【感想】堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法

堤未果 / 幻冬舎新書
(43件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
12
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3
3
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ブクログレビュー

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  • yurisyo

    yurisyo

    次の読書会課題図書がこちら、
    「堤未果のショック・ドクトリン」
    実はこれ、本家(?)とほぼ同時並行で読んできた。

    当たり前だけど先行して読んできたナオミ・クラインのケースより、日本のことが主であるが故により身近で具体的。

    3.11の震災やコロナ禍の裏で、一部の界隈では疑問の声が投げられていたマイナンバーカード、コロナワクチン、はたまた太陽光発電の政策など、自分ごととして想像しやすく、またそれに対する違和感については説得力があった。

    ただ、この本にある主張も一方向の事実で、全体像をその原因に起因させるには強引すぎないかな、と思う部分もある。
    読者に対してわかりやすくキャッチーに認識させるためか、回転ドアという表現が出てくるが、確かに利害関係のある人人物が法整備に直接関わってきたり、仲良し企業との癒着が安易に想像できる政治体制だったりという面では大きな問題だと思う。だが一方で、知っているから、わかっているからこそ任せる、その人物が適任という考えもあるのではないか、と…我ながら甘い性善説に寄りかかりたくもなってしまう。

    たぶんコロナワクチンしかり、マイナンバーカードしかり、もっともっと個別具体なわたしの個人的な体験で不具合がたまたま起きていないということにも、この感覚が影響されているのだろう。
    いろいろ出している数字の一次情報も調べていないし、この本自体にもあったように、数字は切り取り方で事実が違って見えたりもするからなぁ。

    ただ、今自分が生きている国が、民主制であるという事は大きい。

    基本的には政府や世の中の大きな仕組みや流れは、なるようにしかならないと考えている人間なのだが、歴史が勝ち取ってきた民主的な権利、…それは直接的に選挙であってもいいし、消費行動なんかも包含されると思うんだが、については自分の意思で決定したと思えるくらいには頭を使いたいな、と思った。


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    投稿日:2024.04.25

  • yasz

    yasz

    年度末の大掃除で部屋の隅っこから発掘された本で、記録によれば昨年(2023)の7月に読んだ本です。この本の筆者である堤女史の本はこれで4冊目になります。

    大学を卒業して35年間働いてきましたが思い起こせば、入社年に日経平均が当時の最高値をつけてから、ずっと経済は低成長のままで、先日35年振りに日経平均がそれを越えたとニュースになりましたが、日本の経済の将来はどうなのでしょうか。

    振り返ってみると、この4年間振り回されたパンデミック、さまざまな地域における戦争等「歴史は繰り返す」と言われますが、見方を変えれば、誰かが仕掛けて儲けているとも考えることができる様な気がします。

    毎日のニュースを見ながら、そのように頭の片隅で思っていたことを堤女史は本にまとめてくれました。興味を持って読ませていただきました。

    以下は気になったポイントです。

    ・あらかじめ用意しておいた新自由主義のショックドクトリン(規制緩和、民営化、社会保障切り捨て)を、まず「チリ」で実証実験した。二国間の国際交流を活性化する、という名目で交換留学制度を立ち上げて、チリから大量の学生を呼び寄せる。自己負担ゼロの奨学金制度を利用した学生はシカゴ大学でフリードマン教授の新自由主義を学び、卒業後は母国チリに戻り、政府高官、政治家、大企業の二代目などの要職について新自由主義の導入に尽力した(p42)この後、ブラジル、アルゼンチン、アフリカ、中東、イギリス、アメリカ、タイ、韓国、ロシア、中国、日本(小泉政権以降何度も)に導入された(p44)

    ・日本には、マイナンバー・新型コロナパンデミック・脱炭素が仕掛けられている(p54)

    ・政府はマイナンバー制度を施行した2016年から、霞ヶ関の中央省庁で公務員の身分証明書とマインナンバーカードを一体化させた「マイナ身分証」をいち早く導入させたが、これに危険を感じた、防衛省・外務省・警察庁・内閣官房・公安調査庁は反対文書を連名で作成して導入しなかった(p103)

