【感想】AIとSF

日本SF作家クラブ / ハヤカワ文庫JA
(19件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
8
6
3
0
0
  • AIとは何か、考えさせられた。

    22編の短編集です。この本で最も印象に残ったのは後書きでした。しかも「この文章はAIが書いたものではありません」という粋なタイトルでした。そしてAIという言葉は、その技術が各機器に使われるのが当たり前になると、自動化という言葉に置き換わってゆくと書かれていた。至言だと思った。後書きの話ばかりしても、仕方ないので、22編の短編の話もします。印象に残った短編ベスト3は以下のとおり。

    「準備がいつまで経っても終わらない件」
    『ウケへんAIとか、大阪ではあかん。逆に、ウケたら愛してもらえるねん』この言葉に関西人の私は納得してしもた。

    「形態学としての病理診断の終わり」
    AIに仕事を奪われた形態学の先生のお話。意思というものに、ちょっと感動した。

    「シンジツ」
    裁判の結果と、AIの結果が食い違っていたらどうなるか。冤罪の可能性があるが、AIの結果だけで司法を動かすことがでるのか。AIを犯人特定に利用するという発想が私には無かったので、この短編には考えさせられた。

    AIについてのSFと言えないような短編もあったおかげで、なおさらAIとは何なのかと考えさせられた。
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    投稿日:2024.04.11

ブクログレビュー

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  • Mkengar

    Mkengar

    日本を代表するSF作家たちがAIを切り口にした短編を書いているということで、深く考えずに購入しました。600ページ以上の大作ですがあっと言う間に読了しました。各作品の冒頭に書かれている1ページの解説が、作品理解にとって非常に有用でした。AIがもたらす未来像を考えるにあたって様々なヒントをもらった気がします。

    以下自分の備忘録として各作品の要点を書きますが、各作品のキーワードが入っていることもあると思いますので、そのあたりはご容赦ください。

    <以下ネタバレにつながるキーワードが入っているケースもあります>
    『準備がいつまで経っても終わらない件』:自ら問いを発するAIの凄さと恐ろしさ。
    『没友』:亡くなった人間として存在するボット
    『Forget me, bot』:AIの回答をエンジニアする。AIに「忘れさせる」テクニック。
    『形態学としての病理診断の終わり』:過去のデータ分析はAIに、新領域を人間に。
    『シンジツ』: AIによる真犯人特定。ただしAIによる冤罪も起こりそう。
    『AIになったさやか』: 亡き人がAIとして「生き続ける」時代の到来。
    『ゴッド・ブレス・ユー』: 亡き人がAIになるだけでなく、体も保有する時代の到来。
    『愛の人』:感情労働を担うAI
    『秘密』:AIに自分の顔を使う許可を与える売顔というビジネス
    『予言者の微笑』:AIによる世界滅亡の予言
    『シークレット・プロンプト』:超監視社会とマイノリティ排除
    『友愛決定境界』:誰が友で誰が敵かを決めるのは誰?
    『オルフェウスの子どもたち』:ペーパークリップ・マキシマイザーの建物版
    『智慧練糸』:仏師が生成AIを使ったら・・・(コメディ)
    『表情は人の為ならず』:表情→文字情報としての感情への変換
    『人類はシンギュラリティをいかに迎えるべきか』:人類リセット計画
    『覚悟の一句』:AIにおける心や意識
    『月下組討仏師』:言葉を介さず脳内イメージを直接アウトプットしてくれるAI
    『チェインギャング』:モノが人をコントロールする世界
    『セルたんクライシス』:アシモフ作品のオマージュ
    『作麼生の鑿』:素のままのところに仏はいる?生成しないAI
    『土人形と動死体』:AIが生み出すもの、AIによる人間のなれの果て
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    投稿日:2024.04.17

  • toshi

    toshi

    AIの発展や利用の著しい昨今、具体的な話としてどのような未来像が描かれているのかを知りたくて読んだ。読了して、その目的は無事に達成されたと思う。

    作品集として楽しく、また興味深く読ませてもらった。すべてについて語ってみたいが、あえて一つだけ挙げるなら「AIになったさやか」が印象深い。読み手の先入観、あるいは願望を覆す物語で、よく練られた構成だった。続きを読む

    投稿日:2024.01.29

  • 魚雷屋阿須倫

    魚雷屋阿須倫

     日本SF作家クラブ編集による短編集である。ポストコロナとSF(2021)、2084年のSF(2022)に続く書下ろしアンソロジー。

     まだ”AI”という言葉がなく、電子頭脳あるいは電子計算機、単にコンピューターと呼ばれていた時代からそれらを題材にした小説があった。人間に造反したり、反乱を起こしたりするものが多かったような気がする。本書にはそんな単純な話はない。現在では実際に人間の能力と同等のAI(人工知能技術)が登場してきたからである。帯にある「未来をつかむのどちらか?」のとおり、未来は一体どうなるのであろうか、気になるといえば気になる。

     本書の最後に収録されてる「この文章はAIが書いたものではありません」は、小説ではなく大学の先生が書いた「現在のAI」についての解説である。AIってよくわからないと感じている方は、これを最初に読んだほうがよい。
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    投稿日:2024.01.22

  • hiro1548

    hiro1548

    こいつはオモシロい。
    そもそもは品田遊さんの作品が読みたくて手にとってみたけど、22人の作家によるAIと人類の未来には圧倒されるばかり。
    とはいえAIについては懐疑的な未来を提示する作家さんが多い。そうかな?
    「AIも単なる技術で、普及すればAIとは呼ばれなくなる」とする鳥海さんの解説は、まったくその通りだね。
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    投稿日:2024.01.06

  • takaparium

    takaparium

    ・月下組討仏師
    ・準備がいつまで経っても終わらない件
    ・シークレットプロンプト

    がお気に入り。

    ・智慧練糸

    は抱腹絶倒。ところでこれの読み方がいまだにわからない……

    投稿日:2023.12.12

  • hiro-9

    hiro-9

    エンタメか純文学かわかりにくくはる。AIが映画で普通になったあと、実社会は様々なAIという名のもとでしんとうしていったが、このSFの未来がここに書かれているより現実に理解可能なもので進化していくのはなんとなく想像していける。続きを読む

    投稿日:2023.11.25

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