【感想】宇宙【そら】へ 上

メアリ・ロビネット・コワル, 酒井昭伸 / ハヤカワ文庫SF
(18件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
7
7
2
1
0
  • 下巻まで読んだ上での感想です

    1952年、戦後間もなく人種差別も女性差別も蔓延している時代。恐竜を絶滅させたクラスの巨大隕石が落ちる。地球脱出への技術開発がドライブされる中、元戦闘機乗りで物理と数学の才媛がパニック障害を抱えつつ宇宙を目指す物語。面白かった。続きを読む

    投稿日:2020.12.14

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  • るいてん

    るいてん

    人類が、正史よりもずっと早く宇宙に進出した、もう一つの歴史を描いた並行歴史もの。
    正史では世界初の人工衛星スプートニク(ソ連)は1957年だが、この世界では1952年にアメリカはすでに人工衛星を打ち上げている。正史ではアポロ計画は1960年代に発動したが、この世界では1950年代にすでに月へ人間を送り込む計画がスタートしている。
    この対比は面白い。この調子で正史よりずっと早く宇宙開発が進んだら、今頃どうなっていたか。
    当時の技術では立ち向かうのが困難な問題に次々とぶつかり、いかに乗り越えて行くかと言うプロジェクトX的な物語を期待したのだか…
    読み進めるうちに、これ、なんか違うと思った。主人公がぶつかるのは当時の男性優位社会の壁。それをいかに乗り越えて女性宇宙飛行士になるか、と言う物語らしい。

    これ、わざわざ並行歴史SFでやりますか?(笑)

    しかも、宇宙開発を加速させるきっかけになったのが「巨大隕石」の衝突による地球環境の破壊。この設定いる?!
    「きっかけ」として扱うには、重いのだけど。これだけで本一冊書けるくらいです。
    女性の地位向上ものなら、架空の世界の話ではなく、現実の世界の話として書くべきかと。物語の中でどんなに成功したとしても、結局は架空の世界の話で終わってしまうから。

    但し、あえて並行歴史の世界の話として書くことで検証したかったテーマがあるのかもしれない。この調子で正史よりずっと早く男女平等社会が実現していたら、今頃どうなっていたか、とか?

    いずれにしても、まだ上巻なので。
    読みやすい文章で読むのに苦労することない。下巻に期待したいです。
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    投稿日:2023.05.21

  • ひまわりめろん

    ひまわりめろん

    あいかわらずSFも読みまくっているんですが、もちもちさんに自信をもってお勧めできるような大大大傑作には出会えておりません

    そんな中ヒューゴー賞、ネビュラ賞同時受賞のこやつを読んでみました
    もひとつおまけにローカス賞もとってますからね相当すごいことに違いありませんことよ!

    と、かなり期待して読み始めたんですが
    今のところ「うーん」って感じ
    面白いのよ、面白くなくはないのよ

    ただこの世界設定がどうしても飲み込めない
    時は第二次大戦直後、アメリカ東海岸に巨大隕石が落下し多くの人命とともに首都を含む広大な地が失われる
    しかしこの惨劇はさらなる悲劇の始まりでしかなく、巨大隕石の落下が引きおこす気候変化により地球は人が住めない星になってしまうことが判明
    人類(ほぼアメリカ)は宇宙を目指すというストーリー

    この第二次大戦直後という文化とか社会環境や世界情勢そして科学技術なんかがそのまんまで宇宙開発や宇宙移民ってのがアンマッチすぎてもうちょっとイライラしてきちゃうんです

    それがこの物語の核というか面白味なんだろうけどさ
    どうしてもしっくりこないんです
    物語の根底にある前時代的なものを抱えたま宇宙に行けんのよ、わいは

    下巻で色いろぶち壊してくれることに期待や!
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    投稿日:2023.03.21

  • 一条浩司(ダギナ)

    一条浩司(ダギナ)

    1952年、巨大隕石の落下により絶滅の危機が迫る人類は、宇宙開発に希望をつなげるが……。歴史改変SF。

    落下してくるものを阻止しようというアルマゲドンやディープ・インパクトとは逆で、最初に隕石が落ちてしまってからの顛末。1952年の設定で、実在の人物も登場するが、歴史は現実とは大きく異なるものとなっていく。

