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えかきびと, 紅緒, 長田信織 / MFコミックス アライブシリーズ (1件のレビュー)
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総合評価:
ところで将軍
別方向からアプローチした作品
一般的な「主人公が異世界に転移して現代知識で活躍する」タイプの作品ではあるが、スキルもレベルもチートもステータスもなし、それどころか魔法も魔物も迷宮も冒険者ギルドもなし。世界観も一般的な中世ではなく、…フリントロック式の銃が登場する近世(現実でいう17世紀あたり)が舞台。 内容的には恐らく戦記物に分類されるが、一般的な剣盾槍で戦う戦記物ではなく、地図の上で自身の状況と相手の状況を照らし合わせ、各データを計算し、最も適切な戦術・勝利条件を導き出す…という「数学」をテーマにした新しいタイプの物語。 つまり一般的な戦記物が現場で戦う物語なら、本作は机上で戦う物語である。 このような物語はかなり珍しく、既存作品とは異なる視点からアプローチした着眼点は素直に感心する。理系からすれば「ん?」と思うような箇所もなくはないが、作中に登場する理論・計算式・定義等は概ね正しい他、漫画としてのハッタリも上手に効かせているため、かなり新鮮な気持ちで楽しんで読めるかと。 現代知識を駆使と言っても、他作品のように知識チートで無双するようなストーリーではなく、むしろ苦戦・苦難が続きながらもギリギリ首の皮が繋がるような内容。よくある「全てが主人公に有利で物事を楽勝で解決する」タイプではなく、そういった作品が苦手な人にもオススメできる。 若干幼くデフォルメされてはいるがキャラクターデザイン・作画共に良好。危機的演出やストーリーの緩急もよく、構成・コマ割り・台詞回し・単語選び等もいいので、作品タイトルや表紙とは裏腹に漫画としての完成度は申し分ない。 とはいえ欠点も無くはなく、数学・戦術・方程式・理論を存分に駆使した物語であるため、読者側にもそこそこの知識が求められる。テーマがテーマなので仕方がないが、作中での説明描写が長め・多めなのも気になるところ。また、所々でエ口くてあざとい描写が入るのも、人によっては評価が分かれる点ではなかろうか。 総括すれば「完成度自体は高いが人を選ぶ点もある」といったところ。まぁでもそこまでスイートスポットの狭い作品ではないので、是非読んでみてほしい。続きを読む
投稿日:2021.07.02
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