【感想】さあ、気ちがいになりなさい

フレドリック ブラウン, 星 新一 / ハヤカワ文庫SF
(22件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
5
9
3
0
0
  • まさにキチガイの所行です(褒め言葉)

    もともとブラックで癖というかアクの強い作品を日本のショートショートSFの父とも云うべき星新一が翻訳している。
    これだけで買いでしょう。

    投稿日:2017.08.04

ブクログレビュー

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  • てぃーけー

    てぃーけー

    フレドリック・ブラウンの描く12の短編が収録された作品。日本の有名なSF作家である星新一が訳した作品という時点で、面白くないわけがない! と胸を躍らせて読書開始。

    キャッチーな話から陰鬱な雰囲気の漂う話まで多種多様で、表題作に連なり、短編集の中には狂気を強く意識した作品が多かった印象です。そして何よりも、そのキレ味鋭い展開とオチに舌を巻くばかり。

    作品の中では『みどりの星へ』『雷獣ヴァヴェリ』『ユーディの原理』辺りが好みでした。
    特に『雷獣ヴァヴェリ』は、未知の生物の襲来によって世界から電気が失われていく過程とその後を描いた作品なのですが、人類の強さと電気が失われた世界の美しさを短い物語のなかで上手く表現しているなと感じました。
    書物が禁制品とされたディストピアを描くブラッドベリの『華氏451度』と比較してみると、あちらとは対照的に便利だったものが失われてしまった世界にもかかわらず、非常に幸福そうな人々の姿が印象的でした。

    訳者であり稀代のSF作家でもある星氏からブラウン氏へのリスペクトをふんだんに感じることができただけでなく、”星新一らしさ”が作品全体から滲み出ており、翻訳小説を読んだことのない人や、苦手意識を持っている人にこそ読んでほしいと思いました。
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    投稿日:2023.11.22

  • Mar

    Mar

    訳者はSFのショートショートで有名な、星新一。
    この短篇集を読んでいると、不思議と星新一が脳裏に浮かんできて、訳していて楽しかっただろうなと、ほくそ笑んでしまいました。

    11の短篇の後に、タイトルの中篇で終わるのですが、最初の『みどりの星へ』から狂っています。
    他にもサスペンス、ミステリー、SF、ファンタジーやコメディなど多岐にわたっていますが、どれも文章にキレがあり、また発想からして面白い。短篇は、短いだけにオチが重要と思いますが、どれも一捻りしてあって、とても楽しい読書体験でした。

    ところで『ノック』の書き出し部分について、星新一自身の短篇『ノックの音が』の「あとがき」で、タイトルを付けるにあたって参考にした旨が書かれています。『ノックの音が』は、内容をまったく覚えていないので、再読してみようと思いました。
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    投稿日:2023.11.05

  • chirolin

    chirolin

    昔、評論家向井敏の「文章読本」(良い本です)の作家のもつ文体の説明で、翻訳者による文体の違いの例として、ブラウンの星新一とほかの人の翻訳文章例があったのを思い出し、本屋で翻訳者をみて思わず買ってしまった。
    計12編、最後の表題作のみ90ページと長い。
    星新一訳が特に良いとは思えず、その点では期待が高すぎたようだ。
    ミステリ系では「ぶっそうなやつら」「町を求む」、SFでは「みどりの星へ」「ユーディの原理」が面白かった。
    むかし創元SF(&推理)文庫でブラウンの短編集を読んできた者にとっては、相変わらずの、期待通りのブラウンでした。
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    投稿日:2023.05.23

  • アワヒニビブリオバトル

    アワヒニビブリオバトル

    第69回出張!アワヒニビブリオバトル@天神さんの古本まつり「古本・古書」で紹介された本です。チャンプ本
    2020.10.18

    投稿日:2023.05.05

  • じゅう

    じゅう

    アメリカの作家「フレドリック・ブラウン」の短篇SF作品集『さあ、気ちがいになりなさい(原題:Come and Go Mad and other stories)』を読みました。

    ここのところSF作品が続いていますね。

    -----story-------------
    ショートショートの神様による名訳

    記憶喪失のふりをしていた男の意外な正体と驚異の顛末が衝撃的な表題作、遠い惑星に不時着した宇宙飛行士の真の望みを描く『みどりの星へ』、手品ショーで出会った少年と悪魔の身に起こる奇跡が世界を救う『おそるべき坊や』、ある事件を境に激変した世界の風景が静かな余韻を残す『電獣ヴァヴェリ』など、意外性と洒脱なオチを追求した奇想短篇の名手による傑作12篇を、ショートショートの神様「星新一」の軽妙な訳で贈る。
    -----------------------

