【感想】ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ピーター・ティール, ブレイク・マスターズ, 瀧本哲史, 関美和 / NHK出版
(305件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
79
100
82
6
3
  • 水平に進むか、垂直に進むか、今がその分岐点

    ”君はゼロから何を生み出せるか”

    <こんな人向け>
    ・起業家や企業志望者
    ・企画や計画立案者
    ・自分を成長させたいと思ってる人

    <こんな本>
    ○未来を作る進歩は水平進歩と垂直進歩がある。
    ○新興国は未来があり、先進国は発展が終わった国と錯覚してないか。
    ○ITバブルの終焉、そしてその反省は間違いばかり。
    ○幸福な企業はそれぞれ違う。
    ○独占を行ってる企業は自分を守るために、さまざまな嘘をつく。
    ○イデオロギーとしての競争。競争に勝たないと富が得られないと勘違いしてないか?
    ○人生は宝くじではない。
    ○人はみな投資家(生きていくうえで、選択や投資を行っている)
    ○人間は全てを知ってると思うことは、傲慢である。
    ○すばらしいモノを作れば、みなそれを買ってくれるのだろうか?
    ○今こそ、人間と機械は手を組むべきである。

    <感想>
    なかなか、面白い読み物でした。
    企業における投資も自分自身への投資もなんら変わらない。生き延びていくためには、選択して成長をしていかなければ価値は下がっていくのですから。
    では、自分の価値を下げないため成長するにはどうするべきか?

    成長にも水平方向と垂直方向があります。
    企業でいえば大量生産、グローバリズム、製品の改良といったものが水平方向のもの。個人でいえば、英語(いやゆる外国語)取得、仕事の改善とかいったところでしょうか。新しいことではありますが、他人が簡単に真似ることが水平方向。
    これが垂直方向になると、タイプライターがワープロに変わったようにテクノロジーによって全く別物に変わるものとなります。個人でいえば国家資格をとって仕事に利用するとか転職するなどいったところでしょうか。

    もうすでに、パイが無限に膨らんでいくという時代は終わりました。いまだにイデオロギーとして我々の思考は、利益は戦って勝ち取るものだという思考に汚染されたままであるとこの本は警笛を発しています。
    簡単にいうと、ライバル企業がある商品でヒットを出したからといって、水平方向的な考えでライバル商品の改良で競争を挑む戦略は間違いということです。
    競争の激化のすえ、シェアをとったとしても収益は悪化するからです。
    この辺は、実際に液晶テレビやスマートフォンで現実に起きていることです。

    では、戦わずして利益をどう得るのか? それは、新天地に旅だって独占を謳歌すればよい。
    ええ!! 独占って悪いことじゃないの?
    はい、世間では悪いことです。ですから、あらゆる嘘を駆使して独占企業は自分を守るために自分は独占企業でないよう数字や統計を駆使するかを紹介しています。この本ではGoogleが標的としていろいろ分析しています。

    カルトと常識の線引きはどこで決まるのでしょう。カルとの中で一般人が受け入れたものが、常識となり否定されたものがカルトのままとなる。
    これには、ちょっと背筋がゾクッとなりました。確かに天動説や地球は球体でなく大きい皿のようなもの。これが常識である時代が確かにありました。
    さてさて、今我々が常識だと思ってるものが、果たして未来でも常識であると誰が保証できるのでしょうか。

    本当に面白い読み物でした。我々が未来へ成長するためには、時代の流れを感じる必要があり、大量生産大量消費の時代から新しい新天地へ旅立つために、我々は進歩しなければなりません。
    今、日本を初め少子化が問題とされてますが、今後のエネルギーや資源のことを考えると少子化による人口減少はむしろ問題解決の糸口になるのではないでしょうか?
    少子化だ!大変だ。人口が減る移民受け入れようは水平的考え、あるいみ問題の先送りに過ぎません。
    この時、垂直的思考で動いたものが時代のパイオニアになれるのでしょう。
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    投稿日:2015.05.05

  • 正しく行なえば、「1999年のグーグルになることができる」

    どの会社もまずははじめが一番肝心。
    誰と組み、誰を雇うかなど、正しく創業すること。
    社内の揉め事を回避するのに最適なのは、社員が受け持つ役割を明確化すること。

    社内の競争だけでなく、社外の競争も厳禁
    大きな市場で壮絶な競争の末わずかな利益を追い求めるより、小さくニッチな市場で独占的利益を得ること。
    ただし、自分の市場を極端に狭く限定するのは禁物で、周辺市場への拡大は常に念頭に置かねばならない。
    破壊ではなく創造を、競争ではなくパイの拡大を。
    不毛な競争から抜け出すためには、他社のできないことをやり、二番手よりも少なくとも10倍は優れていなければならない。

    将来のリスクやチャンスを分散させることに意味はないし、成功が単なる運だと諦めている人はそもそも本書を手に取ることもしないだろう。
    圧倒的なリターンは、”正規分布"ではなく”べき乗則"を知らねば決して得られない。

