【感想】アンナ・カレーニナ 4

トルストイ, 望月哲男 / 光文社古典新訳文庫
(32件のレビュー)

総合評価:

平均 4.6
17
8
2
0
0
  • 秀逸なリアルさ。

    これや翻訳の方の素晴らしさもあると思いますが……。
    とてもリアルな描写がグっと印書に残ります。

    情緒不安定になり、薬に溺れ、取り乱すアンナの描写が秀逸です。
    特に、有名なアンナのラストの場面の
    「生身」を感じるリアルさは、生々しく、かえって凄みすら感じます。

    アンナ・カレーニナを読み終えて、トルストイのパワーにひたすら驚き、
    その卓越した描写力に圧倒されました。
    そして、これまでわからなかったリョーヴィンの魅力や面白さが
    十二分に伝わる新訳に感謝です。

    欲深い読者の一人として
    同じ訳者で是非『戦争と平和』が読みたいです!
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    投稿日:2017.03.09

ブクログレビュー

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  • Level42

    Level42

    トルストイのなかでも比較読みやすい本
    様々な恋愛、人間関係があり
    読む人により意見が異なる
    舞台でも面白いと思うので
    何度も舞台化されているが
    機会があれば観てみたい

    ほんすとっくさんのブログを見ながら
    読み進める時わかりやすい

    https://honstock.net/anna-karenin-characters
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    投稿日:2024.05.06

  • iszka

    iszka

    初トルストイ長編

    幸せな家族はどれもみな似ているが、
    不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある。

    圧巻の世界観
    登場人物がみんな生きている
    熱情や妬みに翻弄されていく貴族たち

    確かに昔存在していた時間たちが蘇り、
    そこに生きていた人間たちの鼓動が感じられる。

    本筋だけを追っていけば、
    今日目新しい展開は特にないのだが、
    一つ一つの挿話によって、
    人物像だけでなく、彼らの生活の香りが浮き彫りになっていく。

    アンナとリョーヴィン

    アンナは恥辱との戦いであり、
    リョーヴィンは自己との戦いであった。

    地に足をつけて、自分と対話しながらなんとか生きていく。
    それって、いつの時代も通用する教訓なんだと思う。

    自分が何者で何のためにこの世に生きているのかを知りもせず、また知る可能性さえも持たず、その自らの無知に苦しむあまり自殺さえも恐れながら、同時に自分独自の、はっきりとした人生の道を、しっかりと切り開いていたのであった。
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    投稿日:2023.06.19

  • wren

    wren

    23.2.27〜28

    アンナの描写、本当にギリギリまで精神的な部分で死に近づいた人しか書けないものだった。分かりすぎてキツかった。その後のパートのリョーヴィンが精神的にかなり追い込まれている状態にいて、何を見出すのか。1ヶ月足らずで一気にこの作品を読めたこと、舞台のアンナ・カレーニナまでに読み終えられたことへの安堵感も同時に去来してきて、不思議な気持ちになった。アンナとヴロンスキー、まずいな〜まずいな〜と思っていたけど、こういう話になると思っていなかったから本当にビックリした。続きを読む

    投稿日:2023.04.27

  • funfunddreissig

    funfunddreissig

    長いけど訳が重厚すぎず、何より面白くてどんどん読み進められた。自分が恋愛に依存気味の時期の思考の流れにありがちな視野の狭さがアンナの一人称語りによく出てたりと人物の心理描写も素晴らしい上、リョーヴィンと対になる構成も面白い。タイトルロールなのにアンナは冒頭もなかなか登場しないし、死んでからも物語が結構続くんだよね。続きを読む

    投稿日:2023.04.24

  • 一条浩司(ダギナ)

    一条浩司(ダギナ)

    完結編。第7部と第8部を収録。2つのカップルの圧倒的な結末に魂が震撼する。そこに見出したある一つの答え。

    前巻の新婚生活から続いて出産シーンへ。リョーヴィンの慌てっぷりがユーモラス。お互いに何でも話し合い、隠し事をしない理想的な夫婦像ともいえるリョーヴィンとキティも、時々は細かいことでぶつかったり悩んだりするところがリアル。

    二人の主人公が一瞬だけ交差する出会いのシーンは胸が熱くなるものがある。ここから物語はクライマックスへ向かっていく。

    第7部の終盤にいたる展開は、その不穏さとスピード感に読んでいるほうも追い詰められる感覚になる。男女の愛を理想的な結婚の姿という形で見せてくれたリョーヴィンと対比して、最後まで愛を求め続けたアンナの姿も、ある意味で女性としての究極的な何かを表現しているといえるかもしれない。最後のシーンの文章が本当に上手いというか、映像的でありながら文章でしか表現しえないものがあって、翻訳も含めてすごいと思った。

    第8部はエピローグ的な展開と、リョーヴィンの思索がメインになる。一般的には第7部のラストに目が行きがちだし、物語としてはあそこで終わっても不自然ではない。だがこの第8部こそ、本作の結論でありキモとなる部分といえ、本作を単に恋愛小説として読んでいる人には見出だせない、より大きなテーマが提示されている。

    リョーヴィンが抱き悩み続けている本源的な問い――
    「自分はいったい何者か?自分はどこにいるのか?なぜここにいるのか?」
    それは生と死についての疑問であり、リョーヴィンはこれについて明確な答えを見出す。アンナとリョーヴィンという、別々に展開し一見つながらないように見える2つのプロットは、すべてこの一点のテーマに集約されて大きなカタルシスをもたらすのである。

    自分の若い頃にこれを読んでもピンとこなかっただろう。百姓ヒョードルの些細な一言で気づきに至る流れ、答えは理性の外にあり、「われわれはすべて知っているのだ」と納得する顛末に、うんうん、そうだそうだとうなずきながら、この何年かで学んできたこと、考えてきたことが微細に書かれていて驚いた。特筆すべきなのは、これらのことが単に思索の結果としてだけではなく、日常生活の細々した雑事と密接にからみながら描かれているところ。リョーヴィンの悟りは、よく言われるふわふわしたスピリチュアルではないのだ。悟りに至ったあとも、あまり変わらない現実の如実な姿にニヤリとするラストの一文が最高だ。また、キリスト教の信仰に立ち返った彼は、他宗教へのスタンスについても、子供たちのいたずらと天文学者のたとえから明確に結論づける。

    表向きは恋愛と結婚を題材にしながら、また当時の生活や社会を詳細に描きながら、より深い生命の次元から万事を見つめ、多層的な観点から人間の本質に迫っていく本作は、個人的にも人生でベストといえる作品の一つとなった。これから映画も見てみたいと思う。
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    投稿日:2022.11.07

  • コジコジ

    コジコジ

    このレビューはネタバレを含みます

     19世紀当時の帝政ロシアの貴族社会を背景とした物語としての歴史的荘厳さを保ちながら、アンナとリョーヴィンという愛に悩む等身大の人間像を絡めることで、不変的な一大叙情詩かつ一大叙事詩に昇華させたトルストイの古典的名作。光文社の翻訳・編著の妙もあるだろうが、いま読んでも全く古さを感じず面白い。
     ヴロンスキーの愛を猜疑しアンナの鉄道自殺で衝撃的に幕を閉じる第7章。これにて終焉としても良かったであろうが第8章のヴロンスキーの自棄的行動やリョーヴィンの啓示的開眼が単なる「不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」人間模様から数歩抜きん出た深みある印象を与える。

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    投稿日:2022.05.07

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