【感想】折れた竜骨 下

米澤穂信 / 東京創元社
(156件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
48
68
21
1
2
  • ファンタジー要素のあるミステリー。謎解きは論理的。

    面白かったです。剣と魔法のファンタジー世界で起きた、殺人というミステリ。容疑者はもう一人いるよね…と、早い段階から気付いていたのですが。走狗(ミニオン)として操られていたのが予想通りの人物だとラストが辛いだろうなぁと、思っていたら案の定だよ。なんと哀しい。かの者の脱出方法も予想通りでしたが…もっと細切れを想像していた。呪われたデーン人の襲来シーンは迫力があって良かったです。今後もソロンが狙われるなら、標的はアダムではなくアミーナだろうな。暗愚アダムなら放置しておいても自然に衰退しそうだ。続きを読む

    投稿日:2015.07.28

  • 期待どおり

    上巻を読んでほぼ1年。ようやく入手、読了。
    一気に読んでしまい、あまり伏線とか気にしなかった。
    ストーリーだけで充分面白い。
    上下巻再読して、謎解きを楽しみたい。

    投稿日:2016.03.21

ブクログレビュー

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  • isutabi

    isutabi

    [1]剣と魔法のある世界でのミステリ、おもろかったです。誰が暗殺騎士の「走狗/ミニオン」なのか。消えたトーステンとその方法は(謎というほどではない)、彼の主とは。
    [2]呪われしデーン人(ほとんどゾンビ)来襲。島は阿鼻叫喚の戦場と化し、新領主アダムはクソの役にも立たずアミーナ奮闘す。
    [3]気に入ったのは《不可解にも扉が閉ざされている場合、それは『何らかの方法で』閉じられたのだと解すべき》(p.188)というくだり。要するに密室を作る方法は無限にあるしそこに密室的なものがあるなら何らかの方法でなされたと判断すればよく、わざわざどうやって密室が作られたか解明しようと余計な時間をかける必要はないということでしょう。この場合ファルクはあえてそう言ったんやけどこれはまあ、真理でもありそう。ミステリのセオリーを破壊している。

