【感想】ホーンテッド・キャンパス この子のななつのお祝いに

櫛木理宇, ヤマウチシズ / 角川ホラー文庫
(25件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
7
8
7
0
0
  • 長編ならではの深み

    シリーズ第8弾。これまでの連作短編形式とは違って、今回は長編です。しかもオカ研メンバーで行く冬の温泉旅行!……ということで、いろいろ新鮮な気持ちで読みました。
    旅行中は全員一緒なので、サークルメンバー同士の関係もいつもより突っ込んで描かれるんじゃないかなー、なんて思っていたのですが、結果は期待以上でした。森司とこよみのやり取りは微笑ましいような、ただのバカップルのような……。
    「1話=1怪異」だった連作短編形式に比べて怪異のスケールもぐんと大きくなり、森司たちはそれに否応なく巻き込まれていきます。特に後半はスピードが出てきて、心地いいスリルを感じました。
    ラストも爽やかでいいのですが、今回の怪異は読み終えたあともほろ苦さが残ります。親子も兄弟も含めて、家族って難しいなあ……と思ってしまいました。
    面白さの向こうに感じられる深みは、長編形式ならではのものかもしれません。
    続きを読む

    投稿日:2015.10.31

  • いままでとは違う8巻

    いままでは短編をいくつかあわせた形式だったのですが、今回は一冊まるまるつかってひとつの話を描いています。いつもの(?)オカ研らしいゆるさは若干少な目で、シリアスなオカルト・サスペンスの趣がありました。話の長さに比例して読み味も深いものになっています。

    藍の見せ場があまりなかったり、ひょっとしたらこのシリーズでやる予定じゃなかったのかもしれません。オカ研側の登場人物が少しタブついてる印象がありましたので。でも、主人公である森司の見せ場がしっかり用意されているのがよかったです!

    しかし、この村に出店したセブンイレブンはツワモノですね(笑)。
    続きを読む

    投稿日:2016.05.20

ブクログレビュー

"powered by"

  • ポム

    ポム

    シリーズ第8弾。
    シリーズ初の長編。

    オカルト研究会の部員1人の卒業旅行をかねて温泉旅行へ。
    そこで巻き込まれる日本の田舎の悪しき風習なお話。

    楽しめるは楽しめるがいつまでたってもゴチャゴチャ感がなくならず読みずらいのは何故だろうか・・・?

    部長の親族登場により部長の謎めいた部分も一部あきらかになります。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.27

  • ha-maioni-8

    ha-maioni-8

    このシリーズ初の長編。
    今までの短編も良かったけど、今回の長編も楽しかった。
    雪中で半ば迷い込んだ村、
    閉ざされた村で、穢れた血、巫女筋、近親相姦、古の因習、昭和テイストのストーリーを見事に平成で成り立たせている。
    土地由来の風俗、オカルト、だんだん滅びゆくものだと思うが、残ってほしいのもあるね。
    もちろん悪い風習は消えるべきだが。
    昔話って、ばばあを殺してじじいに食わせるとか、オリジナルだとひどい話たくさんあるんだね。
    今回の瓜子姫の話って初めて知った。
    続きを読む

    投稿日:2022.06.16

  • 出雲一寸

    出雲一寸

    読書録「ホーンテッド・キャンパスこの子の
    ななつのお祝いに」4

    著者 櫛木理宇
    出版 角川ホラー文庫

    p261より引用
    “「ハイヌウェレ型神話は、インドネシアの
    セラム島に伝わる伝承だ。ココヤシの花から
    生まれた少女ハイヌウェレは、尻からさまざ
    まな宝物を生むことができたという。村人た
    ちはそんな彼女を気味悪がり、殺してしまっ
    た。ハイヌウェレの父親は、掘り出した死体
    を切り刻んであちこちに埋めた。すると、彼
    女の死体からは芋が生えてきて、人々の飢え
    を満たしたそうだ」”

    目次より抜粋引用
    “ここはどこの細道じゃ
     天神さまの細道じゃ
     ちいっと通してくだしゃんせ
     御用のない者通しゃせぬ
     御札を納めに参ります”

     見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
    を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
    テリの長編作。シリーズ第八弾。
     副部長・三田村藍の卒業旅行を理由にして、
    部員全員で温泉旅行へ出かけた雪大オカルト
    研究会。色々なトラブルに見舞われた挙句、
    とうとう吹雪で立ち往生までしてしまい…。

