【感想】ドグラ・マグラ(上)

夢野久作 / 角川文庫
(445件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
132
116
118
25
6
  • 閲覧注意

    ――ン、ヴ――……ン、ヴゥゥ――……ン――
    何処かの部屋で目覚めた「私」

    一見、肩透かし、ご都合主義でご法度とも言えるようなタネにして、そのタネの現実的な信憑性を確立し得る程、厳密に記述されたディティール。

    単調でありながら、実は何層にも積み重なる複雑怪奇なプロット。

    今しがた自分の読んだ話は、“いつ”、“どこ”で“何”について描かれた物語なのか?
    物語のみならず、今自分がこうして手にしている書物までもが、この奇想天外な物語の一端を担っているのか?

    全てが解明されると同時に、何も解明されずに終わり、始まる。

    混沌とした雰囲気抜群の、傑作ミステリー小説です。しかしながら、単なるミステリー小説にとどまらない上、一般的な幻想小説とも、まただいぶ異なる趣です。
    さらに、その奇妙な印象を、作中の表現などで抱かせるのではなく、ストーリー全体を通した、この“本”そのものに抱かせる辺りが、日本探偵小説三代奇書の一つに選出される所以だと感じました。

    これを読むと、一度は精神に異常をきたすと言われているそうですが、確かに、私もこれを読んでいる間に3度ほど悪夢を見ました。…その当時は、はたして「あれは夢だった」と認識していいのかすらわからず、混乱させられた悪夢を。

    若干、読みにくい文体も出で来ますが、物語の表層自体は複雑ではないので、時間をかけて少しずつゆっくり読んでいっても差し支えないと思います。
    複雑でないのは、あくまでも表面だけですが・・・。
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    投稿日:2013.09.24

  • 紛れもなく天下の奇書です

    夢野久作という作者を初めて知ったのは、予備校の授業だったと思います。
    「これを読む者は、1度は精神に異常をきたすと伝えられる」との宣伝文句に、刺激が強いんだろうなと、まず、瓶詰の地獄、少女地獄、押絵の奇蹟などの短編を経て、禁断の書に触れたのは大学の時。ところが、はやる気持ちを抑えきれず急いで読んだ1度目は何を言ってんだか、よくわかりませんでした。で、2回目は、じっくり。そして初めて内容がつかめたその晩……、ヘンな夢をみました!以来、時々読み返してみる私の愛読書であります。続きを読む

    投稿日:2013.10.04

  • 何通りの読み方が出来るのか

    有名だがこれまで手にすることの無かった本。電子書籍で初めて読みました。
    記憶を失った主人公は一体誰なのか、語られている内容はいつの話なのか?そもそも単なる夢なのか?
    明らかにならない部分が多いために、読み手はさまざまな仮説を立てながら読み進むことになります。
    この仮説を、読み進めるなかでコロコロと変えてしまうため(変えざるを得ないため)、「一度読んだだけではわからない」
    ということになるのでしょう。少なくとも私はそうでした。
    2周目はぶれることなく、ひとつの仮説(ストーリー)にのって楽しみたい。そんなことを読み終えた後で感じました。
    ☆の数は未だ未知数、私自身がまだ楽しむに至っていないという意味です。再読後にコメントと共に見直すかもしれません。
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    投稿日:2014.01.07

ブクログレビュー

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  • 打明

    打明

    ヨビノリさんの影響で衝動買いした奇書

    「胎児の夢」
    進化の過程を辿る胎児の夢、先祖の心理遺伝

    「地球上に狂人でない者はない」
    癖や性格などは自分をコントロールできない一種の例
    狂人を見て笑う者は自分は例外だと思っている

    途中の論文は読むのが苦痛に感じる部分も少々

    内容は面白いし惹かれる

    自分も五十歩百歩である事を気付かずに人を笑う者を痛烈に批判する場面にちょっと笑った
    (批判している本人も例外ではない)

    クライマックスがヤバいらしく、下巻を読みたい


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    投稿日:2024.03.16

  • なな

    なな

    男の目が覚めると、自分の過去に関する記憶が全て失われていました。
    男は、九州大学の精神病科にいましたが、ある怪事件の目的は何か、犯人が誰かという真相を明らかにするため、医学教授若林博士が記憶を回復させようとしていました。

    男は若林博士から絶世の美少女が許嫁と言われ、彼女のためにも記憶を喚び起こそうとしますが、全く思い出せず、自分が誰だかわからない恐ろしさや、精神病患者であるみじめさを感じます。

    また、男は自分が偉人正木先生の実験『狂人解放治療』にかけられていると知らされます。
    正木先生の研究内容について読んでいると、脳髄の機能や、精神病について考えると同時に、自分が何者か考えてしまいます。

    「奇書」と言われているため身構えて読み始めましたが、ドキドキする面白い小説でした。探偵小説的でもあり、真相が気になります。
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    投稿日:2024.03.04

  • ざき

    ざき

    奇書として有名なドクラ・マグラの上巻。精神病、脳髄に関する話が軸に話が何重にも織りなされているような本。面白く惹かれる部分もあるが、確かによくわからない部分も多々あった。

    投稿日:2024.02.28

  • 神威

    神威

    初めての夢野久作・著の作品がコレ。
    読書が苦手ながら一気に世界観に引き摺り込まれました。
    元々イッキ読みは出来ない性格も相俟って、上巻だけでも読破は予想以上に根気のいるものでした。

    が、それでも挫折しなかったのは、矢張り『夢野節』があったから。

    『内容』を理解するには、二、三度繰り返し読まなければ難しいが、『文』としての吸収は容易に出来る…。
    日本語のリズミカルさと狂気を前面に出し、その心地良さを何枚も剥げば、ようやく意味が4割分かる……みたいな不思議な感覚に酔い痴れた作品でした。

    下巻は絶賛奮闘中なため、どうなるかがトテモ楽しみです。
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    投稿日:2024.02.03

  • shin-tan

    shin-tan

     巷間言われているほどのグロさもエロさもない。正木を通じて語られ続ける作者の世界観、生死観は理解の範疇である。

    (内容紹介)
     昭和10年1月、書き下ろし作品として松柏館書店から自費出版された。〈日本一幻魔怪奇の本格探偵小説〉〈日本探偵小説界の最高峰〉〈幻怪、妖麗、グロテスク、エロテイシズムの極〉という宣伝文句は、読書界の大きな話題を呼んだ。
     常人では考えられぬ余りに奇抜な内容のため、毀誉褒貶が相半ばしている。〈これを書くために生きてきた〉と著者みずから語り、十余年の歳月をかけて完成された内容は、狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に、著者の思想、知識を集大成する。
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    投稿日:2024.01.03

  • 4614

    4614

    このレビューはネタバレを含みます

    誰が黒幕なのか、最後の最後で眼の前の人間が信用できなくなるような謎を残して上巻は読了。
    近代文化批判をしているように感じるけど、これが精神に異常をきたすと言われる作品なのかまだわからない…ホラーなのかミステリーなのかそれすらも掴み取れてないようなわけがわからん状態。たぶん、自分の知らない内にドグラ・マグラにかかっているんだろうけども…

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    投稿日:2023.12.06

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