【感想】希望が死んだ夜に

天祢涼 / 文春文庫
(161件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
70
62
19
0
0
  • 貧困が生む悲しい事件…

    親友のぞみの殺害を自白した
    冬野ネガ。
    その真実はいかなるものか。

    上司の命を受け、刑事になっての
    初陣を賭けたが、それを捨てて
    まで事件の真相に挑む真壁。

    生活安全課から真壁の相棒として
    選抜された、「想像力」で事件に
    取り組む女性警官仲田。

    うぅむ、地味に面白かった。

    真壁に命令した城戸の事件後の
    結論が曖昧だったのが気になった。

    全体としては、貧困家庭がなす
    悲しい事件というお話し。

    途中、涙が出そうな場面もあり、
    我が国の行政に物申したくなり
    ました。

    現実社会でも普通にあるん
    でしょうね。
    僕自身、裕福な家庭育ちでは
    なかったので感慨深かったです。
    続きを読む

    投稿日:2020.03.02

ブクログレビュー

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  • サマー

    サマー

    このレビューはネタバレを含みます

    同じ中学に通うネガとのぞみ。
    のぞみを殺害したと自供して逮捕されたネガ。
    同級生という以外に接点のなさそうな2人の本当の関係がわかっていき、そして本当のことが明らかになる。

    なんてつらい、かなしい話だ。
    私はもう40のおばさんだけど、中学高校時代の友達と一緒に過ごしたわくわく感を、ふたりの関係性が明らかになる中で感じていた。
    本を読みながら、私もネガと同様に希望を感じでいたんだ。
    そして、そこからの落差を私も味わった。
    どん底にいつづけることより、希望を知ったあとに、その希望が失われたときのほうがつらい。
    誰かに希望を味わわせてしまったことは、罪なのだろうか。

    貧困と、行き渡らない社会保障。不都合なことはなかったことにしようとする大人達。
    希望が失われたこの世界で、わずかな希望をたぐりよせようとしていた少女たち。
    のぞみの死は、避けられないものだったんだろうか。私はそうは思わない。
    のぞみがネガとお菓子食べながらおしゃべりできていたら、ネガの顔を見ることができていたら、思いとどまれた可能性が高いと、私は思う。
    死ぬのが怖いから仕方なく惰性で生きている感覚、私も分からなくはない。惰性の生の中で、ちょっと笑えることとか、少し元気が出ることがあって、そんな些細なことに多くの人は生かされている。
    そういう1日1日が積み重なるなかで、楽しいと思えるものや、大切だと思えるものに出会え、生きる目的がみつけられる。私の人生はそうだった。
    だから、私はのぞみを殺した犯人を許せない。どうせ死ぬつもりだったなら…なんて動機にならない。憎い。
    もしのぞみの計画通りに運んでいて、ネガとお菓子食べながらおしゃべりしていたら、のぞみは生きていたと私は思う。私はそう思いたいのだ。

    このシリーズ、本当に好きなんだけど、つらいなぁ。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.16

  • 霽

    タイトルが読み終えた後、ずしんと来ました。
    個々の事情があるのに、安易にアフリカの子供を例に出す大人にはなりたくないなと感じました。

    「でも、正しいことが正義とはかぎらないんだ。」
    「母にだけ苦労をかけて、自分は努力する余裕があったのだ。」続きを読む

    投稿日:2024.04.13

  • 04きれこんぶ

    04きれこんぶ

     天袮涼さんの作品とは初めての出会いでした。読み手を惹きつける展開や結論のまとめは読み応えがありました。解説の言葉を借りると、上手いから凄い作家になった転機の一冊なのですね。
     幼い子供たちが犠牲になる卑劣な事件が続いた時期がありました。天袮さんはそんな社会の雰囲気を敏感に感じて考えてくれたのでしょうか。背景は様々ながら色々を諦めねばならない登場人物たち。貧困との戦い。抜け出したい渇望と阻むプライドが幼子に消せない傷を作る。悲しい結末を冤罪から救った"想像"が侮蔑から賞賛に変わる時、残された者の責任を明るくする。続きを読む

    投稿日:2024.04.08

  • どんからす

    どんからす

    このレビューはネタバレを含みます

    真相が二転三転する中で、関係者おのおのの心情がきりきりと胸を締め付けてくる作品でした。

    被害者が綴った遺書で、「希望が死んだ夜みたいに真っ暗なこの国」。
    子どもの口から出たとはとても思いたくない言葉で、息が止まりました。

    長谷部さんが自分自身を穿った言葉や、草薙先輩の本心が透けてしまったひと言。
    挙げればキリがありませんが、フィクションだからこそ胸を打つ言葉選びだったと思います。
    現代を生きる大人として、胸に留め置きたい1冊でした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.08

  • ゆっきー

    ゆっきー

    真相が一筋縄ではいかなくて、最後に驚いた。
    少女たちの覚悟が力強くて、自分の能天気さを思い知らされる。
    そして、貧困という社会問題についてもっと深刻に向き合わなければならないと感じる。

    投稿日:2024.03.28

  • RUI

    RUI

    タイトルの意味が刺さる内容だった。子供のときには分からない、大人になると分かる、たくさんあるけど、分かるほど社会・世論・周りの目で不自由になって自ら分からないでいた時分と矛盾したことばっかりやるようになる。理想と現実を突きつけられる。大人になるにつれて、希望に疎くなって自ら絶望を引き込んでいる。続きを読む

    投稿日:2024.03.15

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