    ともかく、いちばんはじめの創業時に正しく行なうこと、そして特定のニッチを支配すること、次に周辺市場に拡大していくこと。
    そうすれば、「報酬や福利厚生では2014年のグーグルに勝つことはできないけれど、使命とチームについての正しい答えがあれば、1999年のグーグルになることができる」。
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    投稿日:2016.06.05

  • 起業に向けて読むべき本。

    起業に対する心構えを書いた本。

    特にシリコンバレーに代表されるアメリカのベンチャー企業の興亡が書かれていて、起業をする際大いに参考になる本だ。

    将来起業をする予定のある人、またはそういうベンチャー企業に投資をしたい人などは読むべき一冊になっている。ただそのまま日本で通用するのかは少し疑問が残る。続きを読む

    投稿日:2016.10.04

  • 最近はトランプ推しで有名なティール氏

    ペイパル創業のOBはその後多くのベンチャーで活躍しているとのことで、やはり何かが違うのだろうか。書かれていることはもっともだが、できることとできないことがあるよなあ、とは思ってしまう。残念ながらやや別世界の感。

    ・ほとんどの人はグローバリゼーションが世界の未来を左右すると思っているけれど、実はテクノロジーの方がはるかに重要だ。

    ・金融化された世界には批判的。(デフレ批判とも読めるな)
     あいまいな世界では選択肢が無限に広がっていることが好ましい-お金を使ってできることよりも、お金自体にはるかに大きな価値があるとされる。お金が目的達成の手段となり、目的でなくなるのは、具体的な未来においてだけだ。

    ・スタートアップの初期の社員にはできるだけ似通った人間を集めるべきだと言う。
     (ペイパルは変わり者のgeekぞろいであった)

    ・役割をはっきりさせることが最善の人事管理であったと。争いを減らすことに効果。まあ、これはアメリカのベンチャーゆえというところかも。

    ・販売へのコストのかけ方は商品価格に比例する。顧客生涯価値と顧客獲得コストの比較。個人セールスと従来型広告宣伝との間にはデッドゾーンがある。

    ・パランティア。NSAとかの情報分析を助けるベンチャー。ソフトウェアと、訓練を受けた分析官の組み合わせ。
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    投稿日:2016.10.09

  • 読んで良かった

    ビジネスの秘訣をわかりやすく書いてくれています。
    どちらかと言うと経営者向けの本なのかもですが
    雇用者が読んでも大いに得るものがあると思います。

    投稿日:2015.07.24

ブクログレビュー

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  • 山川欣伸

    山川欣伸

    このレビューはネタバレを含みます

    ピーター・ティールがスタンフォード大学で行った講義を基に構成された本書は、革新的な思考法と起業家精神についての洞察に満ちた一冊です。彼の主張は、単なる技術的進歩ではなく、ゼロから全く新しい価値を生み出すことが真のイノベーションであるというものです。

    本書は、ペイパルの創設者であり、テスラ・モーターズやスペースXなどの企業を支援する投資家でもあるティールの経験に基づいています。彼は、成功した企業は単に既存の市場に参入するのではなく、新たな市場を創造し、そこで独占的な地位を築くことが重要だと説いています。これは、競争よりも独占が好ましいという、従来のビジネス理論に対する挑戦的な視点です。

    ティールはまた、スタートアップが直面する困難や、成功への道のりで重要な要素についても語っています。彼のアプローチは、失敗を恐れずに大胆な賭けをすることの重要性を強調し、既成概念にとらわれず、自らの道を切り開く勇気を持つよう促しています。

    この書籍は、イノベーションとは何か、そしてそれをどのようにして達成するかについてのティールの独自の視点を提供しており、起業家だけでなく、新しい価値を生み出したいと考えるすべての人にとって価値ある読み物です。彼の教えは、読む者に対して、単に既存のものを改善するのではなく、全く新しいものを創造することの重要性を教えてくれます。

    私は、この書籍が提供する知識と、それを実生活に応用する可能性によって豊かになりました。本書の教えは、今後、行動するための推進力となるでしょう。

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    投稿日:2024.04.11

  • Kohei Fujiwara

    Kohei Fujiwara

    このレビューはネタバレを含みます

    【要約】
    著者の課題
    人類には奇跡を起こすテクノロジーを生み出せる力がある。テクノロジーはゼロを1にすることができる。今は過去の成果をコピーしてばかりで、水平にしか進歩しない。ビジネスに二度と同じ瞬間はない。

    解決方法
    ゼロから1を生み出す企業をどう立ち上げるかを教えるためにスタンフォードで教えている内容を本にまとめてより多くの人に知ってもらおうと思った。スタンフォードやシリコンバレーだけに独占させていいわけがない。

    内容
    ドットコムバブルの教訓によって、スタートアップには次のような戒律が生まれた。「少しずつ進める」「無駄なくリーンに」「ライバルの改良をする」「プロダクト重視」といったものだ。しかし、この逆を張るほうが遥かに進歩する。

    成功している企業は、競争ではなく独占している。Googleが検索市場で戦っているとすればYahoo!やBingと競争していることになる。しかしGoogleは独占していないと嘘をついているだけ。アルゴリズムで圧倒している。

