【感想】黒博物館 ゴーストアンドレディ(上)

藤田和日郎 / モーニング
(27件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
13
4
3
0
0
  • どうしたらあの人物の話からこんな物語を思いつくのか?

    もともとこの漫画を手に取ったのは、NHKの「浦沢直樹の漫勉」がきっかけです。たまたま視たのが「藤田和日郎」の登場した回で、本作を作成中の仕事場の風景を撮ったものでしたが、そこでの漫画の描き方に驚き、浦沢直樹先生が言った藤田和日郎の描く漫画の「この世ならざるモノの目」という言葉に強く共感しました。

    「この世ならざるモノ」 に限らず、藤田和日郎の描く人物たちの何と魅力的なことか。まさに目の表情から生み出すあの圧倒的な存在感と迫力は、他と一線を画し、その絵に負けない独創性豊かで重厚なストーリーと緊張感を生み出す演出に惹きつけられずにはいられません。

    本作は上下巻600ページ程の物語ですが、 伝記にもなるような誰もが知っている人物のお話を、史実に沿いながら、怪奇・闘争・正義・信念・偽善・人道そして愛と、これでもかというほど様々な要素を濃密に盛り込みつつ、ファンタジックで独創的に仕上げています。

    改めて藤田和日郎という漫画家の凄みを感じさせられました。
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    投稿日:2015.09.18

  • 帰って来た黒博物館(^^)d

    スプリンガルド以来の黒博物館です。
    あれはバネ足ジャックが原典の作品でしたが、こちらは誰もが知っている実在した歴史的人物がヒロインです。

    書籍説明にある「もうひとり」が、学芸員の聞き手にかち合い弾という展示物にまつわるいわくを語り始めることで物語が進んでいきます。

    ヒロイン
    作品を読んでいただければすぐに名前が紹介されるので問題ないとは思いますが、敢えて上巻のレビューでは伏せておきます。
    思い詰めた表情での登場から、徐々に目的に向かって突き進むようになっていく過程が素晴らしいです。
    彼女の偉業が現代社会に貢献した価値は測り知れません。

    「もうひとり」
    戦いに赴くときの台詞は芝居掛かっていてカッコいいですね。

    ストーリー
    史実を踏まえつつ展開していく、普通の人には見えない決闘を模した戦い。最初は否定され続けたヒロインが徐々に周囲から認められ、慕われていった都度都度に、「もうひとり」の闘いが描かれていてうまく展開されています。

    スプリンガルドとはまた違った趣ではありますが、面白かったです。
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    投稿日:2015.07.23

  • 一本の線にこめられた熱情!

     NHKの「浦沢直樹の漫勉」を見た。なんという線の重ね方!!
    あたりだけのコマに、下描きもなインクを入れる。そこにホワイトを入れ、ペンを入れ、またホワイトを入れ、を繰り返して作っていく!あの迫力のかたまりが、こんな風に作られていたとは!
     今まで、藤田作品に心を揺さぶられ、泣かされるのは、卓越したストーリーテリングのせいだたと思っていた。違った、あの迫力の「線」に、魂のこもった「眼」に、あの熱に満ちた「画」にやられていたのだ!!
     番組を見てそれに気づけました。作品を読んだ人には是非、番組も見て欲しいです。この作品の生原稿がアップで、真っ白い紙の中に生まれていくのが見られます。
    続きを読む

    投稿日:2015.09.20

  • スプリンガルドが好きなら読まない理由がない。

    スプリンガルドに続く黒博物館の第2弾です。

    読み始めたらあっという間ですが、上下巻は程よいボリュームなので、物足りない事もありません。
    この辺りはさすが藤田先生と言ったところでしょうか。

    史実や舞台の話も出て来ますが、知らなくても十分に楽しめます。続きを読む

    投稿日:2015.08.02

  • ナイチンゲールのお話

    黒博物館シリーズは本当にクオリティーが高い。女性にもおすすめです。

    投稿日:2019.09.28

ブクログレビュー

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  • sakopy

    sakopy

    このレビューはネタバレを含みます

    絵の力って素晴らしい!
    漫画って素晴らしい!
    あらすじだけ読んだのではこの思いにはなれない。
    この作者の思いを描いてくれるから
    物語が漫画になって訴えかけてくれる。

    ナイチンゲールの話は
    彼女の逸話は伝記で読んだことはあったけど
    そこに、この漫画の味わいが加わることでさらに面白くなるのが良いです。
    どこまでが史実でどこまでが演出なのか
    こんなゴーストがいたのかもしれない
    いなかったのかもしれない
    いろんなことを思わされるけど
    ただ面白いと思えることが幸せなんですよね
    漫画を読むことって

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.06.17

  • kappappa14

    kappappa14

    ザ藤田さんな感じは全開で、構成をコネコネし過ぎないのでちょうど良い。
    からくりサーカスもそうだけど、舞台の上でそれぞれの役割を果たしている、みたいな思想があるのかな。

    投稿日:2019.08.18

  • tsukasa26

    tsukasa26

    キュレーター学芸員 ロンドン警視庁スコットランド・ヤード 19世紀英国ヴィクトリアン 喜歌劇オペレッタ 介添人かいぞえにん 生霊いきりょう ナイチンゲール 病院は不潔の温床だった グレイ 尨大ぼうだい 歯牙にも掛けず 堂に入って コレラ菌 クリミア戦争 リネン類 ご随意に 弾丸の鉛毒 マドモアゼル令嬢 「決闘」の代理人として 彼女はご多分に漏れずパトロン後援者である貴族の妾だった マザーグースの「サムシング・フォー」 もしも所帯を持てたら 名誉の章典 アデューさよなら続きを読む

    投稿日:2019.06.16

  • misakootake

    misakootake

    このレビューはネタバレを含みます

    ボーッとしてるけど芯の強い女、スカしてるけどいざと言う時カッコイイ男、藤田作品らしい話。最後は同時期に連載してた和月伸宏のエンバーミングを読んでればニヤリとする小ネタが仕込んであるから並行して読むといい。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2018.08.04

  • osw9791

    osw9791

    黒博物館の2作目。
    ナイチンゲールに取り憑いた幽霊グレイの物語。
    この物語は人間の心の有り様を、藤田節でみごとに彩りっている。

    人間が死んで幽霊(というか怨霊)になると怖いよってことでもある。

    投稿日:2017.07.25

  • 花園

    花園

    ※このレビューでは上下巻を纏めて扱っています。
    ※暴力及び流血、性表現の含まれる作品です。

    【印象】
    19世紀。
    近代看護を生んだ偏執の女、決闘代理人だった幽霊の男。
    多くの、熱い展開が好きな人にお薦めしたい作品です。

    【類別】
    漫画。
    アクション、ファンタジー、看護。
    作中作の要素がほんの少し。
    実在した人物及び劇作品に取材している作品です。

    【構成脚本】
    ばしっと纏まっています。
    シェイクスピアの作品に多く絡めているので、触れたことのある人はより楽しめるのではないでしょうか。

    【画】
    表情、感情に関する諸々が作品内で生き生きとしているように感じます。悲喜。

    【備考】
    下巻末尾に参考文献が挙げられています。
    続きを読む

    投稿日:2016.12.04

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