【感想】ソウルドロップの幽体研究

上遠野浩平, 斎藤岬 / NON NOVEL
(31件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
2
11
12
2
0
  • ついにソウルドロップシリーズも!

    祥伝社さんから刊行されているこの「ソウルドロップシリーズ」も電子化していただいてありがとうございます!
    これを機に、著者のファンで未読の方にも、
    あるいは表紙やタイトルに惹かれて今まで気になっていた、という方にも
    読んで頂けると嬉しいです。

    予告状を出して「キャビネッセンス」を盗み、人の命を奪う「ペイパーカット」と呼ばれる怪人。
    因縁を持ちペイパーカットを追うサーカムの保険調査員、伊佐俊一と千条雅人。
    彼らを巡る事件と物語――その中で、
    「人間とは何か?」
    「何が人間なのか?」
    という問いかけを独特の発想で重ねる作品群という部分こそ、このシリーズの魅力です。

    朝、電車で同じ車両に乗り合わせた人に対して
    「彼らが人間であるかどうか」という確認をして、
    「そうである」という定義をするかどうか。
    そんなことはいちいち誰も考えない。
    ――であるならば、あなたはどんなときに、ある人物に対して
    「彼が人間である」と認識を確定させているのか。
    または自分自身を「人間である」と定義しているものが何なのか。
    そういうことを扱った物語です。

    死亡した人気歌手を巡り、様々な人間が
    「彼らを彼らたらしめているもの」のために行動を起こす。
    コンサート企画を運営するスタッフ。
    みなもと雫の音楽とそれぞれの向き合い方をするミュージシャン。
    トリビュートコンサートの中止を求めるフォーカード。
    そして、ペイパーカットを様々な立場から追う追跡者。
    彼らが何者なのか、どうして、何が彼らを彼らたらしめているのか。
    時にペイパーカットの、時に彼を追跡する伊佐や奈緒瀬の立場から、
    人間とキャビネッセンスとを追う不思議な作品です。

    不思議な直感を持ちペイパーカットを追う伊佐俊一。
    脳内に演算チップが移植されロボット探偵となった千条雅人。
    東澱一族に脅威となる存在を排除するという命を受け事件に介入する東澱奈緒瀬。
    3人の関係性も、シリーズを追いかける楽しみの一つです。
    続きを読む

    投稿日:2016.05.22

ブクログレビュー

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  • らいら

    らいら

    ソウルドロップシリーズその1。
    見る人によって姿形が異なるペーパーカットを巡るお話。ペーパーカットを追いかけてゆくのだが、全く手がかりもなく何処かに消えてしまう、というのが本筋。
    ペーパーカットの周りの事象は吹っ飛んでいて理解不能であったり、いわゆる上遠野浩平作品だったな、という印象である。続きを読む

    投稿日:2022.04.28

  • cheercheap

    cheercheap

    上遠野浩平作品ということで買ってみた。
    寺月恭一郎のかかわり、榊原弦のモーションデータなどブギーポップと世界を同じにしている。
    台詞回しに上遠野浩平のすきなところがでていないのでちょっと残念。ちょっとあっさりすぎる。

    命と等価の大切なものを奪われれば死ぬ
    そういうものを、正体不明の怪盗である主人公(?)ペイパーカットは興味本位に(?)盗んで行く。もう話がはてなすぎるのはしょうがない。
    ペイパーカットは運命を見れるように感じる、これはオキシジェン的な能力なのか、謎。オキシジェンと仕事をしていた楢崎不二子がでてくるのも興味深い。Wikiをよむともっと深いつながりもある。

    莫大な財産を元に事件の種をまき散らすって意味では
    寺月恭一郎ってムンガドゥ3世的なポジションなんだろうか。
    続きを読む

    投稿日:2018.12.01

  • こぐのすけ

    こぐのすけ

     「命とそれと同等のものを頂く」とかって予告状を送りつけつつ、人を殺して(しかも外傷を一切残さず)非常にくだらないもの(飴玉とかストラップとか)を盗んでいくペイパーカットとそれを追いかける保険屋の話。
     ペイパーカットは見る人によって姿が違うらしい。その場において不自然でない人間に見えるとか。そこにペイパーカットがいなかったと証明できないならば、それこそペイパーカットがそこにいた証明となる。上遠野らしい設定。
     保険屋の二人も非常に良い。片方は元警官で以前目に傷を負って、光を直視できない素敵な兄ちゃん。もう片方はロボット探偵。肉体は人間だけど、チップを埋め込まれているロボ。
     このロボット探偵がカッコいい。ロボットだから、常に周りを分析的に見る。データがそろったところでスイッチが入って〈論理回路〉が起動するんだ。したら良心制御(リミッター)が解除されて口調も変わる、行動も変わる。事件解決を最優先させ、相棒が危ないってことを分かっていながら放っておくんだ。
     まあ、データがそろう前に一人でぶつぶつと呟いて論理的に考えていたから、起動した〈論理回路〉ってのがどんな役割を持つのかいまいち不明なんだけどね。結局、真相に気づいた瞬間に起動してるし。意味ないじゃん。
     ただ、そのロボット探偵の生きていた頃の人格がたまに現れて意味深なことを呟いたり、ペイパーカットの目的がわからないままだったり、みなもと雫がどういう存在だったのかもわからないままだったり。
     伏線張られまくってるから、続編が出るのかしら、と。

    04.09.05
    続きを読む

    投稿日:2013.01.01

  • sokabook

    sokabook

     「生命と同等の価値のあるものを盗む」怪盗?殺人鬼?ペイパーカットのはなし。寺月恭一郎とか榊原弦とか、ブギーポップシリーズの登場人物の名前がちょいちょい登場するのはまぁいつもの上遠野作品だから良いんだけど、みなもと雫って誰なんだろ。霧間誠一てきな、冒頭で引用する要員なのかな? どんな人なのかあんまりわかんなかった。

     ペイパーカットはエコーズの仲間なのか。町中をふらふらしながら何かを集める宇宙人っていうと、前川知大さんの「散歩する侵略者」を思い出すなー。

     初登場時には峰不二子っぽかったのに、後半にいくにつれてどんどん普通の乙女になっていくナオセさんがたまらん。

     殺し屋の甥とか、ナオセが電話してた相手とか、イマジネータの信奉者っぽいお姉さんとか、たぶんどっかでスピンオフが書かれるんだろうなぁ……。
    続きを読む

    投稿日:2012.05.27

  • nakajo

    nakajo

    上遠野さんの作品を久々に読ませていただきました。
    ああ、やっぱりこの人の描くお話はなんかいいですね。

    ちょっぴり小難しくて意味不明なようでいて、
    ほんのり共感できる、そんな思想を語り聞かせてくれる彼の話をまた読み始めようと思いました。続きを読む

    投稿日:2012.04.18

  • よしこ

    よしこ

    このレビューはネタバレを含みます

    ジャケがずっと気になっていた作品。

    シリーズの最初であると分かっていたけれど
    説明のなさに、ちょっと置いてきぼり感がありました。
    読み終えた今でも
    まだスッキリとはしていませんが。
    ロボット探偵とペイパーカット...
    とりあえずは読み進めます。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2012.04.10

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