    1940年(昭和15年)から1951年(平成26年)に発表された以下の12篇が収録されている短篇集です、、、

    「星新一」の翻訳は、とても読みやすかったし、表現が絶妙で、愉しく読めましたね… 1962年(昭和37年)の訳文とは思えない、新鮮さのある作品でした。

     ■みどりの星へ(原題:Something Green)
     ■ぶっそうなやつら (原題:The Dangerous People)
     ■おそるべき坊や(原題:Armageddon)
     ■電獣ヴァヴェリ (原題:The Waveries)
     ■ノック (原題:Knock)
     ■ユーディの原理 (原題:The Yehudi Principle)
     ■シリウス・ゼロ (原題:Nothing Sirius)
     ■町を求む (原題:A Town Wanted)
     ■帽子の手品(原題:The Hat Trick)
     ■不死鳥への手紙(原題:Letter to a Phoenix)
     ■沈黙と叫び (原題:Cry Silence)
     ■さあ、気ちがいになりなさい(原題:Come and Go Mad)
     ■訳者あとがき
     ■解説 フレドリック・ブラウンの幸福 漫画家・坂田靖子

    着想が奇抜な作品ばかりで、どの作品も愉しめましたが… その中でも印象に残った作品は、『みどりの星へ』、『ぶっそうなやつら』、『おそるべき坊や』、『電獣ヴァヴェリ』の4作品かな。


    『みどりの星へ』は、赤い森や紫の空等、緑色の無い惑星に墜落した男「マックガリー」は、その星で30年間を生き延び、緑に囲まれた地球に思いを馳せる… そこに宇宙パトロールの「アーチャー中尉」が姿を現す、、、

    「アーチャー中尉」から、地球は滅亡しているが、一緒に火星か金星に戻ることができると聞いた「マックガリー」の選択した行動は!? 狂気的なエンディングでしたね… 絶望的な現実よりも、希望のある幻想を選んだってことですかね。


    『ぶっそうなやつら』は、SFではなく、ミステリ仕立ての作品… 疑心暗鬼に陥った二人の男の緊迫感が生々しく描かれており、本作品の中ではイチバン好きな作品ですね、、、

    田舎町の小さな駅の待合室で一緒になった、弁護士の「ベルフォンテーン」と、塗料会社の帳簿係「ジョーンズ」… その夜は、殺人狂の犯罪者が病院から脱走しており、二人はお互いを殺人狂ではないかと疑い始める。

    この二人の心情の移り変わりの描き方が絶妙… そして、そこに殺人狂が現われ!? 皮肉なラストへ導く手腕は見事でしたね。


    『おそるべき坊や』は、両親と一緒に奇術ショーを観に行った「ハービー坊や」が世界の平和を守ることになる物語、、、

    「ハービー坊や」が我儘を言って買ってもらった水鉄砲… その水鉄砲には「ハービー坊や」により聖水が入れられており、これが悪魔を撃退して、世界を地獄の炎から救うとは、誰も予見できませんよねー それも、誰もが気付かないうちに。

    二番目に気に入った作品でした。


    『電獣ヴァヴェリ』は、波動に依存する謎の生命体の侵略により、ラジオやテレビといった電波を使う機器が利用できなくなり、さらに電気が全て使えなくなってしまうという物語、、、

    侵略とはいえ、直接的に人類が襲われるわけではなく、電気が利用できず生活が困難にはなるものの、その生活を楽しみ、生き延びようとする人々が牧歌的な雰囲気で描かれており、豊かな生活って、何なんだろうなぁ… と考えさせられる作品でした。

    これが1945年(昭和20年)の作品ですからね… 電気への依存度が格段に拡大した現代に置き換えると、恐ろしいパニック作品に仕上がりそうですね。


    70年くらい前に描かれた作品たち… 描かれている背景に古くささはあるものの、テーマは新鮮で、現代に置き換えても愉しめそうな作品ばかり、、、

    面白い作品って、時代を越えて愉しめるものですね。
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    投稿日:2023.03.19

  • Lepus in December

    Lepus in December

    みどりの星へ
    Shasta「Space on My Hands」 1951年7月

    ぶっそうなやつら
    Dime Mystery Magazine 1945年3月

    おそるべき坊や
    Unknown Fantasy Fiction 1941年8月

    電獣ヴァヴェリ
    Astounding Science Fiction 1945年1月

    ノック
    Thrilling Wonder Stories 1948年12月

    ユーディの原理
    Astounding Science Fiction 1944年5月

    シリウス・ゼロ
    Captain Future 1944年春季号

    町を求む
    Detective Fiction Weekly 1940年9月7日

    帽子の手品
    Unknown Worlds 1943年2月

    不死鳥への手紙
    Astounding Science Fiction 1949年8月

    沈黙と叫び
    Black Mask Magazine 1948年11月

    さあ、気ちがいになりなさい
    Weird Tales 1949年7月

    訳者あとがき 星新一
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    投稿日:2023.02.20

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