【感想】トム・ソーヤーの冒険

トウェイン, 土屋京子 / 光文社古典新訳文庫
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
5
4
3
1
0
  • 大人も子供も読みたくなる完訳

    マーク・トウェインという名が「水深2尋 (約3.6m)」という意味で、著者が若い頃にミシシッピ河で水先案内人をしていて、この深さなら蒸気船がギリギリ航行できるという合図に使う言葉なのだというのは、たぶん子供の頃に読んだ「トム・ソーヤーの冒険」の解説で知ったと思うが、この本の巻末解説ではこのペンネームが、ここまでなら小説に書けるギリギリのところを書いていくのだという決意だったのではと解釈されています。小学生の頃にワクワクしながら読んだトム・ソーヤーとハックルベリーの大冒険ですが、改めて大人になった今の自分の視点で読んでみたいと思いました。
    そして大人が読むのにはこの新訳版はとてもいいです。この光文社古典新訳文庫シリーズの意図に従うなら軽く読みやすくほぐして訳すべきようなところも「マーク・トウェインの文章はゴシック建築の大聖堂のように重厚だ」という訳者土屋京子氏のこだわりで、作者の持って回ったような比喩的な表現などもそのままに原文の魅力を味わせてくれます。また、アメリカで初版のために描かれトウェイン自身が感心したという挿絵が使われているのも嬉しいですね。
    もちろん児童文学ですから、難しい漢字にはルビが振られ小学生でも読めるように配慮されています。トムのいたずらに胸をときめかせたかつての少年たちも、初めてトムやハックに出逢う新しい読者の子供たちも、訳者が真剣勝負で挑んだという完訳で「トム・ソーヤーの冒険」を味わってみませんか?
    私はこのまま同じ古典新訳文庫の「ハックルベリー・フィンの冒険」に進もうかな。
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    投稿日:2016.01.05

ブクログレビュー

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  • さやまる

    さやまる

    このレビューはネタバレを含みます

    一章ごとが短いのもあって読み進めやすい。ペンキ塗りの話はなんとなく知っていたが、ちゃんと読むのは大人になってからが初めて。

    大人としてよんでしまったせいもあり、ポリーおばさんもベッキーのお母さんも振り回されて気の毒、トムはコロコロと気が変わりすぎ、少年たちが宝物にしているガラクタはちっとも魅力的じゃない、インディアンへのナチュラルな蔑視…といったところばかりが気になってしまった。

    インディアン蔑視を含め当時のアメリカ白人の他人種に対する見方が伺える。解説を読むとトウェインは白人社会に向けた怒りを導入していることに意義があるのではとあり、作者の意図がどうなのかはともかくそれは本書の一つの価値かも。

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    投稿日:2023.06.24

  • nao

    nao

    フェンスの塗装?辺りは賢い悪ガキって感がして面白いと思ったけど、それ以降は知ったかぶりのただのガキって印象。あまり惹かれなかった。

    投稿日:2023.04.27

  • ひしこ

    ひしこ

    ディズニーランドが大好きなのでトムソーヤ島の世界観を学びたくて読書。少年の頃、誰もが夢見る秘密基地での自由な暮らしの物語。きっと小学生あたりでこの本を読んだ少年はどハマりすることだろう。秘密基地は大きな川のほとりにあるため、ディズニーランドではトムソーヤ島だけではなくアメリカ川の景色もトムソーヤの冒険なんだと知った。続きを読む

    投稿日:2022.06.15

  • chocochip150

    chocochip150

    小さい頃に読んでいなかったものの、大人になってから見ると子どもの頃の冒険の感じとかわくわく感が懐かしく眩しかった。トムももちろんだけど、何にも縛られずに自由に生きているハックもとても眩しい。
    読後に何かを得られたり考えさせられたりというよりは、子どもの追体験というかそんな感じ。
    あとはディズニーランドに行きたくなった。笑。
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    投稿日:2019.08.17

