【感想】深い穴に落ちてしまった

イバン・レピラ, 白川貴子 / 東京創元社
(25件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
1
12
7
1
1
  • 不穏かつ鮮烈な『星の王子さま』

    読み始めから謎めいていて、読み終えても解けない謎が残る不思議な作品でした。兄弟はどうして穴に落ちてしまったのか? 二人の名前や年齢が書かれていないのはなぜなのか? そもそも話の舞台はどこなのか? ……と、頭の中を「?」だらけにしながら読み進めました。
    穴の中に二人きり、という状況は変化に乏しいようにも思えますが、不意にどきっとさせられる場面があったり、意味深なやり取りにあれこれ想像してしまったりして、単調と感じる暇はありませんでした。特に弟の見る夢や幻覚は不穏かつ鮮烈で、強く印象に残っています。
    芯となるストーリーからなにげない会話の端々まで、読み手によってさまざまな解釈ができる作品だと思います。今の自分を映す鏡となってくれる、まさに「現代版『星の王子さま』」ですね。ただし、本家と違ってかなりダークなので、子供にはオススメできませんが……。
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    投稿日:2017.02.04

ブクログレビュー

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  • ユウタ

    ユウタ

    夢を持ち行動することを教えてくれる本。

    内容は暗い話ではあるが、謎がとても多い小説です。
    その為、一度では理解できない内容だと思います。自分の置かれている状況で感じ方も変わると思います。

    僕が感じたのは、組織にずっといることで、みんなと同じ考え方になる当たり前の怖さ。そして、組織から出るために勇気を出して行動することの大切さを学んだ気がします。

    ただし、謎が多い本なので、読み返す機会を持ちたいと思います。
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    投稿日:2023.08.16

  • エプロンパパ

    エプロンパパ

    兄と弟が深い穴に落ちてしまった。そこからどうしても外へ出られない。これは比喩なのか、ダークファンタジーなのか。重苦しい雰囲気のまま、二人だけで物語は進行する。不気味な余韻が残る大人の童話である。

    投稿日:2023.07.19

  • Mizuiro

    Mizuiro

    このレビューはネタバレを含みます

    映像でみるのは憚られそうな過酷な話だった。

    これが権力者とそれに屈せざるを得ない弱者のいる現実世界を反映していると思うと、やるせない気持ちになる。

    筋トレを続けたり、食糧分配比を決めた兄を思うと、当初から弟を助けるつもりだったんだなと思う。

    負の感情をぶつけ合いながらも、お互いを想い合う姿に温かいものを感じたりもした。

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    投稿日:2022.05.24

  • バルーン

    バルーン

    このレビューはネタバレを含みます

    サッチャーとブレヒトの言葉で幕をあけカミュの言葉で閉じるこの物語は、暗黒時代に生きる人たちのための寓話、ということなんですが、2013年に書かれたものなんですよね。もう明るい時代なんてくるんですかね?

    とにかく真っ暗いお話です。兄弟ふたりが深い穴の中に落ちちゃって、そこで這いあがれずに木くずやイモ虫なんかを食べて過ごすんです。章立ては素数。散りばめられた暗号たち。そしてまさかの結末。す、救いがない……。

    ネタバレしちゃいますが、これは革命のお話ですね。深い穴ぼこをクルッとひっくり返さない限り俺たちに明日はない。しかし問題はこの「明日」ってなに? ってところ。なまじ明るい電気のもとで暮らしちゃってるから……。 

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    投稿日:2021.09.27

  • よし

    よし

    このレビューはネタバレを含みます

    題名のとおり、深い穴の中に落ちてしまった兄弟のサバイバルな物語。
    内容は暗く、緊迫していて、とにかく恐ろしいが、文体にはおとぎ話のような雰囲気があり二人の対照的なキャラクターも相まってどこか安心して読める余地もある。さまざまな寓意が巧みに組み合わされ、1回目ではよくわからなかったことが2回、3回と読むにつれわかるようになるのが面白い。
    母親を権力者、兄弟を底辺にいる人を暗に示しているようで、暗号を解読してみるとどうやら政治的なメッセージが込められた作品のようだととれるが、それだけではない重厚さを感じられた。
    良質な考察系インディゲームを楽しんだ後のような満足感。

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    投稿日:2021.09.14

  • ネリア

    ネリア

    読みやすいが寓話の意味をあれこれ考えてしまい、悶々となる。簡単に正解がわからないのが、本の醍醐味ともいえるから、これはこれで個人的には結構気に入っている。

    映画化が決まっているらしいことが書いてあったが、もうできたのだろうか?どちらかというと舞台向きの内容なようにも思えるこの作品が、映画でどう描かれているのか非常に興味がある。続きを読む

    投稿日:2021.01.25

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