【感想】使える 弁証法―ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える

田坂広志 / 東洋経済新報社
(47件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
14
12
10
7
1
  • 螺旋的発展など、世の中の事象を整理する

    「弁証法」って何なのか全く知らなかったけれど、マクロな視点で世の中を理解するための思考ツールと理解しました。簡潔に書かれていて、あっという間に読めてしまう、良書でした。

    〜本文引用〜
    従って、この「螺旋的発展」の法則は、次のように平易に表現できます。

    世の中のすべての物事の進歩や発展は、
    右肩上がりに一直線に進歩・発展していくのではない。
    あたかも螺旋階段を登るようにして進歩・発展していく。

    --------------------

    「物事は、否定の否定により発展する」

    すなわち、最初、ある物事が「否定」される形で変化が始まりますが、その変化の極点において、その「否定」そのものが「否定」され、新たな発展が生じるのです。

    --------------------

    「量」が増大し、一定の水準を超えると、
    「質」の変化が起こる。
    続きを読む

    投稿日:2014.04.12

ブクログレビュー

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  • やすお

    やすお

    哲学のことはあまり詳しくない私であるが、ちょくちょく「アウフヘーベン」など哲学用語を目にすることがあり、少し調べてみた。副題の「ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える」に惹かれたのもある。本書の特徴は弁証法について基礎的なことを具体例を挙げて説明していることだ。正(テーゼ)と反(アンチテーゼ)があり止揚(アウフヘーベン)して合(ジンテーゼ)に至る思考方法が分かる。そして弁証法を活用した思考法とその先にある未来を見る方法を解説している。世の中の進化を螺旋階段に例えているのも分かりやすい。復活や復古と進化の階段を上がるのを繰り返すことが弁証法の肝なのではないかと理解した。2005年の著書なので若干例が古い感じがするが、そこは弁証法的思考でどのように世の中が進化してきたのかを検証する意味で腑に落ちる要因となる。続きを読む

    投稿日:2023.06.05

  • Kazuki.T

    Kazuki.T

    弁証法を理解するのに、大局観を養うのにとてつもない良書だった。
    弁証法の根源的な考え方やそこに紐づく法則
    ・事実の螺旋的発展
    ・否定の否定による発展
    ・量から質への転化による発展
    ・対立物の相互浸透による発展
    ・矛盾の止揚による発展

    事例をベースに解説されておりとてもわかりやすかった。
    また、全ての物事には矛盾が含まれその矛盾を解消するのではなく弁証法的に止揚した時に進化が生まれるというのは面白かった。

    例えば、「出社vsリモートワーク」、「プロ野球におけるベテラン起用vs若手起用」みたい事象も不満を解消するのではなく止揚することが大事なのだと理解した。
    続きを読む

    投稿日:2023.04.30

  • masamzo

    masamzo

    これは凄い本に出会った。ヘーゲルのアウフヘーベンを実際のビジネス、社会の予言に応用する。
    凱旋的発展。モノの味方が変わる。

    投稿日:2023.03.11

  • ホジネ

    ホジネ

    既存の課題を見つけて改善する事のは当たり前だし、それを弁証法的と呼んでもいいけどそれで未来が見えるのは過剰では?
    螺旋階段などの用語に置き換えて、製品のライフサイクルの説明を本に出来る厚さに引き延ばしただけのペラい本に感じた。弁証法自体の知識も少なく、深読みも出来ていないのかイライラが募りました。続きを読む

