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村上春樹 / 講談社文庫 (258件のレビュー)
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総合評価:
AkiraF
テロリズムの恐怖
地下鉄サリン事件に巻き込まれた人達のインタビューから成る。どのような人生を送って来て、どのように人生を狂わされてしまったか。テロリズムの恐怖を伝えている。また、様々な人の生き方、考え方を擬似体験できる…。続きを読む
投稿日:2017.08.15
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あゆみのパパ
正直に本当に正直に言えば途中で少し飽きた。
確かに労作であり力作だ。 しかしさすがに同じ状況の反復は中盤から少し飽きた。 ただその登場人物のバックグラウンドを説明する著者の眼差しは温かく興味深かった。
投稿日:2017.09.26
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M−D
地下鉄サリン事件をリアルに捉え、社会学、心理学にも通ずる。各事象の背後に確かに存在する人間と人生、の重要性を改めて教えてくれる。
投稿日:2024.04.30
ミラク
このレビューはネタバレを含みます
700p越えの『アンダーグラウンド』 分厚過ぎて辞書にしか見えない。 一週間で読む羽目になったのは、二週間で返す予定の4日間が取り寄せで潰れたから。一週間で読んで二日間でもう一冊の残りを。一日で感想をという計画で頑張って読みつくした。 中身は『地下鉄サリン事件の被害者へのインタビュー』が書き連ねられている。 サリン事件当時、私は小学6年だった。世間のニュースにそこまで興味はなかったが、連日このニュースをやっていたので記憶にしっかりと残っている。ただし、詳しい事まではそこまで理解はしていなかった。地繋事件前はオウム真理教はマスコミによく出ていた……なんて事は一切記憶にないが、そういう人たちがいるのでそうなのかという程度。 二つ上の従姉妹が修学旅行から帰って来て、「修学旅行の思い出は麻原が捕まった事」と言っていたのも覚えてる。それくらいには子供でも記憶に残る事件だった。 松本サリン事件なども当時は一切記憶にない。後から、こういう事があった……というのをテレビで時々やっているのを見て、そうだったのかと。今、話題の統一教会の件に至っては、30年以上前はこうだったというのを見かけるが30年前小学生だった私は、全くしらないなとしか思えない。 被害者たちの当日の状況は同じようなものが繰り返される。 ・咳をする人が多いなという違和感 ・やがて自分も咳が出たり、鼻水や涙が止まらなくなる。 ・それでも、仕事に行こうとする。 ・テレビでサリン(毒ガス)という情報が出て、病院に行く。 大半がこんな感じ。中には途中で倒れたというものや、大丈夫だったから家に帰ってから病院に行った。などもある。 軽症だったから、周囲の人の救護作業をしていたというのもある。 そして、その救護をしたために症状が重くなったという人も。 多少の差異はあるが、当日の状況についてはそれほど大きく違う事はない。 ただ、『パニック』と『サリンによる記憶障害』によって、それぞれの人の話が食い違っているというものもある。でも、それらも許容範囲だろうなと思う。 知りたいのは正しい事実ではなくて、その場の状況と空気感がざっくりと分かればいいからだ。 大半が……というか全て『通勤中(研修先へ行く途中など仕事関連)』というのも、怖いくらい統一されている。 仕事以外の予定だったなんてものはない。時間帯を考えるとそうなるのは分かるが、なんというかその統一された行動様式のようなものには気持ち悪さを感じた。 そして、それとは違ってサリン被害後の職場の対応というのはそれぞれ少しずつ違う。 もちろん個人個人の症状の重さが違うというのとPTSDの重さの違いなどもあるが、職場によっては一年以上も配慮してくれるところもあれば、一週間で復帰してその後も頭痛に耐えて仕事をしているという人もいる。または、耐えられずに退職を選ぶ人もいる。 サリン被害にあう事が『運』であったように、職場での対応も『運』なのだろうか。 