    ・マイナンバーがないと行政が追加でできないことは、1)全国民の金融資産をリアルタイムで完全把握、2)国民の思想と行動を把握する(p114)

    ・現代の日本で国民の金融資産を没収する方法は、国会審議だけではない、議長である総理・内閣官房長官・金融担当大臣・財務大臣・日銀総裁・金融庁長官の6人で構成される「金融危機対応会議」で決められる、ターゲットは預金よりも、株などの金融資産(p115)

    ・2022年12月2日、参議院本会議で改正感染症法、改正予防接種法が成立し、2024年からの紙の保険証廃止と、マイナンバーカード取得の実質義務化が決定した、これによってさらに決まった新ルールは、1)知事の権限が強化、2)製薬会社が支払うワクチン関連の損害賠償を国が肩代わり、3)感染疑いのある人は「自宅待機指示」が可能、拒否した人は懲役・罰則、4)ワクチン接種時にマイナンバーカードを使った場合、政府などが記録確認可能、5)マイナカードをワクチンパスとして利用(p120)

    ・何もかもデジタル化することは、場所を取らずスピードも上がって便利な反面、セキュリティ面では最悪、自然災害で通信遮断もある、災害時に紙の保険証やお薬手帳がいかに大事であるか忘れてはならない(p128)

    ・2022年10月、ファイザーの幹部を参考人として招聘した日、欧州議会議にて「我が社のワクチンは、販売前に感染予防効果のテストなどはしていない」と言った、まさかの事実に議場にざわめきが走った、彼らはそこを信じて45億回分のワクチンを大量購入したので(p177)

    ・日本で2023年2月までに、約7783万回分のコロナワクチンが破棄されていた、2000億塩分を捨てていながら、まだ大量に作らせようとしている(p187)

    ・2023年2月には、ショックドクトリンの本命である「パンデミック条約」の一部として出てきた、アメリカの保守系シンクタンクから「反対しろ」との声が上がったが、日本では全く報道されていない(p202)


    ・ショックドクトリンの特徴の一つは、緊急事態を理由に導入されたシステムが、平時になった後も撤去されずにそのまま残され、いつの間にか定着してしまうこと(p216)

    ・2023年2月にアメリカ海洋大気庁が公表したNASAの最新データは、地球が過去8年ずっと冷え続けていることを示している(p234)

    ・国際再生可能エネルギー機関によると、使わなくなった太陽光パネルのうち、リサイクルされているのは10枚中、たった1枚、部品に使われている有毒物質の処理方法は、世界にまだ存在しない、早い段階に太陽光発電を導入したカリフォルニア州では、カドミウムなどの有害物質の処理が大問題となっている(p240)

    ・値段を決める立場の人が受注する側の企業の関係者と同一人物というのはよくない、ワクチンメーカの日本法人執行役員が東京都の教育委員メンバーというのも似たケース(p255)

    ・2923年10月から始まるインボイス制度により、消費税免税対象だった年収1000万円以下の個人事業主は、10月以降「適格請求書発行事業者」として登録し、消費税を納めなければならない、登録しないと仕事の取引相手が税控除を受けられず、代わりに負担することになる。これにより契約をキャンセルさせる可能性もある(p217)

    ・電気自動車は、運転中に出すCO2は少ないが、搭載するバッテリーを作るプロセスでかなりのCO2を出す、他にも充電、発電を合計すると、走行距離が11万キロを過ぎるまでは、ガソリン車と大して変わらず、途中でバッテリー交換したら、そこからバッテリー生産過程で出したCO2が加算される(p259)

    ・世界で最も温室効果ガスを出しているのは、各国の軍隊、ダントツの1位は脱炭素制作の旗振り役であるアメリカ国防省、これがCOPで問題にならないのは、1997年の京都議定書で散々ゴネて、軍事関連の廃棄排出量報告義務から自国だけ外した、EU46カ国は軍用機分を一般飛行機に入れる工夫をしている、2015年には免除から任意となったが。中国はまだ途上国扱いで報告義務なし、イスラエル、サウジアラビア、インドも同様(p172)

