【感想】「ユーザーフレンドリー」全史 世界と人間を変えてきた「使いやすいモノ」の法則

クリフ・クアン, ロバート・ファブリカント, 尼丁千津子 / 双葉社
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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  • 「あとがき」でパズルのピースがはまった快感を味わいました

    スリーマイル島事故をもたらした酷いUIからiPhoneがもたらしたNoisyな世界、そしてリプロダクティブヘルスの社会実装まで、私にとっては畑違いのクリエータ側視点が豊富で興味深かった。特に、中国のスマホがGoogleモバイルサービスなしで成り立つのが不思議だったのだが、それをメンタルモデルの違いで説明されていたところで感銘を受けた。続きを読む

    投稿日:2021.04.28

ブクログレビュー

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  • paintbox

    paintbox

    冒頭、ヘンリー・ドレイファスの話がかなりだらだらと冗長で、頭からちゃんと読もうとすると眠くなってしまうが、ドレイファスの章を抜けた後は面白くて最後まで一気に読んでしまった。この本にはいっさい、「グラフィックデザイン」や「広告のデザイン」について言及されていない。しかし、「本当のデザインやデザイナーの歴史」がここに書かれているのだと感じた。そしてWebデザインはこの歴史の流れの中にあるわけだから、そこに携わるデザイナーに必要なスキルがどんなものか見えた気がした。続きを読む

    投稿日:2023.02.24

  • 2319chan

    2319chan

     デザインのお勉強。

     …こうした状況から「対応づけ」「操作のしやすさ」「メンタルモデル」が生まれるはずがない。この三つの要素は、今日スマートフォンを持っている人なら当然だと思っていることだ。それらは「ユーザーフレンドリーな世界」がうまく機能するための原則である。あなたが使いこなしたい機械が原子炉であろうと子どものおもちゃであろうと、この三つの原則がすべて必要となる。人が機械に使いこなせるようになるためには、機械はパターンの集まりである「パターン言語」に則ったものでなければならない。

     …私にとって最も意外だったのは、精神分析医に聞いた「配偶者と生産的な議論をするための秘訣」を妻が教えてくれたときだ。それは、「配偶者が言っていることに耳を傾け」「言われたことをすぐに繰り返し」「繰り返した内容が正しいかどうか配偶者に確認する」ということらしい。ボタンが押される、フィードバックが送られる、行動が確認される。まさに操作ボタンと同じではないか。共通の理解を形成することは、私たちが社会にもたらすほかのどんな影響よりも重要だ。デザインとはユーザーにとってわかりやすい、そうした共通の理解が込められたモノをつくりだすことであり、それ以上でも以下でもない。

     …だがドレイファスにとって、これは「きまりが悪い、誇り高い、困惑している、興味があるといった、それぞれの人が生きていくなかで抱く思いを理解することで、その人の人生をよりよくする」というデザインの理想を実現できた出来事だった。彼はこの事例をデザインの神話として、大切に語りついだ。人が思っていることが分かれば、目に見えている問題の奥にある、本人すら明確に捉えらず解決に取り組むことさえできなかった問題に辿りつける。

     …ドレイファスは後年、「私は色、照明、スタイルのどんな組み合わせが、幕が開いた瞬間に拍手の波を起こすかを、ほぼ確実に保証できるほどのレベルに到達していました」と記者に語っている。この言葉から、ドレイファスは「人があるモノを欲しがる根底には、何らかの理屈がある」を信条としてキャリアを築いてきたことがわかる。

     …おそらく、ドレイファスは「デザインとは、ただ見た目をどうこうすることだけではない。モノがどのようにつくられ、それで何ができるかを知ったうえで湧き出てくるものだ」とはっきりと言葉にし、そして、その考えに従って行動した初のアメリカ人デザイナーだ。

     …会話の決まりであろうと、ユーザーインターフェースデザインの原則であろうと、その目標はわかりやすい方法でやりとりを行えるようにすることだ。どんなやりとりも、話がかみあっているかを双方が確認するため、フィードバックを中心にして行われている。…やりとりしている相手が人間であろうと機械であろうと、その目的は世界に対する共通の理解を生み出すことだ。これは「ポライトネス」を重視する会話の決まりと、「ユーザーフレンドリー」な機械の原則のどちらの背後にもある重要な点だ。

