【感想】秋雨物語

貴志祐介 / 角川書店単行本
(48件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
4
14
24
3
0
  • 遠ざかる恐怖とは

    神々しさと禍々しさが裏表になっているというか、得も言われぬほどの絶景や飛翔、美声などの超常的なものと、怖気をふるわすほどの恐怖や悪魔的な理不尽さが薄皮一枚でつながっているような、何とも言えない読後感。

    「餓鬼の田」は、ケロっとした最後の一言で、物語を一挙に完成させてしまう図々しさ。

    「白鳥の鳥」の大西なんて、物語上なくても良さそうなもんなんだけど、明かされるミツコの半生に聞き入る読者代表として欠かせない役割になっている。

    ただ一番いいのは「フーグ」。

    「恐怖には2種類ある。近づいてくる恐怖と遠ざかっていく恐怖だ」

    何か得体の知れないものが迫ってくるのも恐ろしいが、愛する人々や慣れ親しんだ世界から無理矢理引き離されることの絶望感といったら、形容しがたいほど耐え難いはず。
    その経験を小説に昇華させ苦悶する作家と、「虚実の皮膜に棲息する小説家の嘘」を見破ろうとする編集者のせめぎ合い。
    「やっぱりイカレたんだ」とか「最近でこそ、常識人ぶったり、リア充アピールをするやつが増えたが、本来作家などというのは、社会性の欠如から他の仕事には就けなかった敗残者ばかりだから、ほぼほぼ●●●●ばかりだと思って差し支えない」とか、身も蓋もない。
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    投稿日:2023.05.13

ブクログレビュー

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  • オリ

    オリ

    大好きな作家さん。とは言え、ちゃんと読んだ記憶があるのは「ダークゾーン」くらいまでで、今回久々に了読。
    短編なのでサラッと読んじゃったけど、フーグのラストは結構ゾッとしたな〜。
    あとは主人公の性格がちゃんと歪んでる(人間味があるという意味)ところとか、貴志さんのエッセンスを感じた。続きを読む

    投稿日:2024.04.14

  • 夫っと

    夫っと

    いま、内容をぼんやりとしか思い出せないということはそこまで印象が無いということ。
    でも面白かった気がする。

    投稿日:2024.03.02

  • だりあぽっぽ

    だりあぽっぽ

    このレビューはネタバレを含みます

    ホラーって言うジャンルかなぁと思って読んだけど、別に怖くなかったのでちょっと残念。
    「フーグ」と「こっくりさん」が面白かった



    ・餓鬼の田 ★★★
    私も青田と同じく全然全く恋愛がうまくいかなかった時期があったので、その当時読んでたら自分も餓鬼じゃないかと思いそうだなと思った。


    ・フーグ ★★★★
    面白かった!
    怖い話ではないが、得体の知れない不思議なキミの悪い話。
    瞬間移動って楽しそうやけど、これは嫌やなと。


    ・白鳥の歌 ★★★
    前半は音楽の話で全然全く面白くなくて微妙だった。後半のミツコとメアリーの話は興味深かったけど、そんな言うほど衝撃的な内容ではなかったので、うーんって感じ。


    ・こっくりさん ★★★★
    裏こっくりさんってのが面白かった。
    けど、結末はバットエンドのほうがよかったのになぁ〜

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    投稿日:2024.02.16

  • りー

    りー

    このレビューはネタバレを含みます

    中学生の頃からずっと一番好きな作家の短編集。
    続きが気になってしまう文体は流石だけど、他の作品と比べると少しオチが弱いような気もしてしまう。
    1つ目餓鬼の田は強いオチではないけど短かく纏まっている作品。
    2つ目のフーグは意表を突かれたラストではあったけど、中盤までホラーテイストが強かった割にはコミカルな終わりなのがややアンバランス(ウォーターベッドに閉じ込められるってどうしてもコミカルさが漂っちゃいませんか)。
    3つ目の白鳥の歌は散々怖そうな雰囲気を醸し出した割にはそれほど怖くないオチ(天使の囀りと比べてしまうとどうしても…)だか話の進め方はやはり面白い。
    4つ目も話の進め方は面白いけど、大体自業自得だしそれほど怖いとか意外性はなかったかな。
    貴志祐介の作品はオチの意外性だけでなく序盤から中盤の読者を惹き込む物語の進め方に良さがあると思うから、長編のほうが絶対面白い気がする。

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    投稿日:2024.02.04

  • 稲石浩司

    稲石浩司

    ホラー短編集。

    「餓鬼の田」
    「フーグ」
    「白鳥の歌」
    「こっくりさん」
    の4編収録。
    貴志さんにしてはパンチやキレがない感じです。
    「餓鬼の田」はショートショートとしてのキレはあるものの心臓に響くようなパンチが足りないです。
    「フーグ」と「白鳥の歌」はSF的なホラーですが、冗長すぎるきらいがありキレがないです。
    ただ、「フーグ」のオチはビクッとさせられるパンチが聞いている感じです。
    「こっくりさん」は死んだ友人の言葉が呪いから救いになる感じはよかったのですが、冗長的でオチもイマイチなのが残念です。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.18

  • たけやん

    たけやん

    ホラーテイストな4短編集。少しづつ、恐怖がじんわりと心に浸水するようだ。正直貴志さんにしては中途半端な気がしないでもないが、文章が上手いので読ませる。この不穏さ・煙に巻かれた感じがいつの間にかクセになっていた。『餓鬼の田』→あっけないオチに切れ味が光る。個人的にはこういうの好き。『フーグ』→これが一番怖い。『白鳥の歌』→これは長いウンチクの割にいまいち。『こっくりさん』→王道オカルト。こっくりさんはやるもんじゃないね。続きを読む

    投稿日:2023.12.31

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