    隕石落下の影響で、人類の存続が危ぶまれるのだが……。
    あれ?序盤のパニック的な危機感はどこへやら。宇宙開発のさなかで、女性の社会進出問題や黒人とかユダヤ人の人権問題、人間関係のあれこれや自身の弱点との戦いで物語は進んでいく。なんだか、肩すかしをくらったような感じを抱きながらも、主人公の心理描写がうまく、複合的な問題が逆に「宇宙飛行士」という目標に収束していく展開に、感情移入してしまう魅力がある。才知も欠点もある女性が奮闘する物語にどこか共感を覚えつつ、多様な要素を含むディティールに感嘆。
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    投稿日:2023.01.27

  • 翠月

    翠月

    太平洋戦争終結後間もない1952年、アメリカワシントン近海に巨大隕石が落下、辛くも生き延びた主人公 天才数学者 元米軍パイロット“エルマ“と、その良き伴侶 ロケット工学者の夫”ナサニエル“は、環境の激変により海が沸騰、人が住めない惑星となる地球を計算予測し、ロケット開発、宇宙移住計画を邁進する歴史改変SF
    数多の艱難辛苦を超えるアツいヒューマンドラマです
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    投稿日:2022.12.25

  • マッピー

    マッピー

    このレビューはネタバレを含みます

    そもそもこの本が目に留まったのはタイトル『宇宙(そら)へ』
    竹宮惠子の絵が、ダ・カーポの歌声が、瞬時にして脳内で再生されたわけよ。
    『地球(テラ)へ…』
    よく考えたら、方向逆だけどね。


    巨大隕石が地球に落下。
    地球に到達するまで気づけなかったの?
    ミサイルか何かで隕石のルートを変更させるとか、粉々にするとか、できなかったの?
    って思ったのですが、舞台は1950年代のアメリカなのでした。
    つまりアポロ計画の前なのです。

    IBM(つまりコンピュータ)がないわけではないのですが、巨大すぎるしそもそも使える人がほとんどいない状況で、難しい計算は、人が計算尺を使って計算していた時代です。
    でも、隕石落下の影響で、地球は数年寒波に覆われたあと、人類が生きていけない程の温暖化に見舞われることが計算で明らかになり、人類は宇宙を目指すことになる。

    ここで、1950年代が効いてくる。
    この時代のアメリカは、人種差別、男女差別がまかり通るというか、一体何の問題が?ってな時代だ。
    避難民が運ばれてくる飛行機から次々に降りてくるのは白人ばかり。
    作品中には出てこなかったが、津波が起こったということは、海沿い川沿いの低湿地帯にしか居住を認められていなかった南部の黒人たちは、真っ先に流されていっただろう。

    主人公は元従軍パイロットであるにもかかわらず、宇宙への移住に先立つロケットに乗り込むことができない。
    女性が宇宙飛行士?ダメ、ダメ。
    女は非力だし、知能も男より低いし、何よりヒステリーだから。
    という、男性側のヒステリックな論調により。

    主人公はロケットの軌道を計算するかたわら、女性にもチャンスを!と声をあげるのだけど、彼女にも問題がある。
    幼いころから優秀だった彼女は、飛び級をするたびに男性たちから嫌がらせを受けたり無視されたり心無い言葉を浴びせられたりし続けた。
    だから、人前に立つと震えが来て、吐き気がする。
    精神科の受診を進められるが、「私は病気ではない!」と頑なに受診を拒み続けるのもまた、現在の読者の目から見たら病的である。
    でも、そういう時代だったんだよね。

    航空ショーを見た少女たちは、主人公・エルマに憧れ、女性でもパイロットに、宇宙飛行士に、博士になれるのだと夢を語る。
    そんな少女たちの後押しもあって、エルマたちは女性も宇宙飛行士にさせろと運動する。
    「だって、移住した先の宇宙で子どもを産むのは女なのよ」

    ところが、宇宙なんぞに関わるまえに被災地の復興が大事じゃないかという声も高まりつつあり、不穏な空気のまま下巻に続く。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.07.22

  • kall1017

    kall1017

    まだ読み始めたばかりだけど、この始まり方にワクワクしてしまう。この感じ、時間封鎖の時に似てる名作の予感。

    投稿日:2022.07.18

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