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江波光則, くまおり純 / ガガガ文庫 (8件のレビュー)
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総合評価:
44α
1
今後に期待
子供時代にひょんなことから人を殺してしまった主人公。 その「事故」現場に居合わせた仲間の一人が殺されたところから、このストーリーは始まる。 読み始めてすぐに、中村文則の「悪意の手記」を連想した。 た…だし「悪意の手記」が故意の殺人を一人で抱えていたのに対し、本作の主人公が人を殺したのは他愛もないいたずらの延長であり、また彼には共犯ともいえる仲間が居る。 内容な一応ミステリになるのだろうが、謎解きというよりも、「人を殺した」というレッテルに各個人がどのように立ち向かい、その結果がどうなったか、ということに主眼が置かれていたように思う。 他人へ罪をなすりつける、殺人の過去を看板に不良としてのしあがる、恋人との世界に閉じこもる、他人との関わりを断つ… それぞれがとったどの道にも正解はなく、ただ「殺した」という過去だけが厳然と存在し続けている。 小説としては退屈な部類に属するかもしれないが、作者が描こうとしている「人間関係」そして「人間としての業」のようなものに、言い知れぬ魅力がある作品だった。 著者の他作品も読んでみたい。続きを読む
投稿日:2014.05.24
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bukuroguidkodama
『パニッシュメント』と同じくいろいろ事件起る青春小説 お話はとっても良く出来ていて では文学の偉いひとたちと何が違うかといったら修辞修飾なのだろうか 題材の比喩が直接的だから足りないのだろうか 全時代…的なことがにんげんのほんしつに迫るあれなのだろうか さっぱりわからないが この作品がこの形として充分良く出来ているのは確かに思う続きを読む
投稿日:2018.11.12
Romy
このレビューはネタバレを含みます
主人公のネットに対する考え方がかなり変わっていて、完結したひねくれさだなと思った。自分が切り貼りされて拡散されるのが嫌っていうのはプライドが高いだけなような気もするけど、やってることがやってることだし仕方ないのかな。終始暗さが一貫してるのが逆によかった。あとあとがきがないラノベは初めて見たかもしれない。
投稿日:2014.01.14
はむ
このブクログだったりTwitterだったりSNSの類を使ってる人間だったら誰もが一度は考えていそうな承認欲求その他もろもろについて、改めて考えてしまう。 こうしててきとうな感想をここに書くこと自体にワ…ンステップ必要になる。 映画館で「自己陶酔百パーセントの無名作品」を、「生活する金という物と交換にしたソーシャルネットみたいな物だ」「内臓を晒して金を貰う」と称し、「金を出してまで啄ばまれるだけの価値を持った内臓なんて、そうそう誰もが持っちゃいない。そこでみんな苦労する」と主人公は考えるが、ここは小説を書いている作者自身への言葉に思える。誰かに買ってもらう以上、自分をとことん切り売りするのが小説家など何かを作る人なのだと思うし。 ある意味不器用な主人公のSNSへの考察がテーマそのもので、「今」の小説だった。 初期の頃の西尾とか佐藤友哉あたりを一気に読んだころを思い出す、内省過多の饒舌な一人称。 大好物です。 好きな作家=ケルアックな人への考察とか、無名作品を見に来る連中はエンドロールまで付き合う人ばっかとかいうあたりは思わず笑ってしまった(笑) エンドロールまで見ちゃう派。続きを読む
投稿日:2013.11.26
みずく
クソガキだろうがそうじゃなかろうが子供は”まだ人間じゃない”のだが、社会的な扱いがどうであったとしても罪を犯せば何かしら心に楔が撃ち込まれるものだ。 傷が残らない程度の小さな罪を繰り返すことで子供は少…しずつ学んで普通の人間になっていくが、その過程を飛び越えて取り返しのつかないことをしてしまったとき、環境がその子供を普通ではいられなくしてしまう。 途絶えることのないSNS上の炎上騒ぎも無知ゆえに行われたものもあるだろうし、炎上するそれ自体を英雄的行為と捉えて行ったものもあるだろう。 そして炎上している現在に後悔することができなくても、それを拡散し記録する仕組みがある以上、いつか過去の自分と向き合いどうしようもなく嫌悪するときがやってくる。 また罪は複数で共有することで希釈されるが、未来永劫その関係が続くとは限らない。 人間であろうとするなら一時の感情に流されて線を踏み越えないことを戒めとしたい。続きを読む
投稿日:2013.08.31
rerer
オチが読めていたのはまあいいとして、なんかウジウジとどうでもいいことですっと悩んでいたなあ、というのが読み終えた感想。 もっと悪意や絶望を掘り下げて描いてもよかったのでは、と思ったが、主人公がすでに成…長しきっていて解脱の域に入っているからなあ。続きを読む
投稿日:2013.07.11
しゅん
これは…ダメでした…! この作品に限らず、1人称の作品は主人公に共感や感情移入できるかどうかで評価が大きく変わってくるでしょう。 その観点から行くと、この作品の主人公である陵司は私にとってまったく親…しみのわかないキャラクターでした。 単に無気力なだけだったり捻くれているだけだったりならまだいいんだけど、なんだろう、彼が何を考えているのか、何を思ってどうしたいのかが結局最後まで分からなかった。 小説はだからこそ面白い、というとらえ方もあるかもしれないけど、そんな余裕もないほどにただただ気持ち悪かった。 同じ理由でヒロインである桜香もダメ。 さばさばしてるクールなタイプなので最初はむしろ好みのキャラだったんだけど、物語が進むにつれどんどんと違和感が生まれ、最終的にはやはり理解できないキャラクターであることが判明した。 ただこの桜香の場合個人的に一番ネックなのが「なぜそこまでして陵司のことが好きなのだろう」という点であり、そうした引っかかりがわかっているだけまだマシですが。 陵司は何がわからないのかすらわからなくって、ただただ気持ち悪い。 だからこそ、瑛二と燈子は好きだったりするんだけど。 人間的には褒められた二人じゃないけど、この二人は何よりわかりやすい。 何から何までわからないこの「鳥葬」という作品において、唯一の清涼剤と言ってもいいかもしれない。 そんなんだからストーリーにも入っていけることができず、ラストの展開もいまいち納得がいかず。 私には全てにおいて理解ができない作品でした。 反面、非常に人を選ぶけど、好きな人は好きな作品でしょう。 興味があれば読んでみてもいいかもしれません。 お勧めはしませんが。続きを読む
投稿日:2013.06.10
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