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金田一春彦 / 角川ソフィア文庫 (5件のレビュー)
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総合評価:
N.Yokoyama
改めて日本語の素晴らしさを知った。
辞書の編纂も行なっている著者が、日本語の特徴や日本語を通してわかる日本人の性質などにも触れる。 普段何気なく使っている日本語だが、改めて「そういう意味だったのか」と気づかせられたり、深い意味を知らず…に使っていたことも考えさせられた。個人差はあるだろうが、どんな言語を使っているかという観点から、日本語を使う日本人と欧米人の考え方の違いなども説明されていて、非常に興味深かった。 自分では意識していなかった日本語の素晴らしさを教えられた一冊だった。続きを読む
投稿日:2020.05.17
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横
ホンモノの日本語 著:金田一 春彦 紙版 角川ソフィア文庫 E107 1 日本語の特徴をエッセイ風に解説する書 国語辞典編纂者など日本語研究の第一人者 文法という枠を超えて、日本人が言葉というも…のをどのように感じ、あつかっているかを軽快に表現する。 日本語がきれいと言い切っているのは、発音が音楽的であるというのではなく、その表現や心根が、やさしく奥ゆかしいということである。 日本語に、「昭和の」と付け加えたほうがいいのかなと思ったところもありましたが。 気になったのは、以下です。 ・日本語の魅力とは同じものを色々な表現をとれることという。 お店といいストアという。ただ、金田一先生は、カタカナにすると日本人はカタカナをより高級と感ずることが気にいらない 日本語はすばらしい言語であり、英語にけっしてひけをとるものではない。 英語は、あなたと、あなたたちは、ともに、you であるが、日本語はきちんと分けて表現できている ・日本語というのは非常に複雑な言語である。人によって同じ内容なのに、違った話し方ができる。しかも、男言葉と女言葉がある ・日本語の発音については、単位が少ないということである。日本語に一番近いのは、ポリネシア言語である。インドの言葉も日本語にちかく、古代ギリシャ語もそうだったらしい。 ・日本語の文字、日本語の文字は、難しい。カタカナ、ひらがな、漢字やローマ字やアラビア数字もある ・日本語の文法。文法とは、言葉の並べ方の決まりなのである。 ・言葉で、意思が伝わらなくても、身振り手振りで意思疎通ができる。身振りとは世界共通なのである。 ・単語の構成から、日本語は単語の数がものすごく多い。娘に、町、村、山、農村育ち、などをつければ、いくらでも新しい名詞を作れる ・日本語には、美しいことばがたくさんある。季節を表す言葉もたくさんある。日本というのは、春夏秋冬の季節にはっきりとしている。 ・日本人は、肉体的なものを書き表すことを非常にいやがる。 源氏物語の中で、紫式部は、光源氏についてその要望について何一つかいていない。 書いてあるのは、「光源氏は、光輝くばかりに美しかった」とか、「光源氏に会った女性はみな心を奪われた」ということだ ・日本人はなるべく、しゃべらないほうがいい。ものは言わない方がいいという考えが根本にあるとおもう。 ・恩に着せるような言い方も日本人は嫌う ・日本人は物をもらうと、すぐに返さなくてはいけないという気持ちになる。 だから、「そんな必要はないのですよ」ということを、「つまらない」ものという言葉の中に隠しているのである。 「何もございませんが、召し上がってください」という言い方もこれを食べても何も食べなかったのと同じだと思ってください、というやさしい気持ちの表れなのである ・何かをしても、自分がしたということをいっさい言わないのは、日本人の修養である。相手に恩に着せるようなことは言わないことになっているのである ・言い訳をしない。潔い態度が日本人は好きなのである。 ・弁解することがいけない、という風潮が、戦争後も依然として続いている。 例えば、女性音大を暴露されて、すぐにそうりだいじんをやめた方がいらした。 あの人は全然弁解しなかった。「私の不徳の致すところでございます。申し訳ありませんでした。」 あんなときに、いくら弁明してもだめなのだ。日本人は弁解を訊かないし、嫌うのである。 ・日本の歴史を読んでいるとおもしろいのは、雄弁なことで、評判の高かった人、というのは一人もいない ・話は簡単な方がいい。できればしない方がいい、と日本人は思っている。 ・だが例外はどこにでもある、挨拶である。