    投稿日:2021.08.10

  • a0019447

    a0019447

    このレビューはネタバレを含みます

    田坂氏の本。
    哲学的思索により森全体をみる、。
    弁証法により、洞察力と予見力がみにつくとのこと。
    なかなか興味深い。さすがの一冊。

    行間が広めで、考えながら読みやすくて良い。

    メモ
    ・螺旋的発展の法則
     物事は螺旋的に発展するというもの。
     進歩発展と復活復古が同時に起こっているというもの
    ・何が一弾登ったのか、何が進歩発展したのか
     深く考える必要がある。
    ・未来進化と原点回帰は同時に起こる
     進化するとき、便利になった懐かしいものが
     復活してくる。
     または、懐かしいものが残りつつ、便利になっていく
    ・進化の本質は多様化。古いものは淘汰されることはあっても、必ずしもそうとは限らない。その結果世界はますます豊かな世界になっていく
    ・我々の人生の長さに比べ、
     世の中の変化が早くなった。
     そのため、局所的変化のみならず、
    螺旋的発展を目撃するように。
    ・ビジョンや戦略の陳腐化
     書を捨てよ街に出よ
    ・弁証法の使い方
     →何が復活してくるかを読む
     →そのために何が消えて行ったのかを見る
      合理的効率化の中で消えたものはなにか
     →なぜ消えていったのかを考える。
     →どうすれば復活できるのかを考える
    ・新しいものを古い眼鏡で見ると過ちになる。
     新しいものは新しい眼鏡でみる必要あり
     →いかなる形で新たな価値が付加されるか
      復活とともに何が付加されているか
    ・ある指標の量が一定の水準を越えたかを判断する
     には、キーワードが忘れられたか。
     インターネットといった言葉が日常化し、当たり前のものになったか。それが一つの目安となる。
    ・否定の否定による発展
    ・量から質への転化による発展
    ・対立物の相互浸透による発展
     争っているもの同士は互いに似てくる
    ・弁証法においては、対立し、争うかにまえる二つのものがある意味で互いに相手を内包していき、結果として両者が統合されていく。
    ・根底に存在する法則は、矛盾の止揚による発展の法則。物事は矛盾の止揚により発展する。
    全てのものごとには内部に矛盾が含まれるが、矛盾こそが発展の原動力になる。矛盾を機械的に解消するのでなく、弁証法的に止揚したとき、物事は発展する。
    ・割り切らないこと。矛盾を抱えて進めることこそが矛盾のマネジメント。
    ・矛盾を機械的な割り切りによって解消してしまうと矛盾とともに生命力や原動力も消えてしまい進歩や発展が止まってしまう。
    ・止揚とは、対立するように見えるものに対して、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することで高い次元のものに昇華していくこと。
    ・矛盾のマネジメントとは振り子をふること。二つの局を極端にふってみる。経営者の行うべきことはバランスを取るために振り子を振り続けること。
    ・割切りとは魂の弱さ。矛盾と戦い続けること。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.05.16

  • hirocs

    hirocs

    ”---
    T:
    P:
    O:
    ---
    ・この弁証法を学ぶだけで(中略)「洞察力」と「予見力」(中略)「対話力」 ただ、対話をするだけで、自然に、思考が深まっていく。そして、物事の本質が見えてくる。そうした力が身につきます。(p.6-7)
    ・「弁証法とは、ドイツ観念論の哲学者、ゲオルク・ヘーゲルの思想。」
     「弁証法」は、極めて実践的な方法なのです。(p.15)
    ・弁証法において「最も役に立つ法則」
     「物事は、螺旋的に発展する」(p.20)
    ・いま「復活」しつつある、様々な「懐かしいもの」。
     それは、ただ「懐かしいもの」ではない。
     それは、「便利になった懐かしいもの」なのです。(p.49)
     #御用聞き、寺子屋、手紙美人、助け合い・・・
    ★「書を捨てよ、街に出よ」
     (中略)
     何が「懐かしい」のか。何が「便利になった」のか。
     #螺旋的発展を目撃したいなら、タウン・ウォッチングで「便利になった懐かしいもの」を探そう!
    ★弁証法をどう使うか (p.79-81)
      何が「復活」してくるかを、読む
     →「何が消えていったのか」を、見る
     →「なぜ消えていったのか」を、考える
     →どうすれば「復活」できるかを、考える
    ・復活が起こる理由(p.90)
     「合理化」や「効率化」が進むと、「重要度の高い機能」は十分に実現されていくため、これまで「重要度の低い機能」と考えられていた機能に重点が移っていき、それを実現する動きが生まれます。
    ・復活では、必ず「価値」が付け加わる (p.96)
     #コンビニエンス・ストアを例に。個店主義、地域主義の復活+工夫の智恵(=言葉で表せない)を共有する
    ・実は、ブロードバンド革命が変える最も大きなものは、そうしたデジタル・コンテンツの流通ではありません。
     では、何か。
     「人々の意識」です。(p.137)
     #NGNが変えるのもここ。・・・だとすれば?
    ・「止揚」とは、何か
     互いに矛盾し、対立するかに見える二つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへと昇華していくことです。(p.165)
    ・「弁証法」と「討論」「議論」とのちがい (p.178-179)
     「思考を深める方法」と呼ぶべきもの
     「正」「反」「合」による思考の深化です。
     すなわち、弁証法とは、「正」(テーゼ)「反」(アンチテーゼ)「合」(ジンテーゼ)というプロセスで思考を深めていく方法です。
    ★インターネット革命によって、
     「規律」「階層」「管理」にもとづく「機械的システム」から、
     「自由」「平等」「創発」にもとづく「生命的システム」へと、
     いま、資本主義が、経済が、社会が、進化していこうとしている。(p.190)
     #今後ますます、組織間ネットワーク、企業間ネットワークづくりの価値が高まる!”
    続きを読む

    投稿日:2019.08.15

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