【感想】一神教の誕生 ユダヤ教からキリスト教へ

加藤隆 / 講談社現代新書
(19件のレビュー)

総合評価:

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  • ☆☆☆☆☆

    キリスト教護教論の立場から議論を展開する学者ではない人の著作である。古代エジプトのような周辺の国々が多神教であるなかでどうして古代イスラエルが一神教の立場をとったのかは興味深い問題である。この人の議論の展開にがんばってついて行って何かを学びたい。続きを読む

    投稿日:2014.02.06

  • ☆☆☆☆☆

    ユダヤ教とそこから派生したキリスト教が一神教という周りの世界とまったく異なる立場をとったのはどういう背景があったのかはこの分野に関心のある者には誰しも気になることである。
    この趣旨の本はほかにも荒井章三著にもある。それもこれもなかなか難しい論議だが力作でいい参考書になると思う。続きを読む

    投稿日:2014.02.06

ブクログレビュー

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  • 残響

    残響

    このレビューはネタバレを含みます

    一神教における神と人の関係性について。キリスト教はユダヤ教からの分派から生じた世界宗教ではあるけど、決して旧来のユダヤ教から正しい位置にあるわけではない。キリスト教は、イエスが告知した「神の支配」の現実が事実である可能性に賭けている(ユダヤ教はそれを傍観している状態)。イエスが伝えてきた神の支配が「全てのもの」に関わるという性質が、イエスの死後に出来たエルサレム初期共同体によって「一部の」人びとの生活スタイルに改変されることで、「教会」の成立へと向かった。この聖俗を切り分ける「人による人の支配」こそが、世俗の支配者による「支配の仕事」を大幅に減らし、ヘレニズム時代以降の西洋社会を安定させるに至った。

    教会のいう「神の支配」とは、「教会の支配」というべきか、「分け隔てしない」ところの神が自分を受け入れない者について「分け隔て」してしまっているのだ。

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    投稿日:2021.05.17

  • タカギ

    タカギ

    ここまで突き詰められることで、教会へのもやもやした気持ちが晴れます。
    だからといって、不信仰になるわけでもなく。
    不思議な宗教です。

    投稿日:2020.03.25

  • 三上 直樹

    三上 直樹

    仏教に続いて、ユダヤ教からキリスト教へとつながる一神教がどのように成立していったのかを解明する一冊を読了。
    私のような無縁の者にはわかりかねますが、唯一の神を信じるはずの一神教が、成立当初は御利益宗教だったという指摘が何とも皮肉に思えます。続きを読む

    投稿日:2018.01.10

  • reinou

    reinou

    このレビューはネタバレを含みます

     2002年刊行。著者は千葉大学文学部教授。

     ユダヤ教→キリスト教の成立史を、前史に遡り、また事実に即して本書は解説する。人による支配の全う、という極めて合目的的理由に基づいてこれら一神教が成立していったという点は納得のところ。
     ただ、西洋近代的思考、科学的探究思考が生まれた土壌としてのキリスト教は、ほとんど解説していないので、個人的な興味とは外れた点もある。

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    投稿日:2017.01.20

  • shimu2

    shimu2

    [1から]大部の日本人にとってはなかなかピンと来ない一神教の考え方。その中でもユダヤ教とキリスト教に焦点を当てながら、一神教がどのように生まれてきたのか、そしてその一神教という考え方そのものがどのように変容してきたのかを考察する作品です。著者は、ストラスブール大学で博士課程を修められている教授、加藤隆。


    歴史的な流れに沿いながら、一神教の考え方の変遷を丁寧に追っているため、読みながら「あ、なるほど」と思わせてくれることがしばしば。その字面的にもどこか「確固とした」ものを思い浮かべていたのですが、一神教それ故に神との関係・在り方が多様に考えられるところが非常に興味深かったです。「神学は難解では......」と思われている方にもオススメできるわかりやすさも高ポイント。


    ユダヤ教やキリスト教に関する基礎的な知識を本書で身につけることができるのも良い点かと。冒頭、そして本のタイトルと内容そのものに少し齟齬があるようにも感じましたが、大枠で「一神教とは何ぞや?」ということを知りたい人には十二分に有意義な一冊だと思います。

    〜キリスト教は、イエスが告知した「神の支配」の現実が事実である可能性に賭けている流れである。これに対して、ユダヤ教は契約という唯一の関係によってヤーヴェとの繋がりを確保しながら、キリスト教の賭けが成功にいたるかどうかを見守っている流れである。〜

    (語弊があるかもしれませんが)神学は本当に頭の体操になります☆5つ
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    投稿日:2015.04.13

  • シーナマサヨシ

    シーナマサヨシ

    民族宗教だったユダヤ教からどのようにして世界宗教であるキリスト教が生まれたのか。その過程は想像以上にある意味で打算的で、差別的ですらあり、絶対的な「神」がそこに存在してとは到底思えない、恐ろしく人間的なものだった。
    この本の論理が全てではないとは思うけれど、冷静かつ客観的に捉えられた、ユダヤ教とキリスト教の関係は興味深い。
    そしていまは「科学」が宗教的人のあり方を担っている部分がある
    消化不良なのは、ユダヤ教の神である「ヤーヴェ」がキリスト教にどのように取り込まれていったのかが触れられはしたものの語り切られていないところ。
    続きを読む

    投稿日:2014.08.28

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