【感想】星がひとつほしいとの祈り

原田マハ / 実業之日本社文庫
(278件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
61
113
74
9
0
  • ハンカチが必要です

    原田マハは変幻自在な作家だ。まるでノンフィクションのようなタッチの物語を書くかと思えば、叙情的な人の気持ちのゆらぎに任せた今回のような作品もある。本書は女性が主人公の、世代が違う7つの物語として収められている。20代のデザイナーもいれば(椿姫)、30歳の有名女優の娘が登場するストーリーもある(夜明けまで)。椿姫以外はすべて旅先が舞台になっており、これらが昇華されて『旅屋おかえり』になったと感じる。
    どの作品も甲乙付けがたい仕上がりになっているが、ちょうど4つ目に登場する「寄り道」に触れておこう。主人公はアラフォーの二人、そして独身。ある時から婚活よりも二人で旅する、そんな時間が楽しみの一つになっていた。今回は白神山地を訪れるツアーに参加した。途中、同じツアーに参加するバスに乗り込んで来たのはトレッキングには不釣り合いな黒いスーツにヒールの女性。見た目からして嫌な印象を持つ。しかし、そんな彼女も白神山地をのぞむ風景を見た後は妙に素直になり、そして白神山地を訪れた理由を話しだす。
    心の扉を開くためには少しだけ非日常で、普段とは少し違ったやさしさが必要なのかも知れない。だから、旅先での景色や友達や恋人とは違う人との会話がそのきっかけになるのだろう。そして、読んでいるうちに登場人物の心のゆらぎに合わせて読み手の心も揺れ始めることにきっと気付かされるでしょう。
    まずはハンカチを準備してから読み始めてくださいね。
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    投稿日:2014.06.11

  • 短編としてピカイチ

    いま最も好きな作家の一人ですが,短編も良いなぁと思える作品です。
    バラエティに富んだ背景のかき分けからこの作家の力量の高さが感じられるでしょう。
    これできっかけを作ってもらって
    「まぐだら屋のマリア」,「楽園のカンヴァス」,「さいはての彼女」などのぐっとくる作品も
    読んで欲しいと思います。
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    投稿日:2014.11.09

  • 頑張る女性を癒してくれる短編集

    すべて女性を主人公とした短編集。
    『斉唱』は2015年の東京都と千葉県の公立高校入試問題にも出題された文章。合唱部の話かと思いきや全然違った。
    どの作品にも共通しているのは、様々な境遇の中で頑張って生きる女性たち。
    何かをきっかけに踏ん切りをつけたり、背中を押されたり、そのきっかけが川だったり橋だったり、あるいはトキや白神山地だったりと情景描写とうまく重ねていくところがうまい。
    旅先で出てくるいろんな方言も温かみがあっていいな。
    最後にはジーンと余韻が残るいい話ばかりだった。
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    投稿日:2016.06.29

  • 星がひとつ欲しいとの祈り

    短編ななつから成る作品です。
    不覚にも幾つも涙してしまいました。

    思いがけず出来た時間に、買い貯めておいたこの一冊を読み始めて良かったと思っています。
    作品紹介が良かったこと、自分の感性が間違って無かった事に安堵しています。

    主人公は女性でしたが、同感出来たのは年齢層が近かったからでしょうか。
    読み直しはどの作品からにしようか考えてます
    続きを読む

    投稿日:2016.07.05

ブクログレビュー

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  • よっく

    よっく

    また好きな文章を書く作家さんを見つけてしまった。サラサラと流れるような静かな文で、美しくて少し悲しみの含まれた雰囲気。読んだ後に、すっと深呼吸したくなる。

    投稿日:2024.04.22

  • コチリーヌ

    コチリーヌ

    原田マハさんの作品はいつも何となく清潔でジブリみたいでそんな綺麗に上手くいくわけないって言われそうな話なのに、どこかリアルで自分のことのように感じられるからすてきだなと思う。
    今回は女性にフォーカスされてたから余計にそう思ったのかもしれないけど、それでも原田マハさんの言葉の力なんだろうな続きを読む

    投稿日:2024.03.29

  • 五月雨

    五月雨

    女性が主人公の短編集。特に表題作の『星がひとつほしいとの祈り』と、『長良川』が好きです。どの話も共通して静かなイメージを受けますが、あたたかさが感じられ、時間をおいて再読したい1冊となりました。

    がひとつほしいとの祈り、のヨネさん
    長良川の旦那さん
    他、この本に出てくる登場人物たち
    思いやりの形は人それぞれ。でも、それが素敵です。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.28

  • まよ

    まよ


    どの話も素敵だった。1番を選ぶのが難しい。それくらい全部響いた。それぞれが違うストーリー。
    原田マハさんはすごいなあ。

    主人公が女性な分、自分と置き換えて読んだ。どれも心にぐさり、ぐさり。悲しくて、暖かくて、しんみりして。また読もう。続きを読む

    投稿日:2024.03.27

  • り

    20代から50代の女性を主人公にした7つの短編集。

    短編と思えないほど、どのストーリーも濃厚で、ほろりとさせられること多数だった。しんと静かな、けれど爽やかな余韻がある作品たち。

    「寄り道」は「ハグとナガラ」にも収録されている短編かな。
    どれも良かったけど、表題作「星がひとつほしいとの祈り」と「長良川」が特に好きだった。人を思う心に感動するしほっとする。道後温泉や長良川にも行きたくなる。

    「沈下橋」に出てきた印象的な言葉「この橋になればいい。(中略)嵐の時には水に沈み、じっと耐える橋。空が晴れ渡れば、再び姿を現す沈下橋に。」
    続きを読む

    投稿日:2024.03.14

  • らん

    らん

    原田マハさんの本はいつもいつも心にあったかいものをくれる。
    心地いい感動をくれる。
    すーっと読めました(*^^*)

    投稿日:2024.03.06

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