【感想】読書について

ショーペンハウアー, 鈴木芳子 / 光文社古典新訳文庫
(93件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
25
29
22
2
0
  • ショッキングな読書術

    読書というと、何となく知的なイメージがあります。
    もちろん、娯楽として読書を楽しむ人も多いけれども、履歴書に書かれる“無難な趣味ナンバー3”に読書が入ることは間違いありません。
    しかし、仕事や家事の合間をぬって、せっせと読書に励む私たちに、ショーペンハウアーは言うのです。本を読むことは何も考えていないことに等しいと。

    「絶えず本を読んでいると、他人の考えがどんどん頭に流れ込んでくる。これは自分の頭で考える人にとってはマイナスにしかならない。」

    えええええー!?

    まるで今までの読書を否定されたような文章に自尊心を傷つけられながらも、それじゃあ何を読めばいいのか、どう読めばいいのか、ショーペンハウアー先生は教えてくれます。

    これからの読書時間をより有意義にものにするために、読んでおきたい一冊。
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    投稿日:2016.10.03

ブクログレビュー

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  • たなかかいと

    たなかかいと

    読書よりも自分の思考の方が価値高いでしょって話。その考えもわかるが、その話のレベル感が違う気がする。ショーペンハウアーは1788-1860の人。その当時と比べて現代人は圧倒的に読書量が足りなさすぎて、思考しようにも①思考体力がない②思考する題材がない(ないものは考えようがない)から、読書はあまりするなという主張はあまり現代には適切でないかも。って思います。
    でもその自分の思考が最高価値だよって主張自体は間違いなく、これまでの「読書系」の本とは別角度の意見で参考になった。読書マニアになりすぎず、そこからどう生かすかを軸にしようと思った。
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    投稿日:2024.05.19

  • ワッツホワッツナッツサンダー

    ワッツホワッツナッツサンダー

    作者は多読を否定するわけだが、同類の本を重ねてよめば、それは多読にはならない。むしろそのちょっとした差異により思考は深まる。

    投稿日:2024.05.06

  • 田中太郎

    田中太郎

    読書と著述について、一般に「善い」とされるそれら営為を改めて振り返り、愚鈍な手法について強い主観で批判した本。
    ショーペンハウアーを読むのは初めてだったけど、最初から最後まで口が悪すぎて終始笑いながら読めた。ページをめくる度に新しい悪口が出てくる。

    「読書」は著者の思索をなぞるだけであり、まず自身の思考軸を持ち、それを補するものとして接しない限りは空虚な営為だという批判が主。特に多読や流行り物を批判する。
    これは昨今、web上でインフルエンサーの意見を多量摂取し、それをなぞった主張するだけの人へも同じ批判となるだろう。

    流行りのビジネス書を何冊も読むより、現代まで残っている古典書をマイペースに読み進めて咀嚼する方が思考に深みが増す。これは自身の経験則とも一致する。
    読書が進まないと流行りものに手を出してしまうものだが、読む度に空虚な気持ちになるし、自戒していきたい。

    著述は著者の顔だとし、それに自らの誇りを持ち、整然とした文体で書かれるべきであるとする。文章の書き方としても学ぶべき論は多くあった。
    一方、そうあるべきものを匿名で出すことについても厳しく批判する。なにを著述するにしても、この認識を持って人と対峙するようにしたいと思った。

    なんにせよ「他人の思想を借りるのではなく自分の思想を持ち、その思想を正しく著述しろ」という主張は深く共感するし、常に意識していきたい。
    下手な文章を書くとこんな感じで罵倒されそうなので、少しでもまともな言葉を紡げるように日々精進である。
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    投稿日:2024.05.02

  • tybsk

    tybsk

    エッジの効いた言葉が軽快に続いていく。なんならこれでラップできるんじゃないかと思うくらいのディスもあったりして、マインドがラッパーと通じるような新鮮な感覚だった。
    その一方で、
    「読書は自分で考えることの代わりにしかならない」という言葉は、少し寂しいな とも思う。
    物語が読者と繋がり、一つの世界を一緒に創りあげていく面白さや、それが生活の一部となり生きる糧になることも沢山あると思った。
    ショーペンハウアーに「頭が空っぽの凡人」と形容されても、凡人が故の楽しみ方もあると思う。凡人がいるからこそ、非凡が生まれて、素晴らしい作品ができるとも思った。

    けど、こう思えることもこの本があってからこそ。やっぱり楽しいね、読書って。
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    投稿日:2024.04.07

  • kaeru2falco

    kaeru2falco

    思索と読書のバランスについて書かれた本です。いわゆる、学びて思わざれなすなわちくらしと言う事について書かれた本です。

    ただ、これを真に受けて読書を怠れば、思いて学ばざればい即ち殆うしと言う事になりかねない。

    この時代の人たちは、我々より圧倒的に読書していた事を忘れてはいけない。
    要は友人同様、読む本は選びなさいという事。


    ヘッセの読書術より訳文が平易で読みやすく、同様の主旨で書かれているのでおすすめ。
    ただヘッセと違って、それなら何を読めばいいのかと言うリストはない。
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    投稿日:2024.02.19

  • 青風

    青風

    哲学書の中ではかなり読み易い部類に入るだろう。全く哲学に触れてこなかった人や中学生くらいでもこれは読めると思うし、衝撃的ながらも「確かに」と首肯してしまう内容になっている。
    「読書について」とあるが、ショーペンハウアーはその冒頭で「読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ。他人の心の運びをなぞっているだけだ」とバッサリ断じてしまう。しかしよくよく考えると確かにその通りなのだ。読書とは他人の思考をなぞる行為でしかない。下手な自己啓発本を礼賛する行為に嫌悪感を感じるのはそれが先鋭化されているからかもしれない。
    とはいえ、ショーペンハウアーは読書そのものを否定している訳ではない。他人の心の運びをなぞる行為であるからこそ、良書を読み、自身で思考する力を育めと言っている。ただこれは非常に難しく、果てしない作業だと思う。ショーペンハウアーほどの飛び抜けた才能を持つ人ならともかく、我々は良書と悪書の区別が最初からつけられるほど賢くはない。悪書を読むことで良書を知ることもあるだろう。ショーペンハウアーは現代に残る古典を読むことを良書のみに当たる方法としているが、さすがに古典だけを読むわけにもいかないしね。(あるいは古典を読み耽った後であれば現代の良書もわかるという意味かもしれないが、そこまで簡単にいくのか?と個人的には感じる)
    しかしそっちの系統を読んだ訳じゃないので賛同も反駁もできないけど、いくらなんでもフィヒテとヘーゲル嫌いすぎじゃないこの人?
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    投稿日:2024.01.18

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