【感想】プロジェクトぴあの

山本弘 / PHP研究所
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
9
8
1
0
0
  • アイドルでマッド・サイエンティスト

    「地球移動作戦」の前日譚。熱力学の法則を破る夢の永久機関<ピアノドライブ>の開発者である結城ぴあのの半生を描いたSF作品。主人公の結城ぴあのは独学で天文学・物理学を取得した天才で夢は宇宙へ行くこと。その夢をかなえる為の手段の1つとしてアイドルになったという変わり者で、本作の語り部の貴尾根すばる(「男の娘」を自称する工学部生)とは秋葉原のパーツ屋で出会う。

    物語の前半はひあのがアイドルになっていく過程と<ピアノドライブ>の理論構築が交互が描かれていく。アイドルパートではバーチャルアイドルvsリアルアイドルやFREEと著作権、ボカロやAR(拡張現実)など現在と地続きの技術の未来系の話が語られ、ドライブパートではタキオンや次元論などを駆使して新たな物理法則を構築するというハードSF寄りの話が語られます。どちらもすごく面白いのですが、私的にはドライブパートでひあのがタキオン時空の物理法則を構築し、我々がいるタージオン時空の法則に当てはめていく様は最近のSF物にはないエキサイティングな場面で読んでいて楽しかったです。そして後半、話は1つに収斂され<ピアノドライブ>作成とその実用化の話になるのですがここでも現行の規制や制約の枠を突破していく話が面白く最後の方で用意されている<ピアノドライブ>での救出劇は現行物理法則を無視した最大の見せ場になっています。

    「地球移動作戦」を読んだ方はひあのの行く末はご存知かとは思いますが、あの時代に活躍するACOM(人工意識コンパニオン)やメガプロデューサーがこの時代に誕生していたことなど前作を読んでいるのであれば本作も十分堪能できます。また本作が楽しめたのであればぜひ「地球移動作戦」も読んでいただきたい。

    しかしマッド・サイエンティストでアイドルというこの相容れない設定を見事に結びつけ「結城ぴあの」という稀代のキャラクターを生み出した作者には素直に拍手を送りたい。

    ※野尻抱介の「南極点のピアピア動画」や「ふわふわの泉」が好きなら買いです。
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    投稿日:2014.10.15

  • 表の顔はアキバ系アイドル,裏の顔は・・・

    書きっぷりはライトな感じなんだけど,かなりしっかりと考え抜かれたSFの世界。どこまでが実際の科学で,どこからがフィクションなのか。
    VRゴーグル,ARコンパニオン,まさにこれからの時代に活躍しそうなガジェットたちも出てくるが,こんな世界が実現したら楽しそうだ。続きを読む

    投稿日:2016.11.17

ブクログレビュー

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  • todo23

    todo23

    イャ~楽しかった。
    アイドルにしてマッドサイエンティスト。人に対して愛を感じる事が出来ないが、宇宙に対する愛に溢れ、ただ一人がむしゃらに宇宙に飛び出す事を目指す少女・結城ぴあの。
    周辺を固める人物造形も良いですね。語り手でぴあのに恋する「男の娘」下里昴、プロダクションの社長・真下・・・・。特に同じアイドルグループのライバル・青梅秋穂とぴあのの会話は秀逸です。
    充分な教育も受けず、独学で難解な数式を操り、実験を繰り返し、最後には熱力学の法則を超えて新エネルギーを考え出しちゃう。良き頃のホーガン的大ぼら話。そこに風変わりな美少女というジュブナイルの要素を加えて・・・。
    一人乗りのテスト機を使った宇宙ステーションから二人の男性を救出するシーン。宇宙服を着て宇宙船の外に付けられた椅子に座って地球に帰還するシーンなんて爆笑しましたよ。
    500ページ越え。ややいろんな要素を取り込み過ぎた面もあります。エンディングにも少し違和感を感じましたが、非常に楽しく読めました。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.26

  • p2

    p2

    このレビューはネタバレを含みます

    「プラスチックの恋人」で言及されていたので読んでみた。
    時系列的には、
    「プロジェクトぴあの」
    「プラスチックの恋人」
    「地球移動作戦」
    という感じ。

    読んでてわくわくする大傑作。SFはこうでなくては。内容的にしょうがないかもしれないが「プラスチックの恋人」にはこの部分が足りない。

    「みらじぇね」は要するにブラウン・ラチェットを魔改造した第二種永久機関らしい。

    ところで、光起電力効果ってなんであるんでしょう。エネルギーから仕事を取り出すには差が必要。高温と低温、高い位置と低い位置みたいな。光起電力効果はどの差を利用しているのかよくわからん。と本筋と関係のない疑問が読んでてふつふつとわく。

    宇宙はとても広く新しい物理を発見しないと恒星には行けそうもない。物理を女の子に語らせないと絵にならないとか。そんな感じの話。恒星はともかく62マイル離れるだけならアイドルになる必要はなさそうですし。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2018.08.28

  • whitehead0511

    whitehead0511

    この濃さ。全然わからない科学、物理用語を連発されても読めてしまう。最後はそう来たか、というあっさり煙に巻く印象。

    投稿日:2018.08.15

  • ゆうゆ

    ゆうゆ

    難しい用語や難解な公式が乱立したのにも関わらずここまで熱中出来るお話はすごい。斬新な視点であるのに、置いてきぼり感が全くなく続きが気になる。それなりに読み応えのある分厚い内容だったのにすごいひきこまれようだった。
    ラストまでぴあのちゃんらしさがでていて、昴くんの一途な気持ちにも激しく共感。がっかりすることなく納得の終わり方だった。
    続きを読む

    投稿日:2018.06.04

  • h4leader

    h4leader

    本当にありそうな話。ハードSFに当たるのかな?
    でも、ノリは軽いです。
    アイドルっておバカなイメージがやはり強いのだろうか。
    知的で、実はマッドサイエンティストという設定は面白いと思う。

    宇宙への憧れは募るばかりですね。続きを読む

    投稿日:2016.09.10

  • Dr.(読多ー)あんころ猫

    Dr.(読多ー)あんころ猫

    結構ボリュームがあるが面白くて一気に読んでしまいます。

    この著者の本は何冊か読んでいますがハズレは殆どありません。
    個人的にはビブリオバトルシリーズのようなものよりもこの本のようなSFものの方がハマりますね。

    いやー、面白くて読み応えもあり満足の一冊です。
    続きを読む

    投稿日:2016.08.23

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