    ■ソロン島についての簡単な単語集

    【アダム・エイルウィン】ローレント・エイルウィンの息子。アミーナの兄。ソロン島に住んでいる。読んでるとどうもデキのいい領主にはなれなさそうな気がする。
    【アミーナ・エイルウィン】主人公の「わたし」。ソロン諸島領主ローレント・エイルウィンの娘。十六歳。英雄の娘らしくなかなか苛烈な性格のようで悲しみより戦うことを選んだ。新しいことがわかるたびにそいつが犯人かと思ってしまうタイプ。
    【暗殺騎士】ファルクが追ってきたという敵。元来は魔術を使うサラセン人暗殺者に対抗するため医療系の「トリポリの聖アンブロジウス病院兄弟団」は戦闘力を持つことになったがまだ足りず同じく魔術を研究し使うようになったが一部が堕落しその技を政敵暗殺などに使うようになった。兄弟団はこれを駆逐することに決め長年闘い続けている。
    【イーヴォルド・サムス】吟遊詩人。ローレント旧知の吟遊詩人、ウルフリック・サムスの息子。ローレントが探しているたいうバラッドを受け継いでいる。
    【イェルサレム】聖地。異教徒に激しく責められている最中。
    【イテル・アプ・トマス】ウェールズの傭兵。みすぼらしく見えるがどこか異様な雰囲気を持つ。弟のヒム・アプス・トマスを連れてきている。
    【エイブ・ハーバード】エイルウィン家が預かっている唯一の従騎士。十八歳。
    【エドウィー・シュアー】長くローレント・エイルウィンの従者を勤めた。死んだ彼の死体に異変が起こった。
    【エドリック】ファルクが追っているという暗殺騎士。髪と眼の色はファルクと同じ。ということはたぶん…
    【エルウィン家】ソロン諸島領主のロスエア。その娘で主人公のアミーナ。家令のロスエア。アミーナの侍女ヤスミナ。
    【エルウィン家の屋敷】島では珍しい石造建築。地元産の石は建築物向きではない脆い性質のようなので他所から運んできたのだろう。複雑な構造になっていて迷いやすい。
    【コンラート・ノイドファー】ブレーメンの騎士。三十前後。精悍で非の打ち所のない騎士だが曲者めいて見える。七名の配下を連れてきている。
    【サイモン・ドット】島では最も上等な宿屋を経営している。酒と料理も出すので地元住民も来る。
    【強いられた信条】暗殺騎士が使う魔術。他者を操る術。
    【小ソロン島】ソロン諸島領主の館がある。ソロン島との距離は百五十ヤード(百三十七メートルほど)だが浅瀬が多くマードック以外では往き来できない。夜には潮が引いて浅瀬が増え潮流が速くなりさらに危険になるゆえ、客人はこの島から晩課の鐘(午後三時くらい)までに島を出ねばならない。吹雪の山荘系の密室ができますな。
    【ジョン殿下】リチャードの弟。野心を抱いている。
    【白い瘴気】暗殺騎士が使う魔術。顕著な特徴があり使われたことがすぐわかってしまうが即効性がある。
    【スワイド・ナズィール】サラセン人の傭兵。小柄で子どもにしか見えない。魔術師(錬金術師)。巨大な青銅の人形を操る。
    【ソロン諸島】「ソロン島」と「小ソロン島」からなる。
    【デーン人】デーン人そのものは有能な航海者であり商人。デンマーク人のようだ。ローレントが警戒している敵は「呪われたデーン人」のようだ。多くの人はただの昔話だと思っている。不老で眠らず食物もいらず切っても突いても血を流さず首を切り落とさない限り活動をやめない。トーステンもその一人。
    【トーステン・ターカイルソン】小ソロン島の塔に二十年間囚われ続けている呪われたデーン人。
    【ニコラ・バゴ】ファルクの従士。小柄。赤毛。フランス語しか使えない。
    【ハール・エンマ】女傭兵。東方の蛮族とされているマジャル人を名乗っていると自分で言ったので違うかもしれない。鮮やかな金髪。恐ろしい凄腕。
    【ハンス・メンデル】五十歳近い冒険好きの商人。丸々と太って優しげ。リューベックが本拠地。
    【ファルク・フィッツジョン】巡礼風の男。イェルサレムから来たと聞いていたが本人によるとトリポリ伯国から来た聖アンブロジウス病院兄弟団の騎士。三十前後に見える。《警戒するのは悪くない。次は観察、そして論理だ。》上巻p.29
    【ペトラス】騎士。
    【ポール修道士】ソロン修道院の副院長。
    【ボネス】マーティン・ボネス。ソロン市長。年季の入った仕立職人でもある。
    【マードック】ソロン島と小ソロン島を往き来する唯一の交通手段である小舟の船頭。とても無口。
    【マシュー・ヒクソン】エイルウィン家の唯一の守兵。
    【密室】不可解にも扉が閉ざされている場合、それは『何らかの方法で』閉じられたのだと解すべき、と。(p.188)
    【ヤスミナ・ボーモント】アミーナの侍女。失敗を気にしないおおらかな娘。表情も豊かで人を幸せな気分にさせる。
    【リチャード】現在のイングランド国王。現在十字軍を率いて遠征に出ている。
    【リッターの暗い光】魔術の痕跡を浮かび上がらせるランタン。
    【レベック】ヴァイオリンのような楽器か。イーヴォルドが抱えている。
    【ローレント・エイルウィン】ソロン諸島の領主。アミーナの父。不屈の戦士といった印象。自分のためよりも街のために金を使いたいタイプ。《父の統治は間違っていなかった。領民は悲しんでくれている。》p.208
    【ロスエア・フラー】エイルウィン家の家令。
    【ロバート・エイルウィン】エイルウィン家の初代。アミーナの曾祖父。デーン人を追い出しソロン島をイングランドのものとした。
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    投稿日:2024.04.24

  • アマダレ堂

    アマダレ堂

    中世ヨーロッパを舞台にしたミステリ×ファンタジー。
    読後の感想は、「お腹一杯」。
    とてもしっかり物語に没入できたのは、なんといっても主人公アミーナを始めとする登場人物の造形がしっかりしていたから。魅力的でほころびが無い人々が紡ぐ物語は、彼らの運命に共感して目頭が熱くなってしまう。
    特に、ニコラとアミーナの絆に感動する。
    それと個人的に「戦闘シーン」が好き。もっと読みたいと思った。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.01

  • 森鴎内

    森鴎内

    ファンタジーミステリーの傑作だと思いました。最高です。
    上を読んでいた段階でファルクとエドリックを兄弟という設定にする必要はあるのかと疑問に思っていましたがそれも上手いこと利用した物語だったと感じました。
    儀式のシーンは探偵が犯人を指さす状態になり、ファルクとニコラの2人の推理は完璧なものでした。
    デューン人が襲来した際の迫力もしっかりあり、ファンタジー、ミステリーの両方辛みてもこの小説はとても良かったです。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.12

  • ichio9379

    ichio9379

    中世(十字軍の時代)の欧州。背景が分かりづらいが、登場人文はみんな強くて義理堅い。最後はこれでよいのか。。。

    投稿日:2024.02.17

  • planets13

    planets13

    ミステリーとファンタジーが絡み合って一気に盛り上がるおかげで、ページを繰る手が止まらない。意志と矜持の気高さが光るとともに、物語としての奥行きもとても広いく印象に残る。

    投稿日:2023.12.24

  • Rita

    Rita

    魔術が存在する世界で殺人事件が起き、事件の謎と背景を追う話。ファンタジーとミステリーが見事に融合してて、魔術で!とかじゃなくて論理的に犯人を探していくのが凄い。犯人も気になるし敵との戦いも気になるし読み進めるのがめちゃくちゃ楽しい。そして読了後過去と未来を想い浸りたくなる。続きを読む

    投稿日:2023.07.09

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