  • doraneko1986

    doraneko1986

    若干、トムのガキっぽさにイライラするけど、思い出してみれば、ああ、こんな時代が自分にもあったなぁと思い出して懐かしくなった。

    投稿日:2017.04.28

  • koba-book2011

    koba-book2011

    「トム・ソーヤ―の冒険」。マーク・トウェイン。光文社古典新訳文庫。

    読んだつもりで読んでなかった一冊。
    序盤、お話が暢気すぎて?やや乗りきれませんでしたが、トムとハックが殺人を目撃する辺りから面白くなりました。

    ただ、トムって何歳なんだろう?
    7歳~9歳くらいか? いや、9歳~10歳くらい?



    アメリカ合衆国の、ミズーリ州という田舎を舞台に、少年が大活躍をする物語。
    大活躍と言っても、幻摩と大戦したりリングに賭けたり新型モビルスーツに乗りこんだりする訳ではなくて。
    塀にペンキを塗ったり、女子とおしゃべりしたり、プチ家出して川で泳いだりするレベルです。

    本が出版されたのは1878年。本の中で、ちょっと昔の、今の大人が子どもだった頃、と言及しています。
    なので、トムが活躍しているのは恐らく1840~50年代くらいか。南北戦争の前。



    南北戦争というのは1861-1865、4年くらいアメリカが2つに分かれて戦いました。
    大まかは

    北部工業重視派=黒人は奴隷としてよりも、労働者及び消費者として必要

    vs.

    南部農業重視派=特に綿栽培。とにかく大勢の労働者が必要なので、安価な黒人奴隷が奴隷として居てくれないと困る

    という対立、戦争でした。北部が勝ちます。奴隷解放。リンカーン。



    トムが活躍するミズーリ州セントピーターズという場所は、恐らく南北戦争で、「ちょうど中間」に居たゾーンですね。
    どっちつかずだったはずです。
    なので、トム・ソーヤ―の世界観は、そのつもりでみると「大プランテーション農業地域」でも無さそう。
    でも、都会とはとても言えない、小さな村というか街。

    #

    トムは弟のシッドとふたりで、「ポリーおばさん」の家で暮らす小学生。
    (どうやら、実の両親は早世したようだ。ポリーさんは父母どちらかの姉妹だったということなのでしょう)

    トムはいたずら好きで落着きが無くて、遊ぶのが大好きで勉強と教会が大嫌い。機転がきいて大胆不敵、そして根は優しい男の子。
    戦争ごっこ、呪術ごっこ、けんかや生き物いじりに毎日夢中だ。
    他愛も無い日常を描くやと思いきや。
    やはり、ハックリベリー・フィンがこの物語に奥行きを出します。

    トムの親友のハックルベリー・フィン。どうやらそうとうどうしようもない父親がいるようで、そして母親はいないようだ。
    ハックは「少年ホームレス」とでも言う存在で、小さな街のあちこちで寝て起きて、学校も行かず、自由気ままに暮らしている。
    一種、トムたち少年世界ではヒーローな存在だ。

    このハックとトムが、「なんとかの呪いを実験する」みたいな他愛も無い用件で、深夜の墓地に忍び込む。

    そこで、殺人を目撃してしまう。

    殺されたのは町の医師。殺したのはインジャン・ジョーという町のならず者。
    ※これつまり、混血か純潔が判りませんが、インディアン=ネイティブアメリカン(アメリカ原住民)の人なんですね。

    ところが悪賢いジョーは、その罪を、泥酔していた別の男のせいにしてしまう。
    泥酔者は、自分が殺してしまった。と思いこむ。

    そのすべてを、トムとハックは目撃してしまった。



    そう、この物語は、

    アルフレッド・ヒッチコックの「裏窓」(1954)
    ハリソン・フォード主演の「刑事ジョン・ブック~目撃者~」(1985)
    ウーピー・ゴールドバーグ主演の「天使にラブソングを」(1992)
    スーザン・サランドン主演の「依頼人」(1994)
    クリント・イーストウッド主演の「目撃」(1997)