    2023年7月6日読了
    2024年4月13日作成
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    投稿日:2024.04.13

  • fuchen911

    fuchen911

    衝撃的な1冊。
    チープな言い方だけれど、世の中の裏を覗いてしまったような感覚と、これをそのまま信じて過剰に反応すると、世間では要注意人物扱いされるだろうなという諦めを感じた。

    (内容抜粋)
    「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に為政者や巨大資本が、どさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など……。

    特にコロナやマイナンバーが思い当たる節が多すぎて、きっとこの本で書いていることは真実だと思う。
    ただ、違和感を持ったところで、一個人にできる影響力はあまりに小さく、対策が
    ・マイナンバーカードを作らない
    ・違和感の意見を、省庁へ意見として送る
    ・地域の政治家へ意見する…など
    些細なものばかり。
    そうする以外に劇的に止める・変化させる方法はないこともわかるが、無力感が大きい。

    平凡な一般市民が、巨大権力+知識人に立ち向かうすべはないと痛感した一冊。

    であれば、巨大権力+知識人が作り上げるこの理不尽な世界は止められないとして、そのなかでいかに自分が過ごしやすく生きていくか、ということを考えるほうが現実的なのはないか。

    政策に反対の声を大きくあげるだけでは、今の世の中では要注意人物になるだけ。騒ぎ立てるだけでは、真意は伝わらない。

    ただ、こういった真実を暴く本は広く知れ渡ってほしい。数は力なのは間違いなくて、過剰な一部の偏った人だけが知っているのではなく、一般市民にも知ってもらいたい内容だった。そうすることで、少しは政府のやりたい放題を止められるのかもしれない。
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    投稿日:2024.02.03

  • bishop-ms

    bishop-ms

    ショック・ドクトリン
    政府や大企業による火事場泥棒のようなもの
    災害や戦争など混乱に乗じて常時には通らない法案を通したり、認可したりという手法
    シカゴ大学のミルトン・フリードマン教授が提唱している手法であり、全世界に信奉者は広まっている
    資本主義に通底する、今だけカネだけ自分だけ、の世界でゲームを有利に進めるには非常に効果的な考え方
    力を持った方達が更に一人勝ちする考えに我々は立ち向かえるのか
    著者は統制されていない情報を集めることが立ち向かう一歩になると教えてくれている
    検索エンジン一つにしても、情報統制されているGoogleなどではなく、gibiru、disconnect searchがお勧めらしい
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    投稿日:2024.01.21

  • chuck

    chuck

    ショック・ドクトリンとは、人々が災害や大事件でショックを受けている間に、利益誘導のための法案やシステムが制定されてしまうこと。

    さすがの堤未果さん。読みやすく、引き込まれる。日本だけではなく、アメリカでの出来事や雰囲気までもがよく描写されている。

    本当に、世の中そんなことばかりだ。
    特に現在の日本は、世襲議員が多すぎる。政界デビューしたときから既に利権構造の中に組み込まれていて、大衆のことは二の次。自身の政治基盤への利益誘導に、一番のプライオリティを置く。

    つい最近だってそうだった。
    コロナで世界中が疲弊する中での五輪開催。スポーツで感動、みたいな建前はあまりに薄ら寒かった。
    開催のための予算はどんどん膨れ上がり、それでいて予算に見合うクオリティだったかは大きな疑問が残った。
    結局、仲間内に中抜きさせたんだなぁと、絶望感が募っていく。

    そうか、これがショック・ドクトリンなのか!と。名前を与えられてよく理解できた。
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    投稿日:2023.12.30

  • sora

    sora

    この本を読んで、いろいろな違和感がつながったような気がした。著者は、声をあげ行動し選挙によってまだ事態は変えられると言っている。それは希望か。自分は、せめて世界の動きをぼんやりと見ているだけでなく、常に批判的に見ていようと思う。続きを読む

    投稿日:2023.12.24

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