     …ケリーは誰に尋ねられても、のちの成功の鍵はマッキムと、彼から教わった「興味深い問題を見つけることは、興味深い解決策を見つけるよりもはるかに重要だ」という強いこだわりだと答えるはずだ。

     ここ数十年間で、神経科学者たちはようやくこの原因の解明に到達しつつある。物事が私たちの予想どおりに起きても、脳の報酬系は活性化されない。つまるところ脳の回路は、私たちが既知のことを改めて発見したからといって報酬を与えるようには進化していないのだ。一方、私たちの予想外のことが起きたとき、脳は熱烈に反応する。新しい種類の出来事の情報を収集できる機会を察知すると、脳の報酬系は活発になる。

     コジンスキーは心理学で博士号を、精神測定学で修士号を取得していた。精神測定学の分野における研究が始まった当初からの仮定のひとつは、複雑に絡み合っているように見える人間の性格は「ビッグ5」と命名された五つの明確な特徴に集約化できるというものだった。具体的には、新たな経験を求める意欲にあふれた「開放性」「誠実さ(または完璧さ)」「外向性」、相手が思慮深くて協力的だったと思える「同調性」、どの程度動揺しやすいかを測る「神経質さ」の五項目で、それぞれのアルファベットの頭文字を取ってOCEANと名づけられた。

    ■ユーザー中心デザインの手法
    1.ユーザーを起点にする
    2.ユーザーの身になって考える
    3.見えないものを可視化する
    4.現在において見られる行動をもとにする
    5.メタファーのはしごを上る
    6.内部の理屈、すなわちメンタルモデルを明らかにする
    7.範囲を広げる
    8.形は感情に従う
    続きを読む

    投稿日:2021.06.27

  • tabutaka

    tabutaka

    レビューはブログにて
    https://ameblo.jp/w92-3/entry-12681645415.html

    投稿日:2021.06.20

  • 鴨田

    鴨田

    デザインに少しでも興味があるひとにはお勧めの良書。
    第一部 使いやすいモノとは何か
    第二部 欲しくなるモノとは何か
    の二部構成。1978年のスリーマイル島原発事故からFacebookまで。

    P351のことばをそのまま借りると、「ユーザーフレンドリー」は、「使いやすいモノをつくる世界」から「つい使ってしまうモノをつくる世界」「使わずにはいられないモノをつくる」「見るからに病みつきになるモノをつくる」へと変化している。
    いつの間にか怖い話が多くなるなか、コンゴ民主共和国のオセットさんが考えた『マジックバスチケッティング』は、デザインのみで社会を変えた(具体的にはバスという公共インフラの効用を、定時運行のインセンティブ付与により劇的に高めた)、という点で、非常に希望に満ちた話だった。

    スキナーが発見した、ラットも人間も予想通りの報酬よりも予想外の報酬(可変報酬)に対して最も反応する(脳が活性化する)、という点は、所謂、『進化的に安定的な戦略』なのだろう。(パチンコの確変もこれ) また、快楽そのものよりも、快楽が得られそうな予感、が脳内麻薬の正体という。

    2016年のアメリカ大統領選挙におけるコジンスキーのFacebook 解析の影響の大きさは、空恐ろしさを覚える。
    続きを読む

    投稿日:2021.05.05

  • 99

    99

    読了。ユーザーフレンドリーであるとはどういうことか、過去の様々な事例を紹介しながら解説する。自分が普段考えているようなことが言語化されていて、かつその上をいく考察がなされていたのでめちゃくちゃ参考になったし、なんらかのインターフェースの開発を仕事にしている人は必読の一冊と思った。翻訳も読みやすくてよかった。続きを読む

    投稿日:2021.04.25

  • 1520984番目の読書家

    1520984番目の読書家

    https://www.lib.kyutech.ac.jp/opac/search?q=9784575315776

    投稿日:2021.03.17

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