【感想】平成紀

青山繁晴 / 幻冬舎文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
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5
1
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  • 生々しいけどフィクションなんだよね

     昭和から平成に変わる頃、私はオンライン積算システムを統括する電算担当におりました。だから、当時のことは割と鮮明に覚えております。当然その頃は、Xデーがいつになるかは最大の関心事でありました。
     小説の中で小渕官房長官が、平成と書かれた額を示したシーンが出てきます。文中では、「見事な墨跡の平成がそこにあった。成の字は、右下に伸びて跳ねる一線が不自然なほど長い。楠は、その線を美しいと思った。危うい均衡が漲っていた。」と書かれていました。でも、私の当時の印象は、もっと太くて勢いのある字で表せば良いのになぁと、小渕さんの、どこかとぼけた表情と共にしっかり覚えております。
     元新聞記者であり、現参議院議員である青山氏が書いた小説でありますが、これを読むと、退位とか元号の制定とか、かなり面倒な手続きが必要だったことがわかります。次回は、期日がしっかり決まっていますから、そんな事にはならないのでしょうね。一つ興味深かったのは昭和天皇がお亡くなりになった時、新聞社によって「逝去」と「崩御」と2種類の表現があったとのこと。ウチで取っている新聞は崩御だったような気がするけどな。
     かなり生々しく書かれていますが、あくまでも小説です。綿密な取材をされているでしょうから、どうせならドキュメントにしたほうが良かったのではないかと私は思います。でもそうすると、この本のように女性を登場されることは出来なかったのかもしれませんね。小説にしたのは、案外それが理由だったりして。
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    投稿日:2018.02.25

ブクログレビュー

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  • akari

    akari

    令和に変わった時、元号を誰が決めてどういう裏話があったのかなど恥ずかしながら正直何も興味がなかったです。しかしこの本を読んでふと「令和」はどうだったのだろう、昭和のジャーナリズムと令和である現代のジャーナリズムは何か違うのだろうかと興味を持ちました。

    日本の象徴である「天皇」の崩御の前後、縁のある目の前の仕事に真摯に向き合い、自粛とジャーナリズムの狭間で揺れ動く筆者の心情に自然と引き込まれてしまいます。

    「令和」は万葉集にある(漢文での序)「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして 気淑(きよ)く風(かぜ)和(やわら)ぎ、...」という文から採り、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められているそうです。
    「令和」に決まった瞬間は「ふうん」としか思わなかったけれど、様々な人が心をかけてこの世に産み出されたものだと思うと、急にこの元号が愛おしく感じるようになりました。

    どんな出来事にもたくさんの人の思いがつまっている。流れゆく日常のなか、ふと足を止めさせてくれる一冊です。
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    投稿日:2023.02.24

  • たなたな

    たなたな

    泣けた、とかいう狭義の意味ではなく、もっと広い意味での感動のきわめて少ない一冊であった。

    天皇崩御、新元号決定。どのような人がかかわり、どのような苦労や思惑があるのか…といったことを間近にいた青山氏の等身大の存在である主人公の記者を通じて知ることができる。

    ただ、読んでいて盛り上がることなく、ふうん、ここまで心血注いで、取材なり報道なりせなならんもんかな?報道、記者って不思議な生き物やなあと一歩二歩さめた感想を抱きつつ読み、それが最後まで変わることはなかったのは否めない。

    その、過熱報道や自粛ムードの日本に対するむなしさが、作者がこの作品に込めたメッセージなのだろうか。

    今という、歴史的な、平成から令和への過渡期においては、ふうん、と読むくらいの価値はあるのではないでしょうか。
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    投稿日:2019.04.25

  • S660

    S660

    平成天皇にいたる数年間の間の記者目線の物語。

    少し構成の組み立てを考えれば、もっと読み易く、意義ある一冊になる可能性は感じました。
    題名負けしてる感じだけど、歴史の瞬間を間近で見た人の日記と思えば、悪くない。

    手に取ったタイミングが、令和発表でなければ★5じゃないかもだけど、半ノンフィクションとしてなかなか知りえない内容で良かった。

    改元のことが毎日のようにニュースでやっているので、漢文の事や学者の選定、政治がどう絡むのか?、憲法の穴や象徴天皇制の課題など、たかが改元、されど改元、なんだなーと。
    「平成」になる時の色んな方々の苦悩が、ものすごく理解出来た時間になりました。
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    投稿日:2019.04.04

  • hiroshikubo

    hiroshikubo

    青山氏の現在まで変わらない原点の考え方が込められています。元号の決定がコアですが、天皇陛下への思い、女性差別など色んなテーマが読み取れます。

    投稿日:2018.12.19

  • cassiio

    cassiio

    記者の視点で昭和から平成への転換点を描く.「平成」が選択される過程はもちろん記されているものの,解説書的なドキュメントとは異なる.それよりも当時の空気感みたいなものが主人公の行動を通して伝わってくる.

    投稿日:2018.04.07

  • ヒサ

    ヒサ

    昭和の終わり、新しい元号(平成)が何になるのかいち早く知り、報道するミッションを受けた通信社の政治部記者のお話。
    どこまでがフィクションなのか全く分からないほどリアルな描写でグイグイ引き込まれて、あっという間に読み終えてしまった。

    この平成ももうすぐ終わり。
    今も記者の方達が命を削って、次の元号が何になるか駆けずり回っているのだろうか?

    時代と、実体験をベースにした内容が「ボクたちはみんな大人になれなかった」に近い気もするけど、共感レベルはこちらの方が遥かに高い。
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    投稿日:2018.02.23

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