     上記の引用は、昔話の瓜子姫と世界の神話
    についての部長の台詞。
    距離も時代も離れた世界で、同じような神話
    や昔話のエピソードが語られるのは、人が生
    きることはどんな所でも同じような物という
    ことなのかもしれませんね。
     シリーズ初の長編。終わりに向けて怖さや
    気持ち悪さが積み重なり、濃密になっていく
    のが、ここまでのシリーズとは少し違った味
    わいです。ホラー度は長編の方が、高く描き
    やすいのかもしれませんね。
     どんなことでも、執着が過ぎると人は狂っ
    てしまうものなのか、と思わせる話でした。

    ーーーーー
    続きを読む

    投稿日:2021.12.27

  • 三先代

    三先代

    今日も灘はかわいいよ!

    シリーズ初のオムニバス形式では無い単一の事件。
    ホラーの王道とも言える、古くからの因習が残る山奥の山村モノを相変わらずの量の参考文献の元で書き上げられた傑作。
    森司とこよみのゆっくり進んでいく関係に、本命のホラーも合わさって、もう恐怖に顔をこわばらせたり微笑ましさにニヤけたり、感情が大忙しだ。続きを読む

    投稿日:2021.12.01

  • kitano

    kitano

    このレビューはネタバレを含みます

    村が秘めた過去の所業から生まれたしきたり
    「7の倍数で・・・」この子のななつのお祝いに
    瓜子姫の話を知る(民俗学のるつぼみたいな印象)
    「瓜から生まれた瓜子姫」パクリではなく植物由来
    の主人公の民話で、歌いながら機織りをするがアマ
    ノジャクに騙されて誘拐・・・後のバリエーション
    は多い
    柿の木を登らされ墜落死
    剥いだ皮で成りすまし老夫婦に姫の肉料理を喰わす
    化けた天邪鬼を姫の骨から化生した鳥が告発
    殺された天邪鬼の血でソバの根が赤く染まる

    桃太郎・シンデレラ・猿蟹合戦・おおかみと七匹の
    子ヤギ・そらまめとわらすみ・カチカチ山と同じ様
    だが瓜子姫の物語は桃太郎よりも古いらしい

    興味深いじゃないか(´・ω・`)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.11.20

  • ちこ(´・ω・)

    ちこ(´・ω・)

    「ここはどこの細道じゃ」
    立ち往生した先の村で。
    いくら名のある家柄だとしても、プライベートで訪れた際にまでその様な反応を一々されていたら嫌になるだろうな。
    人との距離感は適度にとるのが一番だが、パーソナルスペースを無視して初対面からズカズカと土足で入ってくるのはどうかと思うな。

    「天神さまの細道じゃ」
    陸の孤島に余所者が。
    いくら落雷と言えど携帯の電波の遮断に加え唯一の吊り橋まで落ちてしまうというのは少し出来すぎではないだろうか。
    彼女が彷徨う者だと分かったが、悪意のある者では無さそうだから多分これも人間の仕業なのだろうな。

    「ちいっと通してくだしゃんせ」
    幼い頃の記憶にあるのは。
    父親が娘をというのは物語の中だけでなく現実にもあるだろうが、どんな些細な事であろうと不快な思いをしたのであれば違い等あるわけないと思うが。
    緊急時ですら祭り事の大切な者達は接触してはいけないままというのは、いくら伝統などがあろうと少しおかしいような気がするな。

    「御用のない者通しゃせぬ」
    代わりの娘にうってつけな子。
    彼が口にしたのは相変わらず何も考えず偶然放った言葉だったのか、それとも何かしら理由があったのか分からないが余計な一言だったな。
    表立って頼むこと無く無理矢理連れて行こうとしたあたり、これは普通の話ではなく何かしら理由がありそうだな。

    「御礼を納に参ります」
    洞窟の先に居たのは。
    どこかで勘違いをしたのか分からないが、明らかに彼女を狙った何かにしか思えなくなってきたが本当の娘すら逃げる様な事に引き込もうとするのだろうか。
    花の正体を知ってか知らず見たのだろうが、だとしたらあの花は一体誰の手により栽培されているのだろうか。

    「行きはよいよい 返りはこわい」
    村の中に閉じ込められた者。
    何故こんなにも沢山の子がいるのかと思えば、ただ何処かに往くことも出来ず彷徨わされていただけと思うと可哀想になるな。
    最後の最後に記憶を取り戻した彼女だったが、実際には忘れたままの方が良かった記憶かもしれないな。
    続きを読む

    投稿日:2019.06.15

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。