そして、その『運』任せの状況が今のコロナでも同じ状況を起こしているような気がしてしまう。リモートワークが出来るかどうか、コロナ後遺症があるかどうか、死ぬかどうか、全て『運が悪かった』で終わっていい事なのか。 地下鉄サリン事件は、オウム真理教による被害ではあるけど、社会の仕組みだとか警察の対応だとかいろいろなものをあぶり出した……はずなのに、あれから20年以上経っていてその教訓が生きているとは思えない。 少し気になった部分に触れていく。 インタビューの中に『事件後に離婚を切り出した』という人がいた。 離婚するのは夫婦の問題なので、その前から冷めていたから……というのは分かる。しかし、サリン事件から帰って来たら子供が「目が痛い」と言ったから服を処分したという話には違和感しかない。 その子供の症状はどれくらいだったのか。病院には行ったのか。視力に影響はなかったのか。日常への影響は。と、色々と思うのだが、そのインタビューではそれだけで終わっていた。 でも、その辺りでも察してしまう。子供にそれだけ興味がない事がすでに亀裂なのだ。夫婦間でお互いに興味がないと言うのは分かるが、『子供』は別だ。二人の子供なのだから、責任はそれぞれにある。それがすっぽり抜けている。 男性が『作っただけの人』になるのはよく聞くが(……というか、うちの父もそれだが)、それで「妻は自分の心配はしてくれなかった」と書かれても。あなたも子供の心配してないじゃないかとしか思えなかった。 なぜ、自分は子供の心配をしてないのに、妻には自分を心配してもらえると思えるのか。おそらくだが……妻が妊娠子育てに奮闘してる間、あなたはどれだけ妻の心配をしたのかという話なのではと思う。 最後の方に「呉服屋で自営業をしている」という人へのインタビューがあった。 今までは勤め人だったが、こちらは自営業なので働けないとそれだけ収入が減る……と、リアルな話だった。これも国の支援などはなかったんだなと思ってしまった。 そして、それとは別にして、着物はこの先先細りするしかないと思うという話が載っていたが、私も着物は好きと思ったが調べれば調べるほど『めげる』 理由は面倒だからだ。あれもこれも準備しなくちゃいけない。着付けも簡単ではない。昔の人はそんな難しいものを本当に着ていたのかと言いたくなるが、あれは『格式高い家の人の着物』が今に続いているだけで、庶民が着たのはあんなものではないというのを見かけた。 もっと庶民向けに簡単に……もしくは「洋服と組み合わせて」着れる様になれば、着物も楽しいと思う。 着物が売れないのは単純に『高い』『面倒』『非日常過ぎる』の三点セットが揃っているから。 着物好きと思ったけど、私はたぶん『民族衣装』が好きで、『非日常感』が好きなだけかもしれない。しっかりとしたマナーやルールに沿って着たいわけではなく、気楽に日常に合わせて着てみたいと思いつつ、出来てないケド。 時々、ツイッターで気楽に着ているのを見ては、それいいなと思う。着物というか浴衣は持っているが、洗濯が大変で今は着ていない。洗濯のしやすさも大切。 「こういう大きな災害が起こったときに、組織が効率よく速やかに対応するというシステムが、日本には存在しないのです」344p これ、まさしくそうだなと思う。 そして、現在においても同じく事が起きてから対処しようとするが『ノウハウ』どころか『専門性』もなく、『なるべくなら金を使いたくない』という思惑まで働いて……ろくな対応がなされてない事を証明したコロナ渦。 コロナ渦が証明したのは、マスク・うがい・手洗いをすればインフルエンザはほぼ防げる。という事ぐらいな気がする。やる事と言えば、『距離を取ってマスクとうがい』を呼びかけるだけ。 全数把握をしていたではないか……とか言われそうだが、あれは医療従事者の負担を減らすシステムを構築する前にやめます宣言した様にしか見えない。一部自治体では『システム更新で負担が増えるくらいならやめてくれ』ということで全数把握取りやめを国に要望したのかもしれないという勘繰りまでしてしまう。 要は国のやる事はほぼ信用ならんという事に変わりはない。ろくな事をしないなら、何もしないでいてくれた方がマシ。 『効率よく速やかに対応するシステム』どころか『非効率に人のボランティア精神に付けこむシステム』しか、存在しないのではないだろうか。 という事を考えてしまった。 222pに『統一教会』という単語が出ている。