【感想】殺人者志願

岡嶋二人 / 講談社文庫
(19件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
1
8
7
1
0
  • いったい誰がやったのか。謎が謎を呼ぶミステリ!

    岡嶋二人によるミステリの佳作。
    隆友と鳩子のもとに、鳩子の親戚筋に当たる宇田川から「ある人を殺して欲しい」という依頼が入る。ふたりはサラ金などへの借金の肩代わりに殺人の依頼を受ける。やがて、対象である美由紀の隣の部屋に移り住むことに成功し、殺人の機会を待つことになる。
    途中までは馬鹿っぽい隆友と鳩子の会話に若干辟易するが、殺人を実行しようとする辺りから物語が一転、スリリングに展開し始める。
    自分たちが殺そうと思った相手を結局殺すことができず、二人して泣いてしまう辺りはなんだか妙にリアリティがあり、人殺しのハードルの高さを思い知らされる。一方で、その後の展開では隆友が妙な頭の冴えを見せ、徐々に真実に近づいていく。
    ラストは確かに話はつじつまが合うものの、何ともしっくり来ない感じがやや消化不良気味か。ただ、救いのないラストになっていないことが読後感をよくしている。
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    投稿日:2014.06.27

ブクログレビュー

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  • toshi_koike

    toshi_koike

    久々の岡嶋二人さん。ちょっと時代が、、、という部分を感じさせない、その構成と筆力。小説なのに、まるで迫ってくるかのようなドキドキハラハラ。

    投稿日:2021.12.01

  • sam

    sam

    このレビューはネタバレを含みます

    200万円以上の借金を肩代わりする代わりに殺人を依頼された若夫婦。借金が帳消しになるのならと軽い気持ちで引き受け、ターゲットの身辺調査を行い偶然ターゲットの住むマンションの隣の部屋が空いたことからそこへ引っ越し、徐々に交流を深めていく。
    状況が全て揃い、あとは決行するだけとなったが、やはり殺人という事の重大さに気づき実行ができない。準備した後片付けをしに、ターゲットの部屋へ合鍵を使って入ると、そこには依頼者が死んでおり、睡眠薬で眠らせておいたターゲットは消えていた。
    パニックになり一度自分たちの部屋に戻り、しばらくしてターゲットの部屋に戻ると、今度は依頼者の死体が消えており、さらにその部屋に閉じ込められてしまう。なんとか窓から自分たちの部屋へ飛び移ろうと試みるが無理。そんなこんなしていたらドアが開くようになっており、慌てて自分たちの部屋に戻ると、今度は依頼者の死体がバスルームに放置されていた。
    いったい誰からそんなことをしたのか、ターゲットはどこにいるのか。後半から急展開。

    読み始めは主人公の若夫婦の頭の悪さにうんざりして途中でやめようかと思ったが、ターゲットを殺す日までたどり着くと後は早かった。斬新なトリックではないけれども実現可能なリアリティがある。
    最後はハッピーエンドなのだが、正当防衛とは言え人を殺してしまった人や、やむなくとは言え死体遺棄をした若夫婦など、のほほんとしていて良いんだっけという感は残る。

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    投稿日:2020.02.02

  • ゆづき

    ゆづき

    親戚の男性から借金の肩代わりと引き換えにある女性の殺害を依頼された若夫婦が、女性の住むアパートに引っ越し、殺害計画を立てながら見張る中、別の男性の死体を押し付けられて、犯人不明のまま死体遺棄をする。軽快な文章と展開で重苦しくなく、違和感もなく、するすると引き込まれる。若夫婦の自然体な仲の良さに和む。続きを読む

    投稿日:2018.10.14

  • keikubo27

    keikubo27

    このレビューはネタバレを含みます

    2017年18冊目。
    岡嶋二人作品の中ではまぁまぁ。主人公の2人のキャラクターがあまり好きではないのを差し引いても、この先どうなってしまうのだろうとハラハラドキドキしながら読み進めることができた。
    ただ、ラストがなぁ・・。ハッピーエンドに越したことはないのだろうけど、自分を殺そうとした相手を許せるものかとスッキリしない感が残る。
    電話喫茶なるものを初めて聞いてそれはそれで衝撃だったw

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    投稿日:2017.03.19

  • dolphin

    dolphin

     作品解説(冒頭より一部抜粋)「ある人物を、殺してもらいたい」なんて頼まれて、ホイホイ引き受けるヤツ、そういないだろう。普通なら「ご冗談を」ぐらいで片づけるところだ。つまり、その時の俺と鳩子は、普通じゃなかった……ってことになるんだろう、たぶん。

     主人公・菊池隆友は何の才能も無い日本人男性。あるのは膨らんだ借金のみ。妻・鳩子の親戚・宇田川から借金の肩代わりとして、殺人を依頼される。そして作品は一気に暗い展開へ……とはならないのが岡嶋作品のいい所。菊地夫婦は頭のねじが一本外れたような性格だし、殺しを依頼する宇田川でさえも二人の会話にはタジタジ。ミステリーの肝であるラストもさることながら、この作品では人間らしい犯罪者・菊地の心理描写を楽しんでほしい。
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    投稿日:2017.02.01

  • riconet00

    riconet00

    ろくに働きもしないのに金遣いが粗いバカ夫婦が借金の為に人殺しを請け負う。
    これだけ見ると酷い犯人達なのに、キャラが良いせいか憎めなくて複雑な気持ちにさせられた。

    正直途中までダラ読みだったが、一気にサスペンスな展開にハラハラドキドキ、ページを捲る手が止まらない!

    最後が上手く纏まり過ぎな気がした為にマイナス一点。
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    投稿日:2014.10.20

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