定義から始まるなんともユニークな言葉の世界。
    感情を排除した無機質な言葉を正確に組み立てる
    主人公の名前が、マキナ(後から調べてみたら、機械•救いの手という意味のギリシャ語?)なのも面白い。
    私には咀嚼しきれない部分も多かったけど、SF的な感覚もあり、AIに侵食されていく人類の破滅みたいな不安が、ラストによぎった。


    『東京都同情塔』かあ。

    平等や寛容さを過剰に求める社会に対しての、斬新な切り口。

    こんなもんできたら、私も張り切って人生初となる反対デモというものに参加させていただきますわ。笑

    続きを読む

    投稿日:2024.04.28

  • CMN

    CMN

    せつねーーー!!!

    牧名沙羅は限りなく非人間な性格で数学が得意の女の子や。少しづつ大人になるにつれ、本来人間の持つ肉欲であったり色々な論理じゃ解決できない欲求を知っていくお話や。

    かつて数学少女だった女の子が、沙羅が沙羅であるために選んだ道なのに、サラとして消費されていくかわいそうかわいいの建築家やね。

    そんな沙羅を見てくれないことにモンモンしちゃう沙羅ちゃん。ソーキュート

    だけど沙羅が拓人に持つ感情は、造形が綺麗とかどれも拓人の外面ばかりで、

    沙羅は拓人が好きよりも
    サラは拓人を通して沙羅の汚いとこを見ている
    のが近いんじゃね?

    一方拓人は人間社会においての一般社会通念に懐疑的で、そういうあまりにも「記号的な人間」なシチュエーションに出くわすと笑いが止まらんくなるんやろうな。

    だから拓人は沙羅の社会ではトンチンカンに見えてしまう行動や発言が好きなんやろうな。

    沙羅は沙羅で、突き抜けてバカだったら幸福だったのに、自分がトンチンカンな発言をしている事に気づいちゃってるからサラを内面化しちゃってるねー

    そして沙羅は自分のことしか見えないというか、本気の会話を相手に求めすぎてて色々と苦しいんやろうな。


    総じてせつねーー!!!


    愛を知りたいのにもう少しなのに!縁が切れてしまったねー!!!くっっーー!!!!


    先月、内藤廣が紀行したザハ・ハディドへの文章を読んだ。

    私は内藤廣の仕事を見るに、このプランを推すとは思えなかった。

    なので日本で彼女の建築が建つことの異常さとそれによる社会の変容をリアルに表現されているように思った。

    非常に満足した。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.28

  • アイスバーグ

    アイスバーグ

    話が高次元すぎて、頭の悪いわたしには少し難しかったです。。
    なんでもかんでも多様性を認めることを善とした社会の行き着く先に対するアンチテーゼ的な作品?

    投稿日:2024.04.27

  • hori2221

    hori2221

    このレビューはネタバレを含みます

    まずまず。
    芥川賞に相応しい。芸術的、ユニークな感性。
    刑務所?を東京中心部の高層ビルに設けると言う先進的なお話。
    分りにくいがきれいな文。常人には書けない。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.27

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