これだけは長い方がいい。行き届かなければいけない。と日本人はおもっていた。 ・はなはだ、簡単でありますが、と結婚式での式辞をのべても、挨拶だから、長いほうがいい。短い失礼なるのである。 ・ヤクザの仁義も同様である。10分くらい続く。つまり、日本人には、挨拶は長くなくてはならないという気持ちがある。 ・日本人はぼかした言い方をする。はっきりと断定を避ける。はっきりというと角がたつと思っている。 ・日本の暦をめくっていくと、季節を表す日がたくさん書かれている。日本人は季節の変化をはっきりと受けて生活しているからだと思う。 ・日本人が好んでいるが、世界であまりお目にかからない色がある。それは、紫である。 ・国を発展させた言葉。国字というのは日本で生まれた漢字である。国字の中でもっとも使われているのが、人が動くで、働くという文字だろう ・月ほど日本人の心に寄り添うものはないだろう。 ・風流なお菓子 名月をとってくれろと泣く子かな 最中は「最中の月」が語源である。和菓子の中には、風流な趣向をこらしたものが多い。 ・孟母三遷の教えというのが、あるが、これは変だ。引越しをしたのは、2回だから、教えるとしたら、二遷であろう ・徒然草に、そこはかとなく という言葉がある。なんとなく、どういう目的もなくというように解説されている。 戦国時代にポルトガル語でだされた辞書に そこはかとなく は無限にという風に訳されている。ここから、徒然草も、あとからあとからというという意味のほうがよいのではないか。と思う。 もくじ 第1章 知っておきたい日本語の特徴 性格--日本人は語学の天才 発音--コンピュータの音声入力に有利な言語 文字--漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字交じりの長所 文法1--動作と同じ順番に並ぶ日本語 文法2--日本語だから九九が覚えられる 単語1--新しい言葉が次々にできる理由 単語2--日本人の性質が表れる言葉とは 第2章 日本語に表れる日本人の性質 なぜ外国人に日本語を教えるのが難しいのか? はっきり言わない方がいい 恩に着せるような言い方をしない 言い訳することを潔しとしない 言葉をどんどん省略するのはなぜか 話しべたな方が好感を持たれる 挨拶は丁寧すぎる方が好まれる ぼかした言い方をするわけ 日本人は察しのいい民族 第3章 言葉の知識を増やす 日本語の個性 語源をめぐる話 私の解釈 ISBN:9784044001698 出版社:KADOKAWA 判型:文庫 ページ数:224ページ 定価:680円(本体) 発売日:2016年08月25日初版 発売日:2016年12月20日再版続きを読む
投稿日:2024.02.03
小島康平
国語辞典を編纂している著者による若干趣味嗜好も散りばめられたコラム集。日本語という言語を外国語と相対的に解説しています。 例えば、日本語は五十音の組み合わせで意味を成せるという機能があるから掛け算を…九九で覚えることができること、英語では掛け算を暗記する術が無く、苦手な人も多いそう。文法も自由度が高く、私たちのような販売職が用いることがある「高価だけど良い商品」「良い商品だけど高価」のような表現の使い分けができること。あらためて日本語に対する興味関心が高まります、おもしろい。続きを読む
投稿日:2023.08.22
ムッネニーク
62冊目『ホンモノの日本語』(金田一春彦 著、2016年8月、KADOKAWA) 何やら大仰なタイトルが付いているが、内容は非常に軽い雑文集。 日本語にまつわる小話が集められており、なかなかに興味深い…ものもあるのだが、現代の価値観にそぐわないものも多々見受けられる。本書で語られる日本人の「美徳」が、閉塞感のある社会を生み出しているようにしか思えないのだが。 「結局日本語というものにはいろいろ不完全なところが多く、日本人はそのような言葉を使いながら、おたがいに理解し合える民族なのだろう」続きを読む
投稿日:2023.05.29
枝乃
200頁ちょっとの厚みながら、日本語の美しさと奥深さが詰め込まれた一冊。ところどころに【百人一首】の和歌も登場し、こんな歌も入っていたな……と懐かしい気持ちになりました。英語圏に生まれていたらと感じる…瞬間は多々あれど、文脈に依存して理解する日本語の奇妙な言い回しや、同音異語の漢字から生まれるおかしみをすんなり楽しめるのは、日本生まれの日本育ちだからであり、国語教育のありがたさを今更ながらに実感しました。続きを読む
投稿日:2020.09.18
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