    などなど枚挙に暇がない、
    「殺人事件を目撃しちゃった人が、さあそれからどうなるどうなる物語」。
    その原初と言うべきか。

    ※僕は特に、「ジョン・ブック」大好きです。
    「殺人の目撃」、「アーミッシュ(キリスト教中心主義の集団)」、「シングルマザーの恋」。と、いう三題噺に挑んだような映画なんですが、極上の出来栄え。

    ハリソン・フォードとケリー・マクギリスがガレージで踊る場面とか。
    映画至上最高のサム・クックではないかと思います。
    ハリソン・フォードさんは間違いなくベスト映画でしょう。(まあ「SWシリーズ」は別格として...)



    トムとハックは、「どうしよう」と恐怖におびえて暮らします。
    だけど、とうとう無実の泥酔者が裁判で死刑になりそうになる。
    トムはとうとう、裁判で目撃を証言してしまう。
    衆目の中で、脱走するインジャン・ジョー。

    さあ、それからは「ジョーが復讐に来るかも」とおびえる日々…。



    そんなことがありながら、少年トムの中では
    「ジョーの復讐の恐怖」と同じくらい大きく、
    「ロビン・フッドごっこ」や「バッタをつかまえる」とか「角砂糖を盗む」などの問題も常駐しています。
    そして実は最大の課題は「転校してきたベッキーちゃんが可愛いから婚約したいぜ問題」です。
    ちなみに「婚約」というのは、一緒に歩いたり、たまにチューしたりすることらしい、という認識です。

    ところが「ベッキー問題」は、トムがついうっかり、元カノの名前を出したことからこじれて、難航します。
    でも最後には、ベッキーが教師の大事な本を破ってしまい、その罪をかぶることによって、なんとか交際の間柄になります。
    (これはつまり、「弱みに付け込んだ」という構造だと思うのですけれど。
    19世紀から既に「恋愛物語の転機の作り方」というのは難しかったのですね。21世紀の今でも、同じような苦労をしたドラマが毎週いっぱい放送されていますね)

    そして、些細なことからトムはハックともう一人の友達と「家出して海賊になる計画」を実行。
    ところが、初日の夜からもう、ホームシックにかかる有り様がなんともラブリー。
    数日で帰宅します。

    そしてハックと盛り上がったのが「宝を掘り当てよう作戦」。
    とりあえず適当にそこらで穴を掘ったら宝が出てくるんぢゃないだろうかという物凄く杜撰な作戦ですが。
    そしてその遊びの最中に、変装したインジャン・ジョーを更に目撃してしまいます。
    (ここ、見つかるんぢゃないかというスリラーが秀逸です)



    そして最後は、ベッキーと訪れた洞穴探検で迷子になって死にかける。
    その途中で洞窟内でジョーを目撃する。

    同時並行で、ハックはジョーの犯罪を未然に防ぐ大活躍。

    そして、ジョーは偶然から洞窟内で餓死してしまいます。



    終盤。なんといってもいちばん面白いのが大団円部分。

    ハックは大活躍の結果、優しい未亡人さんの家に養子として迎えられます。
    つまり、ホームレスから奇跡の市民階級復帰なんですが、
    きちんとした服を着て、靴をはいて、学校に行って、黒人とも遊べず、こぼさずにご飯を食べる…という暮らしが、ハックは苦痛で苦痛でたまらず、脱走...。

    (物語上はトムの説得で戻るような雰囲気でなんとなく終わります)

    やはり、ハックの存在感そのものが強烈なタブーへの一撃であり、物語世界をロックンロールなワクワク感に持ち上げていることが良く判りました。



    そして、続いて「ハックルベリー・フィンの冒険」を手に取ろう、という目論み。
    かなり、読書の快楽です。
    続きを読む

    投稿日:2017.03.04

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