【感想】陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女

野村美月, 竹岡美穂 / ファミ通文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
4
3
2
1
0
  • 恋と呼ぶには儚い、一夏の思い出を描いた良作です。

    恋と呼ぶには儚い、一夏の思い出を描いたのが本作です。家庭的な温もりに恵まれない二人が出会い、しかしはっきりと言葉を交わすでもなく、お互いのことが気になって入るけれど一歩踏み出すことができない。いや、それでもかまわないとあきらめていた部分もあったが、いよいよ別れが現実のものとなった時…?

    お互いの気遣いや想像がほんのりと暖かく、切ない余韻を味わうことができました。ただ、あとがきでも触れられているのですが、内容はかなり地味です(笑)。僕も、野村さんの「文学少女」シリーズを読んでいなかったら手に取らなかったでしょう。それだけに、ヒットを飛ばした後の作家さんの 持つ経験やゆとりといったものがプラスされているように感じます。

    読んでよかったなと思える良作ではありますが、ライトノベルって感じではないです。あえて言うなら、野村さんのファン向け短編というのが一番近いかもしれません。
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    投稿日:2016.12.25

ブクログレビュー

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  • のこ

    のこ

    1巻読み切り。
    純愛ライトノベルの名品。
    二人の世界がとても辛くて、でも、互いに相手の幸せを祈っている描写が好きです。お薦めライトノベル。

    投稿日:2018.01.29

  • 夢色

    夢色

    【あらすじ】
    両親の離婚話に立ちすくむ千星。明るく笑ってみせることで、壊れそうな家の空気を辛うじて保ってきた。けれど本当は、三人で一緒にいたいと、素直に泣ければよかったのだろうか…。新聞配達のアルバイトを続ける陸。母は家を空けたまま帰らず、生活のために必要だった。ただ絵を描いていたい、そんな願いも叶わない。それを恨んでも憎んでもいないけれど、今まで自分は笑ったことなどあったのだろうか―。そんな二人が、出会う。切なく繊細な一夏の物語。

    【感想】
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    投稿日:2018.01.09

  • 十月キョウ

    十月キョウ

    平凡な話である。地味な話、と言い換えてもよい。
    だが、私は、この物語を心底愛している。
    この話は、砂浜を歩きながら、可愛らしい貝がらや、水にぬれてきらきら光る海ガラスを拾い集めているような話だと思う。もしくは、春の田舎道を歩きながら、そこここに割く小花を詰んでいくような話だ。
    ささいな、小さな、気づこうとしなければ見逃してしまうような美しいものを、ひとつずつ見つけていくような、そんな話だ。
    壮大な物語ではないけれど、優しい気持ちになれる。そういう物語である。
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    投稿日:2016.04.11

  • あかね

    あかね

    文学少女シリーズをきっかけに野村さんを知りました。
    野村さんの描く世界や言葉はいつも優しくて淡くて、竹岡美穂さんの絵と融合して穏やかな気持ちになります。
    避暑地の別荘にいるお金持ちのお嬢様と、貧乏な新聞配達の少年が出会うというシンプルなストーリーの中に2人の家族関係や美しい自然描写などが丁寧に描かれていてあっという間に読めました。
    もう少し先まで続きがよみたかったというのが正直な感想ですが(笑)
    続きを読む

    投稿日:2015.11.28

  • もゆ

    もゆ

    別荘のお嬢様と新聞配達の少年のひと夏の淡い恋。お互いに想いあっているのにね…もどかしい。確かに少女漫画っぽい感じ。「一番素敵なメモリー」で、作品のタイトル…区切りをつけてしまってるのかな。

    投稿日:2015.03.22

  • 瑠璃花@紫苑

    瑠璃花@紫苑

    大きなことが起きるお話ではありません。
    一夏、ただ毎朝出逢うだけの少女と少年の、淡い恋のお話。

    読んでいて悲しくて、胸が痛くて。何度も本を置きました。

    終りが来ると分かっていて、
    どうしてそれでも惹かれていくのでしょう。

    絵を描くことで自分を支えている少年、陸。
    彼は最後に、初恋の少女を画布に写し、賞を取ります。

    彼はきっと孤独の中で自立して、名のある画家になるかも
    しれません。

    その受賞と、彼の想いを受け取る千星も、今のまま
    ひとりで日常を丁寧に生きて、多分進学し、いずれ
    静かな家庭を持つでしょう。

    いつか届けば。

    そう願いながら、きっと彼女たちは
    名実ともに大人になっても、思い出の夏にしかなりえない。

    けれど…。

    なんてきれいな夏。
    清冽で、淡くて。おとぎばなしはいつもかなしいと
    決まっているなら、これもまた。

    荒れた言葉は出てこずに、食事や小物や、風景や
    全てが綺麗です。

    ただ、世界を握りつぶす大人たちの存在だけが
    どうにもならない闇の色を しています。

    文学少女やヒカルより、こちらのお話が野村さんの本質
    だと思います。どうかお手にとってみてください。

    せつなく。悲しいお話ですが。
    ラムネの瓶を陽に透かすような、薄青のおはなしです。


    私はどうして あなたに出会ったのかしら。
    いつかお別れの時が来るなら
    何も知らずにいたら良かったかしら。

    だけれど、あなたと見たあの空は ひかりは。
    いまも目を閉じれば。

    揺れる白いスカートの裾
    空に舞った麦わら帽子

    あなたのそばには どんなひとがいるのかしら。

    あなたの手はもう触れないのに
    私は

    あなたをいまも。
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    投稿日:2015.03.08

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