正直、何故唐突にこの単語が出ているのか分からなかったが、その前を読むと「霊感商法」「壺の話」などと書いてあって、それが統一教会に関する話なのかと分かった。でもこれ、今、話題になっていなかったら全然分からなくて繋がらなかったと思う。私には統一教会に関する知識がなかったからだ。 オウム事件の時点で『統一教会』も問題視されていた事が、この本で理解できた。ただ、出てくるのはここだけで気が付かなかったら読み流していそうだなと思う。 222p辺りは弁護士がオウム真理教と闘っているという話なのだが、警察側は一切危機感を抱いていなかったという事も書いてある。この頃も今も宗教に関する事はタブー視されるのだろうか? それとも、問題視されないのだろうか。オウム真理教の事件も警察が真っ先に動いたわけではなくて、周囲の人たちが少しずつ証拠だとか色々と固めて警察に提供して……という形っぽい。 宗教ってそんなに神聖なのだろうか? 何を信じてもいいけど、相手の人生を殺すような宗教はカルトだと思う。
投稿日:2024.02.28
長岡晃大朗
インタビューはもちろん、最後の「目じるしのない悪夢」まで読み応えのある作品だった。 特に和田さんの話、明石さんの話から、「平和」、大事な人がいることの大切さを強く感じた。そして 一番危険であるのは、誰…かに己の思想を任せることだ。村上自身の言葉で言えば、自律的パワープロセスは自分自身のものか、確かめる必要がある。続きを読む
投稿日:2024.01.01
司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)
「1995年3月20日の朝、東京の地下でほんとうに何が起こったのか。同年1月の阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム真理教団による地下鉄サリン事件。この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているの…か、62人の関係者にインタビューを重ね、村上春樹が真相に迫るノンフィクション書き下ろし。」 「そのときに地下鉄の列車の中に居合わせた人々は、そこで何を見て、どのような行動をとり、何を感じ、考えたのか」を知りたかった と、村上春樹はあとがきに書いている。」 (『いつか君に出会ってほしい本』田村文著 の紹介より)続きを読む
投稿日:2023.11.01
ちい
再読なんだけど登録してなかったかな…。 8年前?9年前?の3/6にしに損ない、その年の3/20。わたしはトーキョーから連れ戻されて、実家にも帰れずひとまずいとこのおばちゃんの家にいて、サリン事件の特番を見ていた。まだODの後遺症も抜けず、顔の怪我も治らず、なにをして過ごしていたんだか、ぼーっとしていた中で、その番組を見た事は、とても印象に残っている。それまでほとんど気にとめた事もなかった、考えた事もなかった事件に興味を持ったのは、それからだったと思う。
投稿日:2023.10.11
キムチ27
ハルキ氏の視点でのインタビューと総決算は読まなければならないと思っていたが、この分厚さ。 やっと宿題を終えた感・・10日かかったが。 麻原とオウム一派からしたら「粛清」の名のもとに下した結果と行為は…一瞬だろうが踏みにじられた人生が微に入り、細に渡って語られている。とても読書という行為では追っていけない、血を吐く時間であって辛すぎた。 リアルタイムで見た報道ではとてもここまで掘り下げられなかったし、被害者の方々も報道への不信感が強いのは想像に難くない・・当然に誰も口を閉ざしたのは当然かと。 20世紀末という時間がこのような惨禍で閉じたのは偶然だろうか。振り返ると報道は言うまでもなく、組織の在り方への疑問、不審が課題化していく端緒にもなっている感が強い。 この事件の場合は警察!それは今2023年でも強まりこそすれ、憤りの感情は足も度にどす黒い流れになっていると感じる。 平成になり、死刑囚は「一応」全員執行された・・が残党への疑惑、追求は続いて居る。 この記録を読むまでもなく、決してこの事件がもたらした何物かを忘れず「済んだ事」としてはならないことを再認識させられた。続きを読む
投稿日:2023.09.05
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