    独占すればいいので、先行者(ファースト・ムーバー・アドバンテージ)にならずともで、終盤で勝てばいい(ラスト・ムーバー・アドバンテージ)。チェスで勝つために終盤を学ぶように。

    隠された真実を探すべきだ。「賛成する人がほとんどいない大切な真実は?」という問いに多くの人に答えられない。真実とは「重要だけど知られていない、難しいが実行可能な何か」。多くの人は探求心を失っているので発見しにくくなっている。

    もし、真実を見つけることができたらどうするか。
    ティールの法則と呼ばれており、実際にティールが投資する基準にもなっている。誰と始めるかが大事、フルタイムで働く、CEOの給与は15万ドル以下…。スタートアップのメンバーは同じパーカーをいるが、それぞれが別のミッションを担い責任を持つ。しかし目指すものは同じであり、これはマイルドなカルトだ。

    【まとめ】
    ティールは競争よりも独占を良しとしており、小さな市場を独占することから始める事が正しいと考えている。
    競い合う人たちの間には違いがあまりないということです。ライバルを気にすると、本質を見失う。
    ファーストムーバーアドバンテージという言葉があり、私たちは市場に初期に参入することで利用者を誰よりも早く囲い込むことが大事と考えるが、後から容易に模倣されるようではいけない。
    終盤を制するために何を考えるべきかが重要。
    本書の中では、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実は何か」という問いが繰り返し出てくる。
    その問いの答えを抽象的に表現すると、「重要だけど知られていない、難しいが実行可能な何か」です。それは定説(簡単)と解けない謎(不可能)の中間にあるもの。

    ①隠された真実を見つける
    これは競争の延長線上では見つけられないもので、今まで価値があることに気が付かなかったことに気づくということ。起業におけるいくつかのメソッドで、「競争」を意識しないことを考えるのであれば、格段に確度が高くなる気がします。

    ②隠された真実を形にする
    これだというものを見つけったら、将来キャッシュフローを生み出す構図を描くことが重要。さらに実現に向けては誰を同じバスに乗せるのか、マイルドなカルト創り出す。

    ③競争ではなく独占
    「ライバルはいない」と言えるようにする。

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    投稿日:2024.04.10

  • GDGD

    GDGD

    競走をするな。
    独占を狙え。

    コピーをするな、新しいもの作れ。

    新鮮さと違和感をもって、新たに世界をみる。

    投稿日:2024.04.06

  • めなこ

    めなこ

    新規事業開発部門のマネージャーになるにあたり、参考に読んだ。
    自分自身が育児中の身であること、他のメンバーも企業内で働く身なのでスタートアップとはマインドやスタンスが異なることから、仕事に全精力をかけろというワーカホリックな点はアグリーできない。
    でも、世界を新鮮な目で見て新たな問いとその解決策を探す視点や、成功する起業にするために答えるべき7つの質問など参考にしていきたいと思う。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.27

  • かりん

    かりん

    paypal創業者ピーター・ディールの本。イーロンマスクを含む創業チームの6人はpaypalマフィアと呼ばれ、後にそれぞれがYouTube、テスラ、リンクトインなど世界を変えるビジネスを立ち上げる。

    ・スタートアップとは、君が世界を変えられると君自身が説得できた人たちの集まり

    ・完全競争下では長期的に利益を出す企業は存在しない。新規参入企業がいると供給が増え価格が下がるから。

    ,永続的な価値を創造するには差別化のないコモディティ・ビジネスを行ってはならない。

    ・このビジネスは10年後も存続しているか?

    ・ネットワーク効果=利用者の数が増えるとより利便性が高まる。LINE、PayPayなど

    、スタートアップが狙うべき理想の市場は、少数の特定ユーザーが集中していながらライバルがいない市場。まず特定のニッチを支配し、次に周辺市場に拡大する。

    ・20人目の社員が入社したいと思う理由は何だろう?会社の使命、チームが唯一無二であること。
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    投稿日:2024.03.26

  • Wahiro

    Wahiro

    帯:Make it new 起業家のバイブル

    要約:
    本書は成功の方程式ではなく、考える訓練を導いてくれる。大切な真実は未来を今創っていること。
    大切なことは特定のニッチを支配して、次の周辺市場を拡大すること。できる限り競争せず、独占すること。

    感想:
    生き方としてもビジネスの考え方としても自分のバイブルになる本である。人生はポートフォリオではないという言葉も印象的だ。
    隠れた真実とは必要なのになされていないこと。テスラが環境保全を意識したい富裕層向けにかっこいいEVを販売したように。
    ティールの法則
    誰と始めるかが最も重要な決断である。
    採用は会社の使命に興奮できる人を採用する。
    誰も解決しようと思わない問題こそ、一番取り組む価値がある。ニッチを見つけて小さな市場を支配しなければ、価値ある企業にはなれない。
    大切な要素
    1.エンジニアリング
    2.タイミング
    3.独占
    4.人材
    5.販売
    6.永続性
    7.隠れた真実

    自分の頭で考えること、インサイトを見極め、ニーズの高い課題に提供するサービスを作ること。
    短期的ではなく、長期的に見てより良い未来を創ること。
    常に心に刻み込む!
    続きを読む

    投稿日:2024.03.19

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