【感想】少女葬(新潮文庫)

櫛木理宇 / 新潮文庫
(57件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
14
22
18
1
0
  • 頭をガツンとやられる小説

    ホーンテッドの新刊が出たのとほぼ同時期に文庫化された本作。作者は同じながら、読み味は全然ちがいます。

    とにかく、絶望が深い。全編でキナ臭さが漂っていますが、プロローグで結末を予測できるので、余計悲惨ですし、物語の持つ緊迫感に引き込まれて行きます。人生は意外と運の要素が大きい。選択肢を得られるのは幸運だ、と作中の人物も言いますが…この対比は…。居場所のあることの幸運を思います。

    家庭内の暴君と化す父親、シングルマザーの彼氏が娘にちょっかいを出す…実際の事件でも見られる構図です。それだけに題材も身近で、深淵はすぐそばで口を開いているのかもしれません。なんとも言えない読後感です。
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    投稿日:2019.11.01

ブクログレビュー

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  • びびび

    びびび

    このレビューはネタバレを含みます

    結局は《運》なのだ。

    彼女が生き延びたのも
    彼女があんな目に遭ったのも
    「彼女だから」というわけではなく

    誰と出会ったか
    どんな言葉を吐いたか
    神様はいたのか

    そう、全ては運なのだ。


    どちらがどちらの道に行ってもおかしくなかった。


    私が今、こうして暖かい部屋の中で
    本を読んでいられるのも《運》が良かったから。


    それを噛み締めて、生きていかなければならない

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    投稿日:2024.05.06

  • 水橋

    水橋

    社会派小説?なのかな…あまり読んだことないタイプだったので初めは読み進めるのに苦労しましたが、後半からはノンストップ。苦境から自力で抜け出して普通の幸せを手に入れた主人公と、目先の贅沢や楽しみに飛びついた結果残酷な最期を迎える友達の対比が上手い。ところどころご都合主義というか、そんな上手くいく?という点が特に主人公側にあったけど、それもこの落差を目立たせるためと捉えることもできるかな…
    何より怖いのはこの話に出てくるようなビジネスが実際に行われているということだと思った。弱者につけ入る大人はいなくなって欲しい。
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    投稿日:2024.04.24

  • はる

    はる

    このレビューはネタバレを含みます

    とあるシェアハウスの劣悪な環境のなかで寝食を共にした2人の少女。別れからしばらくして、うち1人は壮絶なリンチの果てに殺されてしまうが、もう一方の少女は幸せとも形容できる生活を手に入れる。もといた場所は同じだったはずなのに、何が2人の道を分けてしまったのか。
    冒頭で2人の名前は書かれておらず、どちらがどちらかの少女なのかはわからなくなっている。あとがき(解説?)にこれは2人はいつ立場が入れかわってもおかしくなかったということを暗に表現しているとあり、そういうことかぁとどこか納得できた。作中に『弱さは罪、馬鹿は罪』という言葉があるが、原因は全て彼女にあってしまうのだろうか。
    ラストシーンでは物語が2人の目線で交互に描かれ、その間の落差、溝みたいなものが浮き彫りになっていく。もう辛い。しかし、次の展開が気になって目が離せず、最後まで一気読みしてしまった。文章は読みやすいが決して軽いわけではなく、読みごたえがある。とても面白い一冊だと思う。

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    投稿日:2024.04.05

  • 小川知宣

    小川知宣

    えぐい。おもしろくはない。
    けど、すごい続き気になってしまった。めっちゃ一気読み。
    上下のない人間になりたい。

    投稿日:2024.04.04

  • ゆず

    ゆず

    誰もこんな目に遭わないでほしい。誰も食い物にされないでほしい。本を読んでほしい。自分で考える力を、外の世界を見る力を持ってほしい。でもその力って、私はどうやって獲得した?親から与えられたんじゃないか?
    本を買ってもらった。図書館を教えてもらった。言葉と思考を与えてもらった。じゃあ親に何も与えてもらえなかった子は、どうしたらいいんだろう。道を踏み外したのではなく、初めから道の上にいなかった子は、どうすればいいんだろう。
    結局、ラッキーな自分の運命に安堵して、アンラッキーには触れないように、臭いものには蓋をしてこれからも生きていくんだと思う。そして願わくは、自分の大切な人にもそう生きてほしい。
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    投稿日:2024.02.23

  • とまと

    とまと

    冒頭で凄惨な少女の死に様が出てくるので、単なるグロテスクな物語かと積ん読にしていたが、とんでもなかった。
    「あかんもんは、あかんのよ。それだけ」
    二人の少女の先行きを変えたそれぞれの出会い。
    出会いをきっかけとしてそれを自分の人生としていくことを、この物語の少女に自己責任と切り捨てるのはあまりにも酷いが、だからといって自分に何かできるかと言われると何も思いつかない。
    読み終わっても物語が消化できない。物語の少女たちの穏やかな幸せを願いたい。
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    投稿日:2023.12.05

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