【感想】いじめと探偵

阿部泰尚 / 幻冬舎
(9件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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  • いじめの根源は、案外子育ての基本を失った家庭にあるのでは…

    著者・安部泰尚氏は探偵社の人です。
    【使いっ走り、カツアゲ、万引きの強要、度重なる暴力、そしてクラスメイトによる集団レイプまで、いじめは様々だが、ほとんどの被告生徒は、いじめを必死に隠し周囲に相談しない。仮に子どもが告白し、親が学校に相談しても、多くの学校は調査すらしない。そればかりか「証拠を持ってこい」と言う。そこで調査・尾行・録音・録画に秀でた探偵の出番となる】と書いてあります。
    、数々の具体例が書いてあります。唖然とばかりもしていられないと、わたしも考えました。どうして命にを関わるような酷いことをするようになっているのか?
    ①戦後、食うや食わずで生きたころには「アトピー」なんてなかった。
    ②貧乏で食べるものがないような家に育った子は「親孝行」者が多かった。
    ③昔は、親が生活に苦労する姿が身近にあった。
    何の脈絡もないように見えるこれらですが、案外根っこの部分は今回の問題と共通項を持っているのでは…。
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    投稿日:2013.09.27

  • 「難しい問題だね」というマジックワード

    いじめは難しい問題だと思います。

    そういうと多くの方が同意してくれるかと思いますが、
    この本を読んで、それは、いじめを観て見ぬふりすることと変わらないと痛感しました。

    解決するための具体的な方法を実際のケースから提示してみせるその手管に
    まずは舌を巻きます。

    そのうえで、「複雑化する現代」「難しい問題が山積した日本社会」といったマジックワードにも
    改めて気づき、いじめを、この本をきっかけに、
    ほかのことについても新しい視座に、解決に向けた第一歩に至る。

    そんな力強くも誠実な作品です。

    おすすめです!
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    投稿日:2013.09.24

ブクログレビュー

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  • tsukaphone

    tsukaphone

    いじめの現状とそれを取り巻く環境について、現場で子や親、学校と接している探偵の目から簡潔でわかりやすく描かれていると感じた

    投稿日:2020.03.22

  • ロニコ

    ロニコ

    以前、テレビで著者である阿部さんを取材した、いじめに探偵がなぜ関わっているのか?というような特集番組を、途中からだったが偶然観たことがあり、本も書かれていると知り図書館で予約。蔵書が少ないため半年待ち

    正直、読んでいて途中でやめたくなるような凄惨な話もあった。特に性やお金がらみのいじめは、読むに耐えない。それは既にいじめではなく、犯罪だ。
    阿部さんは、今の学校は機能不全だというが、確かにその側面は否めない。特に教育レベルの高い地域では、過酷ないじめは想定外で、そんな事案に対応出来る先生は少ないのではないだろうか。
    家庭の問題も無視できない。どの家庭でも親は忙しく(実際に忙しい人も多いだろうが、親もスマホなどで自分の空間を閉じてしまっている例もあるだろう)、子どもは迷惑をかけられないと思ってしまう。

    いじめはなくならい、今の大人社会が変わらなければ…という意見は全くごもっともだと思う。
    大人が大人力を失っている現代、せめて、見守る目を持つ大人でありたいし、生徒にもそう伝えたい。
    以下に印象に残った部分をあげる。

    *私がみたかぎりですが、子どもたちのいじめは、大人たちの模倣です。バラエティ番組で、芸の無い芸人が内輪話をして、世間的に劣っている様子の1人を面白おかしく馬鹿にする。嫌がる後輩芸人を斜面に突き落としたり、叩いたりしてみんなで笑う。一部の大人が、この世はお金がすべてと言う。そして、ある場面では、強い者が弱い者を踏みつけて平気な顔をしている。そんな大人たちの振る舞いを真似た結果、子供たちのいじめは凶悪化しているのです。
    218ページ あとがきより

    *日本語は便利なもので、「窃盗」と言う犯罪を「万引き」という言葉で言い換えて、罪悪感を薄れさせるように、「いじめ」という言葉は「恐喝」「強要」「暴行」「傷害」「売春」「損壊」「強盗」の言い換えにすぎません。
    219ページ あとがきより


    2019.11.16
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    投稿日:2019.11.17

  • ミラクル先生

    ミラクル先生

    残酷ないじめの現実が、これでもかというほどリアルな描写で書かれている。著者が、探偵ということで書き方にも一切の容赦がない。事例を知っておくという意味において、一読する価値がある。
    ただ、描写は凄絶ながらもどうやってこの問題を解決するかという論にはまるで力が無い。探偵の仕事は大変で、教員の質は下がっている。それ自体は事実だが、そこからどうやっていくのかは、とても曖昧に書かれていた。事例と同じくらい切れ味鋭く、解決策にも持論を展開したらいい。続きを読む

    投稿日:2019.05.03

  • hiro-me

    hiro-me

    このレビューはネタバレを含みます

    すごくよかった。最初は全くどんな話なのか想像がつかなかったけど、物語みたいに進んでとても面白かった!
    題材になってるいじめを受けているのが、ほとんど同じ世代の人たちで、身近に感じたし怖かった。いじめを探偵が解決する、解決の糸口を見つけるというのは意外だったけど、本を読み終わって、もしかしたら1番信頼性があって大事な方法の一つなんじゃないかと思う。
    いかに今の世の中がおかしいか、少なくともいじめとか親子関係とか教師と生徒の関係とかがいかにおかしいかがわかり、このままじゃいけないと思った。なぜ親が子の危険に気づけないのか。教師も同じ。ただ、私自身子供なので、なにか難しいわけがあるのかどうかはわからない。でも、それでも大人が気づいてくれなかったら子供はどうしようもないじゃないか。
    思わず探偵になりたいと思ってしまった一冊だった。

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    投稿日:2017.07.17

  • 人生≒本×Snow Man

    人生≒本×Snow Man

    地べたを這い尽くし、いじめと向き合ってきた生の奇跡がある。言葉に真実味、すごみがある。私が陥り、また、関わってきたいじめも全く同じだ。昔はこうだった、という著者の語りのみ少し違和感があるが、それ以外は全面的に同意できる。

    ・いじめが理由の転校は簡単。
    ・父親の存在感の薄さといじめ事案は強い相関がある。
    ・子どもの価値観と大人の価値観は違う。
    ・外部の業者にいきなり丸投げでは、親子関係が心配。
    ・一つの新しいルール(法)を作るよりも、先生の世界、大人の世界をまともな人間関係があると言える世界にしていくのが先決。
    ・子どものいじめの材料は大人世界に揃っている。
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    投稿日:2014.01.20

  • nozomu85

    nozomu85

    最近のいじめには探偵も絡むらしい…というニュースを見て、読んでみたくなった本です。

    たけしが、「いじめって言葉を使うから勘違いするけど、ふつうに暴行とか恐喝とかだから。ちゃんと言葉にしないと」的なことを言って(書いて)たけど、ほんと、その通りだな、と。

    自分が中学や高校の時、大人はどうして「子ども」とカテゴライズした人間に甘いのか。
    分別も、我慢も未成熟な分、「大人」よりも子どもは残酷なのに、と思っていた。

    自分たちのイメージする「子ども」でいてほしいのが大人で、そのイメージの色眼鏡で見ている間は、結局、変わらないんだろう。

    私には子どもはいないけれど、子どもを学校に行かせるのが怖くなる。
    続きを読む

    投稿日:2013.12.16

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